親をなんと呼んでいますか?

井伏鱒二18981993)に変わった題名の作品があります。

その題名は『「槌ツァ」と「九郎治ツァ」はけんかして私は用語について煩悶すること』です。お読みになったことはありますか?

私は今、その作品を含む井伏鱒二の『山椒魚・本日休診』電子書籍版で読んでいます。表題作のほかに、今回取り上げる作品のほか、全部で九編の短編・中編の作品が収録されています。

私が使う、Amazonの電子書籍を読むために特化された端末Kindleが、2カ月ぶりぐらいに使えるようになったことを本コーナーで書きました。

その過程で、Amazon側の手違いなのかもしれないのですが、該当する電子書籍を無制限に読めるKindle Unlimitedのサービスを、3カ月間利用できるようになりました。このサービスの利用には、通常、1カ月980円が必要です。

井伏の作品は、有名な『山椒魚』1929)を学校の教科書で読んだだけでした。その作品の内容を忘れていたので、もう一度読んでみようと、『山椒魚・本日休診』のサンプル版をダウンロードして読んでみたのでした。

京都ブランドのデオドラント化

本日の朝日新聞に、京都の街に愛憎を併せ持つ(?)井上章一氏(1955~)に語ってもらった「やっぱり『京都ぎらい』」が載っており、興味深く読みました。

副題は「観光地化とともに消えた性的におい」です。この副題について書かれた部分に、私は強くひかれました。

人が持つ五感で性的なものに直結するのは「におい」ではないか、と私は考えます。

前々回の本コーナーは、松本清張19091992)の『喪失の儀礼』1972)について書き、そこでも、人間の感覚を刺激せずにはおかない「におい」に触れました。

ゆっくり殺される恐怖

Amazonの電子書籍版で松本清張19091992)の作品を読みました。今回読んだのは『喪失の儀礼』です。今月10日までの期間、該当する書籍には50%のポイントが還元されるキャンペーンが展開され、本作もそれに該当するため、それを利用して読みました。

本作は、『小説新潮』1969年1月号から12月号に連載され、1972年11月に刊行されています。連載時のタイトルは『処女空間』だったそうです。

私はこれまで、清張の作品を数多く読んできました。清張に馴染のない人は、清張作品にどんなイメージを持たれるでしょう。

表現形式が推理小説である以上、事件が欠かせません。それも、人が殺される事件であることが大半です。

殺人事件を扱いながら、小説家によって、表現の仕方には違いが生じます。清張で特徴的なのは、殺害場面を描かないことです。これまで清張の作品に接してきて、犯行場面を読んだ記憶がありません。

あるいは、例外的にそれがある作品もあった(?)かもしれませんが、清張のほぼすべてに近い作品にはそれがありません。

清張のDを有する点と線

久しぶりで、松本清張19091992)の作品を電子書籍で読みました。

私には読書にも一定の傾向があるようで、このところは、山口瞳19261995)や井伏鱒二18981993)が書いたエッセイを読むことが続きました。

これはこれで楽しいのですが、そればかり続くと、今度は物語を読んでみたくなります。そこで、清張の作品を読みました。

清張は昔、文藝春秋から刊行された全集をすべて定期購読して読みましたので、今回読んだ作品も、そのときに読んだかもしれません。しかし、憶えていないので、電子版で読みました。

本日の豆ヒント
『Dの複合』は文藝春秋とは別の出版社から刊行されているので、文藝春秋が編んだ全集には含まれていないでしょう。
本日の豆訂正
上の「豆ヒント」で、本作は光文社から刊行されたため、文藝春秋が編んだ全集には含まれていないのでないかと書きました。そのあと、本作について書かれたネットの事典ウィキペディアに次のように書かれているのに気がつきました。
「『松本清張全集 第3巻』(1971年、文藝春秋)では、殺人の実行者を減らし、犯人のラストの科白を変更するなどの改稿が加えられた」。ということで、文藝春秋から刊行された清張全集に本作も収録されていたであろうことがわかりました。

今月10日まで、Amazonの電子書籍で、該当する書籍に50%のポイントがつくキャンペーンをしていることに気がつき、それに該当したのでその作品を手に入れました。

読んだのは『Dの複合』1968)です。

2ボール、1ストライクの次の攻め

前回は高校野球の話題を取り上げました。今回はプロ野球の話題を書きます。

といっても、今の話ではありません。58年昔の1965年の話題です。東京五輪の翌年になりますね。

今は大谷翔平選手(1994~)の活躍もあり、野球ファンの眼はメジャーリーグベースボール(MLB)に向かいがちです。今から60年ぐらい前は、日本のプロ野球、中でも長嶋茂雄1936~)や王貞治1940~)らスター選手が揃っていた読売ジャイアンツ(巨人)が注目の的だったでしょう。

巨人は日本シリーズ(日本選手権シリーズ)で9連覇し、V9などといわれたりしますが、それが始まったのが1965年の日本シリーズです。巨人の監督は、1961年に就任した川上哲治19202013)です。

入浴作法にも順番はある?

