油絵具をアラプリマで使って新境地

前回の本コーナーでは、レンブラント16061669)の晩年の傑作、ユダヤの花嫁1665)の男性部分頭部を、アクリル絵具で模写したことを書きました。

その中で、同じことを油絵具でやることを考えていると書きました。そうは書きつつも、内心では、油絵具でそれをするのは難しいだろう、と正直考えていました。

「案ずるより産むが易し」です。

私は、アクリル絵具で描いた翌日になる昨日(3日)、早速それを試しました。

油絵具を使って絵を描く人も、アラプリマで描く人はどれほどいるでしょうか? 私も昔から油絵具を使ってきましたが、これまで、アラプリマのように描いたことはありません。

理由は、アクリル絵具などと違い、油絵具は、濡れた絵具の上に新しい絵具をのせるのが、慣れないと難しいため、絵具を「泥沼」のようにしかねないと考えなくもなかったからです。

それでも、物は試しと、それを試しました。その結果、非常に得るものがありました。油絵具を使った表現方法に「新境地」を得た気分と書いても決して大げさにはなりません。

それを試しただけでなく、その様子の始終を、ビデオカメラですべて収めました。

キヤノンのビデオカメラ iVIS-HF-M41

ビデオで録画することを前提としたため、三脚にカメラを固定した状態で描きました。

描く素材は前回と同じです。33年前に購入した技法書の『巨匠の絵画技法 レンブラント』に載っている、『ユダヤの花嫁』の男性の実物大の頭部の画像を見ながら描きました。

描く支持体も前回と同じで、ハガキ大の紙です。これにはあらかじめ、下地のジェッソを塗って乾かしてあります。

描く様子は言葉で説明してもわからないでしょうから、全編を動画にしました。

はじめはオリジナルの速度で動画にしようと考えましたが、それは止めました。なにしろ、全部で【3時間5分】程度の長さになってしまうからです。

録画したビデオ動画は、3本あります。ということは、途中で二度休憩をしたことになります。それを合わせれば、4時間程度かかった計算です。

今、これを更新している裏で、編集が終わった動画の書き出し作業が続いています。これが想像以上に時間がかかり、全体の3/4程度がやっと終わった段階です。

それが終わったあと、動画のサイズを小さくするため、「動画圧縮のプロ」というソフトで圧縮する予定です。その作業にも時間がかかるでしょう。

撮影したままの動画では時間が長すぎるため、大半の時間を短縮しました。

動画の編集にはBlackMagic DesignDaVinci Resolve Studioを使いますが、このソフトは動画の再生速度を変更する機能があります。それを使い、1/5の長さに変更しました。

最終段階は本来の速度にし、都合、【33分42秒】の長さに収めました。

映像で見ていただくだけではわかりにくいかもしれないと考え、アフターレコーディング(アフレコ)で私の「解説」を吹き込みました。

この録音に利用したのは、ZOOMのフィールドレコーダーのF2です。これに付属のラベリアマイク(ピンマイク)を胸元につけ、動画を再生し、それを見ながらアフレコをF2に吹き込みました。

ZOOMのフィールドレコーダーF2と付属のラベリアマイク

30分以上しゃべりっぱなしのため、途中で息切れ気味となっています(?)。

今回の模写をしたことで、油絵具を使った表現に大きな可能性を持ちました。

動画の中でも話していますが、油絵具を使った作品といえば、誰もが大きな作品をイメージするでしょう。しかし、縦横のサイズが何メートルもある作品をアラプリマで描くのは現実的ではありません。

アラプリマで描いたゴッホ18531890)にしても、古典絵画の多くの作品ようには、大きな作品を描いていません。アラプリマではそれがほぼ無理だからです。

人物が何人も登場するような絵であれば、それぞれの人物をアラプリマで描き足すような描き方ならできそうです。

前回の更新で、私が、NHK-FMのリクエスト番組「サンセットパーク」19982011)(この名称になる前は「夕べのひととき」、東京のみは「夕べの広場」)宛のリクエストカードに、アクリル絵具で絵を描いた話を書きました。

リクエストカードですから、絵を描く支持体はハガキになります。そのサイズに絵を描くことに馴染んだ私は、そのサイズに親しみがあります。

今回も、そのサイズに、油絵具をアラプリマに使って絵を描きました。この描法がそのサイズに合うことを感じました。

また、私はリクエストカードの時代から、人物の顔を描くことを好んでいます。それを今度は、油絵具でハガキ大の支持体に描いてみたらどうだろうと考え始めました。

動画の中でも述べていますが、ヤン・ファン・エイク13951441)という画家が描いた作品の中には、小さなサイズに描いた肖像画があります。油彩画を覗き込むように楽しむ楽しみ方があってもいいと考えます。

油絵具は、時間をかけて描くものというイメージがあります。それを、ゴッホのように、数時間で描くことで、仕上がりの見極めが確実につくようになる強みがアラプリマの技法にあることを知りました。

今回の模写にしても、「これで完成」という意識を持つことができました。それ以降は、筆を加える気になりませんでした。その感覚は、アクリル絵具で描くときと同じです。油絵具で描いて、その感覚を持ったことがありませんでした。

これも大きな収穫です。

このように、いくつもの収穫を得て、私が「新境地」を得たと書いたのも、決して大げさではありません。

これだけ書いても、動画のレンダリングがまだ終了しません。それが終了したあと、「動画のプロ」で圧縮をかけることはすでに書きました。その時間も必要になります。

動画が完成しなければ、本コーナーの更新はできません。

それが終わったら本ページに埋め込みますが、その前に、描き終えた模写を下に貼っておきます。

レンブラント『ユダヤの花嫁』部分模写

それに加えて、これを描き終えたときの、パレットも静止画に残しましたので、それも下に貼っておきます。

レンブラント『ユダヤの花嫁』部分模写が終わったときのパレット

今回使った油絵具は次の色になります。パレットの一番右から左へ順に書いておきます。

シルバーホワイトレモンイエローイエローオーカー
ローシェンナヴァーミリオンカドミウムレッド
カーマインローアンバーアイボリーブラック
セルリアンブルーコバルトブルーウルトラマリン

動画の書き出しが終了しました。動画のサイズは【30.26GB】です。これを、「動画圧縮のプロ」でどこまで圧縮できるでしょう。1/10ぐらいになってくれると助かるのですが。

動画の圧縮も終了しました。結果は【563.33MB】です。

これは驚きですね。なんと、【98.18%】圧縮してくれました。これだから、「動画圧縮のプロ」は手放せません。早速、下に埋め込むことにします。

油絵具でアラプリマ レンブラント『ユダヤの花嫁』部分模写

ともあれ、「案ずるより産むが易し」でやってみて本当に得るものがありました。これまでの油絵表現の考え方がガラリと変わりました。

ますます、油絵具と接するのが愉しくなります

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