舟越桂の作品について

舟越桂19512024)という彫刻家を知っていますか?

舟越は、彫刻家・舟越保武19122002)の次男として生まれ、父と同じ彫刻家の道を歩みました。

舟越は、今年の3月29日、肺がんで亡くなりました。享年は72です。

私がはじめて舟越を知ったのは1989年4月2日です。日付まで正確にわかるのには理由があります。

その年、NHK総合は毎週日曜日の午後11時25分から45分までの20分間で、「一点中継 つくる」という美術番組を放送していました。毎回、ひとりの作家の創作の様子を伝える番組です。

私は当時から、興味を持った番組は録画する習慣がありました。しかも、深夜の放送ですから、早寝する私は録画してしか見ることができません。

当時のことですから、私はVHS方式のビデオデッキでビデオテープに録画し、あとで見ました。

ですから、舟越を初めて知った日は、4月2日に録画した番組を見た3日以降となります。

95歳の美術史家

ここ最近、高齢であるのに、現役で元気に活動されている人を知り、驚かされることが続きます。

横尾忠則1936~)が87歳になられるのに、とてもその年齢に見えないことに驚かされました。続けて、宇野亞喜良1934~)は90歳で今なお、若々しい感覚で仕事をされていることを知り、これまた驚きました。

そして今度は、美術史家の高階秀爾氏(1932~)です。高階氏は95歳になられますが、顔つきは現役時代そのままの鋭さです。

高階秀爾 – 「アートの歴史は未来を語る」

日曜日の午前9時からNHK Eテレで放送される美術番組に「日曜美術館」があります。私はこの番組を半世紀近く見ているはずです。高階氏は、美術全般について語れる専門家として、同番組には欠かせない存在です。

NHKが同番組のほかに美術を取り上げる番組を作ると、高階氏は監修として関わることが多くありました。番組は書籍にもまとめられ、そこにも、高階氏が登場され、それぞれの作品について解説されています。

この日曜日(9日)、「日曜美術館」は高階氏を取りあげた「美を見つめ、美を届ける(2)名画を見る眼 高階秀爾」を放送しました。私は録画して見ました。

宇野亞喜良商店の少女の魅力

2日にNHK Eテレで放送された「日曜美術館」を録画し、昨日見ました。

私は昔から同番組を見る習慣がありました。それがいつからか、疎遠になりました。理由は、昔に比べて内容が浅くなったように感じたことなどです。

昔の同番組は、美術の専門家をゲストに招くようなスタイルでした。それが、2000年代に入ってしばらくした頃からでしたか、タレントが多く出演するようになりました。それだけ、バラエティ色が強まっています。

そんな感じで、最近は同番組を見ないだけでなく、放送内容をチェックするのも疎かな状態でした。

新年度になり、同番組の制作スタイルに少し変化があったようです。新聞のテレビ欄を見て、見てみたいような放送をしているのに気がつきました。

2日は「変容するイラストレーション 宇野亞喜良」。一世を風靡したイラストレーターでグラフィックデザイナーの宇野亞喜良1934~)を特集しています。

横尾忠則に学ぶ何でも受け入れる生き方

昨日(2日)の午前7時から、NHK BSで「横尾忠則 87歳の現在地」が放送されました。これは、今年の3月にNHK BSプレミアム4Kで放送された番組です。

少し前にそれがNHK BSで再放送されることを知り、早くから録画の予約をしていました。

私は横尾忠則1936~)の作品そのものがそれほど好きというわけではありません。

彼は西洋絵画の歴史や技法を学ぶことをせず、本能的に絵具を使い、コラージュを織り交ぜて、自己流の作品を作りあげています。

どんな時代もマスメディアは、珍しい人が登場するとそれを盛り立て、時代の寵児に祭りあげます。若き日の横尾もマスメディアによってその地を得て、それが今に続いています。

彼は途中で、商業美術から画家宣言をしたりしていますが、彼がやっていることは、それ以前と以後で変わったことはありません。彼流の思いつきで筆を動かし、それを「作品」としていることです。

強い粘性の触感を味わう愉しみ

昨日は、油絵具と接する時間を持ちました。どんなことでも、それに接する機会を多くするほど、得られることが多くなります。

直近まで描いた『自画像』が出来上がってしまい、今のところは、新しい絵を描いていない状態です。それでも、絵具に接する時間を持つため、年単位で手を入れている、レンブラント16061669)作品の模写もどきをしています。

レンブラントは63歳まで生きましたが、晩年になるほど作品の出来栄えが向上しました。私が年単位で手を入れているのは、マルガレータ・デ・ヘールという老婦人を描いた肖像の顔の部分です。

模写に使っているのは、1990年12月27日に購入した『巨匠の絵画技法 レンブラント』です。この技法書については、本コーナーで何度か取り上げています。

レンブラント作品を初期から晩年まで11作品取り上げ、それぞれの作品を、レンブラントの絵画技法の観点から検証しています。

画面の縦横の比率と表現の幅

油彩画を描くのに最も用いられる支持体カンヴァスです。昔は板に描かれることが多かったようです。

今でも絵画作品を「タブロー」といったりします。これはおそらく「テーブル」から派生した言葉(?)で、板に描かれた油彩画を昔はタブローといったりしたのかもしれません。

