昨日、一日で絵を一枚描きはじめ、描き終えました。油絵具の場合は、ゴッホ(1853~1890)のように、アラプリマで描かない限り、一日で仕上げまでもっていくのは困難です。
私も次にはアラプリマで油絵具を扱い、小さな絵であれば、一日で描き切ることができるか「実験」しようと考えています。
私が今回使ったのはアクリル絵具です。
この絵具は、顔料や染料がアクリル樹脂で練られており、水で溶いて使えます。水分の蒸発と共に、塗られた絵具が乾く速乾性です。水で溶いて塗られた絵具は、乾くと絵具に解けない性質を持ちます。
私は、NHK-FMのリクエスト番組「サンセットパーク」(1998~2011)(この名称になる前は「夕べのひととき」、東京のみは「夕べの広場」)宛に、1983年から、番組が終了した2011年3月末までリクエストカードを出しました。
終盤には、FAXでリクエストできるようになり、最後はネット経由でもリクエストできるようになりました。それ以前は、郵便はがきでリクエストするよりほかりませんでした。
そのハガキに私は、アクリル絵具で絵を描いてリクエストしました。その数はどれぐらいになるでしょう。相当の枚数になると思います。
そんな風にして、慣れ親しんだアクリル絵具を使い、昨日は、レンブラント(1606~1669)のユダヤの花嫁(1665)に描かれている男性の頭部だけを模写もどきしました。
描くのに参考にしたのは、『巨匠の絵画技法 レンブラント』という、33年前に手に入れた本に載っている、実部大の画像です。
こんなことを急にしてみようと考えたのは、描く過程を映像で記録に残してみようと考えたからです。
私が使っているペンタックスのPENTAX Qという、練武交換式スチルカメラとしては世界最小の撮像素子が搭載されたカメラには、インターバル撮影(低速度撮影)の機能が搭載されています。それを使い、タイムラプス映像を作るのが目的で、模写もどきをしました。
私は、10秒間隔で撮影するように設定しました。1秒間に30フレームの動画を前提にすれば、1秒分の動画を撮影するのに5分間かかる計算です。
逆のいい方をすれば、5分間を1秒に短縮することになります。
そのように撮影したタイムラプス動画は、実際は長時間かかる絵の制作過程を短時間で表現できます。
カメラはバッテリーで駆動します。カメラの電源が入りっぱなしで、電池の消耗は避けられません。
描き始めから描き終わりまで、2時間から3時間ほどかかりました。その間、一本目の電池を使い切り、二本目の電池に入れ替え、それを使っている間に一本目を充電し、二本目の電池を使い切ったあと、また、一本目の電池に入れ替え、それを使い切った頃に撮影が終わりました。
そのように苦労して撮影したインターバル撮影ですが、結局はうまくいきませんでした。ですので、動画で紹介することができません。
動画を撮影するため、描く絵の前に、三脚に固定したカメラを設置するなどしたため、描きにくい中での制作となりました。
私は、アクリル絵具のときも、油絵具のときも、下描きはしません。レンブラントやカラヴァッジオ(1571~1610)も下描きはしていません。いきなり、カンヴァスに絵具をつけ、描きながら全体のバランスをとり、描いています。
細密な作風であれば、下描きが欠かせないでしょう。しかし、そのような描き方をすると、どうしても硬い絵になります。レンブラントの作品から感じる自由さは、下描きをしないことから来るものでしょう。
私は、リクエストカードを描いていた要領で、ハガキ大の紙に描きました。ハガキにはジェッソで下塗りをし、絵具が紙に染みこまないようにしています。これをしないと、発色が悪くなります。
昨日描いた模写もどきを下に貼っておきます。本物そっくりというわけにはいきませんが、少しは雰囲気を出せたように感じています。

描き終わった時のパレットを写真に撮っておいたので、その画像も下に貼っておきます。

アクリル絵具の良さは、短時間で描き上げられることです。それとは逆に、油絵具は時間がかかることで、丹念な絵作りができる絵具といえましょう。
今度は、油絵具を使い、同じ模写を、アラプリマのようにして描き、それをビデオカメラに収めることを計画しています。長時間撮影したビデオ映像を、編集で時間を短縮することができます。
映像の問題以前に、油絵具で短時間に描き上げることができるかは、自分への「挑戦」にも「勉強」にもなります。