2006/07/31 『ラス・メニーナス』と鏡

本日は、ちょっとばかり絵について書いてみようと思います。

で、何から書き始めようかと考えたわけですが、本日のキーワードが「鏡」になりそうということで、ひとつ、動画を見ていただこうと思います。

これは、1991年10月27日にNHK教育で放送になり、ビデオ録画してあった「日曜美術館」を動画化したものです。

ベラスケスの回を含む「日曜美術館」の録画ビデオ

この日は「名画への旅 ベラスケス ラス・メニーナス」と題し、映画監督の吉田喜重さんが、ベラスケスの代表作、「ラス・メニーナス(宮廷の侍女 たち)」について、独自の解釈を披露されています。

この「ラス・メニーナス」は、大変に有名な作品ですので、おそらくはご存じの方が多いとは思います。が、念のため、ここでおさらいをしておくことにします。

この絵が完成したのは1656年といいますから、ベラスケスが亡くなる4年前になります。この作品は、1666年の蔵品目録には「家族の肖像」あるいは「王室一家」と記されていたそうです。現在の名称になったのは19世紀になってからで、「メニーナス」という言葉はポルトガル語の起源で、「宮廷の侍女」を意味します。

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2005/02/06 木口木版画家・小林敬生の世界

今日は一日何もせず、ただぼんやりと物思いに耽っていようと思っていた、のですが、日経新聞に私の関心を呼び覚ますような記事が載っていたので予定変更です。取り急ぎ、それについて少し書くことにします。

そして、それを書き上げたあとには油絵具で遊ぶことにします。

で、今日、私の心を捉えた記事は何かといいますと、日経新聞の「芸術・教養」欄に掲載されていた版画家・小林敬生(こばやし・けいせい|本名は こばやし・たかお)さんの記事です。

私が小林さんを知ったのは、今から15、6年ほど前になります。そのきっかけは、本コーナーでもたびたび書いています彫刻家・舟越桂さんを知ったのと同じでして、1989年当時、NHK総合で放送されていた「一点中継・つくる」(日曜/23:25~23:45)という番組によってです。

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2004/02/17 ベッドの上が画家・クートラスの仕事場

本コーナーでは昨日、生き方も風貌も“仙人”と呼ばれるに相応しい熊谷守一という画家について書きましたが、本日も本日で、極めて風変わりな画家について書こうと思います。

彼については、その存在を知ったときから書こうと思っていましたが、踏ん切りがつかず、これまで先延ばししてきました。その画家の名は、ロベール・クートラス(1930~1985)といい、この名前からおおよそ想像がつく通り、彼はフランスの画家です。

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2004/01/30 フランス・ハルスの展覧会

今日、ある美術展を見てきました。

千葉県佐倉市(元ミスター・ジャイアンツこと長嶋茂雄さん〔※ 長嶋さんが生まれた頃は臼井町でしたが〕、そして、マラソンの監督で高橋尚子さんや有森裕子さんを育てた小出義雄監督の出身地)にあります佐倉市立美術館(もとは市役所だった建物と聞きます)で現在開催中の「フランス・ハルスとハールレムの画家たち」(2004年1月24日~3月7日)です。

『 フランス・ハルスとハールレムの画家たち 』のチラシ(表)
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2003/11/06 写真家・中平卓馬の存在

芸術の秋だからというわけでもありませんが、ふとした時に、アウトサイダー・アートともいえるような作品を生み出しているアーティストに心を惹かれることがあります。

ロベール・クートラスという画家にも心を惹かれました。彼については、数日の内に書きたいと思いますが、今日は、先日(11月2日)の日経新聞に載っていた中平卓馬(なかひら・たくま:1938年東京生まれ。1963年、東京外語大卒業後、現代評論社に入社し、森山大道東松照明らと出会い、写真を学ぶ。1965年に退社、作品や批評を発表する。写真集に「来るべき言葉のために」〔1970年〕「新たなる凝視」〔1983年〕など=2003年11月2日付日経新聞記事より)という一人の写真家について書いてみます。