物事には、正しいやり方や順序のあるものがあります。

デジタル機器は、融通が利かないため、説明書のとおりでなければ反応しないこともあります。

その点、昔から生活の中で行うことは、決まりはあってないようなこともあります。これはアナログならではの良さといえましょう。

ただ、そんなアナログなことであっても、正しい順序というものがあるとすれば、自分がやっている順序は正しいのか、間違っているのか、気になることが起こります。

たとえば、風呂に入る時、あなたに身についた順序というものがあるでしょう。

過度の配慮がもたらす弊害

長年食わず嫌いだったシャーロック・ホームズシリーズを、今年の2月に「解消」したことは本コーナーで書いたとおりです。

きっかけは、その時期に、NHK BSプレミアムでその時間帯に放送されていた米国の刑事ドラマ『刑事コロンボ』の放送が終了し、代わりに『シャーロック・ホームズの冒険』(全41話)が始まったことです。

本シリーズのドラマはこれまでに何度も放送されていますが、食わず嫌いをしていた私は見たことがありませんでした。

『刑事コロンボ』のシリーズが終わり、その時間帯が暇になることもあり、ものは試しと『シャーロック・ホームズの冒険』を見てみました。すると、予想外に楽しめ、以来、毎週録画して見るようになりました。

蜜柑の缶詰の蜜柑の謎

NHK総合の番組に「チコちゃんに叱られる!」という番組があるのを知っています。あいにく、私は見たことがありません。

新聞のテレビ欄で確認する限りでは、素朴な疑問を解決するのが番組のコンセプトであるように思われます。

番組とは関係なく、ある本を読んでいて、それに通じる素朴な疑問と答えを得ました。

今私が読んでいるのは、作家でエッセイストの山口瞳19261995)が、亡くなる間際まで足掛け32年間、一度も穴を開けることなく『週刊新潮』に連載した見開き2ページのコラム『男性自身』のすべてを、8巻に分けて収録したうちの第1巻目です。

その1巻目は、連載を開始した1963年12月2日号分から、1967年12月30日号分まで、掲載順に、212話を掲載しています。

井伏鱒二と開高健

若い世代を中心にテレビ離れがいわれています。

私は若い世代は昔に終わったからか、未だにテレビを見ることをしています。しかし、私が見るテレビ番組は、昔に作られた番組ばかりです。

本コーナーで取り上げる映画にしても、今上映されているような作品ではなく、昔に作られた作品ばかりです。

テレビ局が制作した番組にしても、作られたばかりのような番組はほとんど見ることがありません。こちらも昔に作られた番組を好んで見ます。

そんな昔に作られた番組を見ましたので、それについて書くことをしてみます。

それは「NHK特集」というドキュメンタリー番組で、その回のタイトルは「井伏鱒二の世界 『荻窪風土記』から」です。これが放送されたのは今週月曜日(8日)で、録画したのを昨日見ました。

名付け親である母の影を追った瞳

本名で活動した作家でエッセイストに山口瞳19261995)がいます。ご存知でしょうか。

私はこれまで、山口の小説は読んだことがなく、エッセイも、週刊誌に昔書いたものを部分的に読んだことがあるだけです。

山口で思い出すのは、小林桂樹19232010)が演じた映画『江分利満氏の優雅な生活』1963)を見たことです。

いま改めて、この映画について書かれたネットの事典ウィキペディアで確認すると、山口の原作は、オムニバスで書かれているそうですので、一本の映画にするには、あまり向いていなさそうに思われます。

それぞれの話を、テレビで一話完結の話にして、それを連続で見せるやり方であれば、それはそれで面白そうですが。

それはそうと、山口瞳という本名でありペンネームでもあった名前だけを見ると、女性と勘違いする人も出てきそうです。