渡しに毎日現れる座頭の話

人それぞれに日々の習慣があるでしょう。私は、眠る前に本を読むのが習慣です。

このことは本コーナーで何度も書いていますが、私の生活時間は普通の人より、基本的には三時間ほどずれています。午前6時に起き、午後9時に眠る人を普通の人とした場合の時間感覚です。

つまり、毎日午前3時頃に起き、午後6時頃に眠る。これも日々の習慣になりますね。

そんなわけで、毎日午後5時台になると眠るための準備に入ります。午後5時半頃には布団に入り、読書を始めます。私は寝つきがいいので、30分持たずに眠ってしまうため、読書の時間が30分程度しか得られません。

最近は、岡本綺堂18721939)の短編集を読みました。

私は時代劇を見ないたちです。ですので、時代物も読んだことがありませんでした。ですので、テレビドラマになった「半七捕り物長」も見たことがなかったのです。

半七捕物帳(里見浩太朗版)OP+アイキャッチ

それだから、岡本綺堂のことも知りませんでした。

ホームズ物の全体像と「いわくつき」の作品

私は、本年2月にNHK BSプレミアムで放送が始まった「シャーロック・ホームズの冒険」を見るようになるまで、ホームズ物に縁がなかったことを本コーナーで書きました。

このように、これまでホームズ物に馴染んでこなかったため、英国のテレビドラマ「シャーロック・ホームズの冒険」の原作となる短編小説がいくつあり、それがどのように発表され、単行本になったのかを知りませんでした。

テレビドラマを見るようになってから、それらの成り立ちを知りました。

アーサー・コナン・ドイル1859~ 1930)によって生まれたホームズ物は、長編が、1887年の 『緋色の研究』に始まり、 『四つの署名』1890)、『バスカヴィル家の犬』1902)、『恐怖の谷』1914)と4編があり、それ以外はすべて短編小説で、その数は56です。

私のように、ホームズ物に馴染んでいない人は、それがどのような間隔で単行本になったのかわからないかもしれません。

不幸が不幸せとは限らない・場合も

幸福は誰もが望むことです。

最近読んだ短編小説の中に、それとは逆の考え方が書かれていました。もっとも、それが有効に働く人は限られるだろうと思います。

これは、本コーナーで最近取り上げていますが、Amazonの電子書籍で、該当する書籍であれば読み放題できるKindle Unlimitedを12月中旬まで利用できる権利を得ました。

これを利用し、阿刀田高1935~)が書いたコラムを一冊にまとめた『頭は帽子のためじゃない』を読みました。

その阿刀田の短編集もKindle Unlimitedで読んでいます。1980年から82年(当年は一作品だけ)にかけ、『野生時代』19741996 4月号)に掲載された十二編の作品を一冊に収録する『異形の地図』1984)です。

夢のあとさき

人は睡眠中に夢を見ます。夢を見ないと思っている人も、見た夢を憶えていないだけで、見ています。

夢について研究する人がいるかもしれませんが、まだわからないことが多いでしょう。

井上陽水 – 「夢の中へ」 ミュージックビデオ

私たちが見る夢ですが、夢を見ている時間について考えたことはありますか? たとえば、それが長く感じた夢の場合、その夢の時間は私たちが感じるように長いのか? ということです。

私はある時まで、それぞれの長さの時間で夢を見るのだと考えていました。ある時、夢と感じる反応が脳内で起こり、それが人に夢に感じさせている、というように書かれた文章を読みました。

脳内に起きた一瞬のひらめきが夢の正体で、時間をかけて見ているわけではない、という考え方です。

こんなことを考えたのは、今、Amazonの電子書籍版で、阿刀田高1935~)の『頭は帽子のためじゃない』という本を読んでいるのですが、その中に夢についての阿刀田の考えが載っているからです。

わかりにくい文章 その二

前回の本コーナーでは、私が読んでわかりにくく感じた共同通信社の短文記事について書きました。

今回は、その続編のような内容になります。

私が手に取ったのは、松本清張19091992)の『途上』という短編集の文庫本です。

今では、ほとんどの本をAmazonの電子書籍版で読みます。紙に印刷された文庫本が手元にあるということは、まだ、私が電子書籍に移る前に手に入れたことになります。

わかりにくい文章

昨日、Yahoo!ニュースに共同通信社が配信した次の記事がありました。

記事は速報のような形を採り、数行の短いものでした。

内容が詳しく書かれた記事が今日の産経新聞にありました。

太宰治19091948)は昭和10年虫垂炎などの手術のため、入院しています。その痛みを和らげるためか、太宰はパビナール(鎮痛剤)を多用し、それに依存するようになってしまいます。

太宰を自分の弟子として気にかけていた井伏鱒二18981993)は、太宰を何とか立ち直らせようと考えたのでしょう。井伏は太宰を説得し、翌年に入院させ、治療に専念させようとします。

一方の太宰はといえば、被害者意識が強くなり、当時妻だった初代に、「井伏らに騙されて入院させられた」などと訴えていたようです。

親をなんと呼んでいますか?