ルーベンス15771640)の作品は板を貼り合わせたパネルに描かれています。

ルーベンスは大きな工房を持っており、多くの弟子を使っていました。ルーベンスには外交官の一面もあり、注文を受けた作品さばくため、ルーベンスが下絵だけを描き、あとの工程を弟子たちに任せることが多くありました。

はじめから終わりまでルーベンスがひとりで描いた油彩画は、ルーベンスの油彩技法の特徴がよく表れています。

ルーベンスがパネルを好んだのは、平滑な画面を求めたからです。パネルには、今のジェッソのような下地材を塗り重ね、それを平滑に磨きます。

その上に油絵具をつけていきます。その際、暗部は溶剤で薄く溶き、透明性を持たせます。一方、明部はシルバーホワイトなどで不透明に塗ります。

2013/01/11 サムライのイメージ論・芸術家の場合

質問をひとつさせてもらいます。「侍」と聞いてあなたはどんなイメージを持つでしょうか?

正直な話、私は、昔に侍といわれた人たちが日々をどんな風に過ごしていたか、すぐにイメージすることができません。

ネットの辞典ウィキペディアにある記述にさらっと目を通してみますと、世の中が安定してからは、彼らは支配階級に仕える下級役人で、今の多くのサラリーマンと同じように、上昇志向を強く持っていたようですね。

だとすれば、小説や映画、ドラマなどに登場する侍像というのは、ごく一部に一定数いた、あるいはいたかもしれない「はねかえり」を誇張して描いていることになりましょうか。

私自身、軽はずみなことはよくしでかし、ほかの人から、はねかえりに近いと思われる部分も多分に持っているであろうと自覚していますので、その意味の侍であれば嫌いではありません。

もっとも、はねかえりの性格を持つ者は、同じようなはねかえりの性格の人間とうまくいくはずもなく、似ているが故に、どちらかが折れてはねかえり度を弱めない限り、うまく付き合うのは難しいでしょうが。

大衆と無関係であればAIがどんな力を得ても影響を及ぼせない

人工知能(AI)が急速に発達したことが、あらゆる方面に影響を及ぼしています。

今後、それが多くの分野へ浸食し、それまでは人間の手で行われていたことが、AIに置き換わっていくのではと見られています。たしかに、AIに置き換わる業種はあるでしょう。

たとえば、テレビのニュースでニュース原稿を読むだけや、ドキュメンタリー番組で、原稿通りのナレーションを読むだけであれば、人間のアナウンサーに代わり、AIの音声に任せた方が、読み間違いが起こらないなど、便利なことが考えられます。

声だけの仕事であっても、リアクションが求められるようなものであれば、人間がしたほうがいいかもしれません。

国会で速記を取る仕事も、AIの文字変換精度が上がれば、AIに置き換わっていくのではないでしょうか。

速記というのは、特別な訓練を経て身につけるものでしょう。それが、AIの登場によって、仕事の場をなくすというのであれば、長くその仕事に携わってきた人には無念に思われるでしょう。

それぞれの会社で行われている事務の処理も、AIに任されるものは、どんどん、それに任せるような方向へ向かうかもしれません。

あなたにもある「知らない世界」

「あなたの知らない世界」などと書きますと、何やら、ミステリーや超常現象を扱うテレビ番組のタイトルのようです。

普通に生活している人が「知らない世界」は無数に存在しています。それが専門分野であれば、普通の個人には「知らない世界」です。おそらくは、一生知らないまま過ごすことになるでしょう。

もっと日常的なものでも「知らない世界」が、知らないところで存在し続けていたりします。そして、それに気がつくことで、自分がそれを知らずに生活していたことを気づかされます。

私は昨日、そんな気づきを得ました。

ネットの動画共有サイトYouTubeには、ほぼ無数といっていいほどのチャンネルが存在します。私も日常的に利用していますが、自分が接するのは、ごくごく一部になりましょう。

そして、それまで接したことがなかったチャンネルの動画を見ることで、自分の「知らない世界」がそこにあることに気づかされます。

美術の分野にも非常な博識を持つ人に山田五郎1958~)という人がいます。

私が山田氏を初めてテレビで見たときのことを今も憶えています。今も深夜に放送されているであろうテレビ番組(私はその番組を見ないので、想像形で書いておきます)に、『タモリ倶楽部』があります。

2005/05/22 ルオー展

私は昨日、美術展をひとつ見てきました。

その昨日の朝、出かけ前に私の頭にはふたつの美術展がありました。そしてほぼ想像通り、最初に向かった美術展を見ることは叶わず、ふたつ目の美術展を見ました。

見るのを諦めたのは、本日まで東京・竹橋の東京国立近代美術館で開催されていた「ゴッホ展 孤高の画家の原風景」です。

しかし、この美術展については、会場に着く前から、見られるか見られないか半々の気持ちでした。というのも、数日前に、2時間待ちの行列ができていると新聞にあったのを見ていたからです。

会場へ着くと、2時間待ちのお知らせがあり、道路の向こう側に大勢の人が列を作って並んでいるのが見えました。私は諦め、近代美術館をあとにしました。

本日の豆動画1
会場周辺をビデオカメラで撮影したものを編集し、短い動画にまとめました→「『ゴッホ展』120分待ちで残念断念の巻」。
2005年ゴッホ展の会場周辺風景

次に向かったのは、同じ地下鉄東西線沿線にある東京都現代美術館です。こちらは、「ゴッホ展」が見られない場合を想定して予定に入れておいた美術展「ルオー展」2005年4月16日~6月26日)が開かれています。