記事の見出しは、「中平卓馬 病後の挑戦 純粋写真、無心を写す 意図は排して撮影の日々」です。

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2003/06/19 牛腸茂雄展

昨日は梅雨空の下、展覧会を一つ見てきました。

今回私が見た展覧会は、現在、東京・北の丸公園東京国立近代美術館で開催中の「地平線の夢・昭和10年代の幻想絵画」(2003年6月3日~7月21日)であり、同時開催中の「牛腸茂雄展」です。これに当館の所蔵作品を展示した「近代日本の美術」も合わせて630円で見覧できます。美術団体の団体展の見覧料がだいたい700円前後ですから、とてもお得であると思います。

それにしても、昨日は梅雨空という天気のせいもあったのか、館内はとても空いており、展示室によっては観覧する私と監視員の女性二人しかいない状況でした。そうなりますと、作品を鑑賞する私が監視員の女性に“鑑賞”されているようで、妙に落ち着かない気分になってしまいます。

ともかくも、私は何の予備知識もないままに目的の展覧会を見たわけですが、展示室には奇妙に一致した内容の作品ばかりが展示されています。会場内に置かれた見本のカタログをパラパラとめくって納得しましたが、いずれもが有名な画家・サルバドール・ダリの影響を受けた一種幻想性を感じさせる作品群です。

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2004/04/23 フェルメール作『画家のアトリエ』のある企画展

昨日は、夏到来を思わせるような暑い陽気の中、東京・上野にあります東京都美術館へ足を運んできました。現在、同美術館で開催中の企画展「フェルメール『画家のアトリエ』栄光のオランダ・フランドル絵画展」(2004年4月15日~7月4日)を見るためです。

それにしても、秋は「芸術の秋」あるいは「美術の秋」ともいわれるほど展覧会が目白押しですが、春の今頃というのも「美術の春」といってもいいほど、企画展や美術団体展が数多く開かれます。これは、寒い冬が終わり、人々が活動的になる季節に合わせてのことでしょうか。

今回の企画展での目玉は何といってもフェルメール“WebMuseum: Vermeer, Jan”)の超有名な作品『画家のアトリエ』の展示でしょう。

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2004/03/04 妖しい魅力の「球体関節人形展」

昨日、ちょっと刺激的で魅力的な展覧会を見てきました。

現在、東京・江東区東京都現代美術館で開催中の「球体関節人形展」(2004年2月7日~3月21日)です。

「球体関節人形」というのはあまり馴染みのない言葉ですが、意味はそのままで、「関節の部分に球体を入れることで自由なポーズを取れる人形」を総称するようです。

同展のチラシ(表)
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2004/02/16 画家・熊谷守一の生き方に学ぶ

昨日放送された「新日曜美術館」(日曜美術館)(NHK教育/日曜09:00~10:00 再放送20:00~21:00)は、いろいろな意味で興味深い内容でした。

今回、その番組が取り上げたのは熊谷守一(以下、守一)という画家です。

私に強い印象を残したのは、彼が70歳近くなるまで、画家という肩書を持ちながら、絵を全く描けずに過ごしたことです。

守一は、明治33(1900)年東京美術学校(に入学し、主席で卒業します。同窓生には、夭折の天才 青木繁がいました。

青木は、自分が早死にすることを悟っていたように、話題作、問題作を次々発表し、自らの作品世界の確立を確認したのち、死んでいきました。彼と同窓で学んだ守一は、青木の生き方や創作活動、名声をどう受け止めたでしょうか。

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2003/07/21 光と陰の画家レンブラント

今回は絵画の話を書きます。それも、私が最も敬愛するレンブラントについてです。

で、レンブラントといえばつい最近、あるニュースが話題となりました。それは彼が描いた『自画像』が新たに発見されたというものです。

今私の手元には、それを伝える新聞の切り抜き記事がありますが、ロンドンの競売大手のサザビーズで競売にかけられ、レンブラントの『自画像』としては史上最高額の約6百95万ポンド(約13億3千万円)で落札されたそうです。ついでまでに落札に成功したのは、アメリカでカジノを経営するスティーブ・ウィン(ウィン・ラスベガス)という人物だそうです。

一般庶民にとっては全く縁のない金額で、私のもっぱらの関心も、どういう経緯でその作品が世に出てきたのか、という一点にのみあります。

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