井伏鱒二18981993)に変わった題名の作品があります。

その題名は『「槌ツァ」と「九郎治ツァ」はけんかして私は用語について煩悶すること』です。お読みになったことはありますか?

私は今、その作品を含む井伏鱒二の『山椒魚・本日休診』電子書籍版で読んでいます。表題作のほかに、今回取り上げる作品のほか、全部で九編の短編・中編の作品が収録されています。

私が使う、Amazonの電子書籍を読むために特化された端末Kindleが、2カ月ぶりぐらいに使えるようになったことを本コーナーで書きました。

その過程で、Amazon側の手違いなのかもしれないのですが、該当する電子書籍を無制限に読めるKindle Unlimitedのサービスを、3カ月間利用できるようになりました。このサービスの利用には、通常、1カ月980円が必要です。

井伏の作品は、有名な『山椒魚』1929)を学校の教科書で読んだだけでした。その作品の内容を忘れていたので、もう一度読んでみようと、『山椒魚・本日休診』のサンプル版をダウンロードして読んでみたのでした。

京都ブランドのデオドラント化

本日の朝日新聞に、京都の街に愛憎を併せ持つ(?)井上章一氏(1955~)に語ってもらった「やっぱり『京都ぎらい』」が載っており、興味深く読みました。

副題は「観光地化とともに消えた性的におい」です。この副題について書かれた部分に、私は強くひかれました。

人が持つ五感で性的なものに直結するのは「におい」ではないか、と私は考えます。

前々回の本コーナーは、松本清張19091992)の『喪失の儀礼』1972)について書き、そこでも、人間の感覚を刺激せずにはおかない「におい」に触れました。

ゆっくり殺される恐怖

Amazonの電子書籍版で松本清張19091992)の作品を読みました。今回読んだのは『喪失の儀礼』です。今月10日までの期間、該当する書籍には50%のポイントが還元されるキャンペーンが展開され、本作もそれに該当するため、それを利用して読みました。

本作は、『小説新潮』1969年1月号から12月号に連載され、1972年11月に刊行されています。連載時のタイトルは『処女空間』だったそうです。

私はこれまで、清張の作品を数多く読んできました。清張に馴染のない人は、清張作品にどんなイメージを持たれるでしょう。

表現形式が推理小説である以上、事件が欠かせません。それも、人が殺される事件であることが大半です。

殺人事件を扱いながら、小説家によって、表現の仕方には違いが生じます。清張で特徴的なのは、殺害場面を描かないことです。これまで清張の作品に接してきて、犯行場面を読んだ記憶がありません。

あるいは、例外的にそれがある作品もあった(?)かもしれませんが、清張のほぼすべてに近い作品にはそれがありません。

清張のDを有する点と線

久しぶりで、松本清張19091992)の作品を電子書籍で読みました。

私には読書にも一定の傾向があるようで、このところは、山口瞳19261995)や井伏鱒二18981993)が書いたエッセイを読むことが続きました。

これはこれで楽しいのですが、そればかり続くと、今度は物語を読んでみたくなります。そこで、清張の作品を読みました。

清張は昔、文藝春秋から刊行された全集をすべて定期購読して読みましたので、今回読んだ作品も、そのときに読んだかもしれません。しかし、憶えていないので、電子版で読みました。

本日の豆ヒント
『Dの複合』は文藝春秋とは別の出版社から刊行されているので、文藝春秋が編んだ全集には含まれていないでしょう。
本日の豆訂正
上の「豆ヒント」で、本作は光文社から刊行されたため、文藝春秋が編んだ全集には含まれていないのでないかと書きました。そのあと、本作について書かれたネットの事典ウィキペディアに次のように書かれているのに気がつきました。
「『松本清張全集 第3巻』(1971年、文藝春秋)では、殺人の実行者を減らし、犯人のラストの科白を変更するなどの改稿が加えられた」。ということで、文藝春秋から刊行された清張全集に本作も収録されていたであろうことがわかりました。

今月10日まで、Amazonの電子書籍で、該当する書籍に50%のポイントがつくキャンペーンをしていることに気がつき、それに該当したのでその作品を手に入れました。

読んだのは『Dの複合』1968)です。