今日の朝日新聞に、思いがけずカラヴァッジォ(“WebMuseum: Caravaggio, Michelangelo Merisi da”)の展覧会を紹介する記事が載っています。
で、このカラヴァッジォですが、イタリアでは有名な画家(イタリアの貨幣である10万リラ札に彼の『自画像』が使われているほど)なのですが、ご存じない方のため、以下にある本(『CARAVAGGIO/カラヴァッジオ』(ジョルジョ・ボンサンティ著/野村幸弘訳))に書かれていた文を引用します。
「カラヴァッジオ(ミラノ1571~ポルト・エルコレ1610)
イタリアにはミケランジェロという名をもつ天才的な芸術家がふたりいた。ひとりはあの有名な16世紀の彫刻家ミケランジェロ・ブオナローティ(“WebMuseum: Michelangelo”)。そしてもうひとりが、16世紀末から17世紀の初頭にかけて、その後のヨーロッパ絵画史を塗り替えるほどの革新的な作品を次々に制作し、波瀾万丈の生涯を送った画家ミケランジェロ・メリーシ・ダ・カラヴァッジオである。透徹したリアリズムと劇的な明暗法を特徴とするカラヴァッジオの作品には、いずれも官能性と深い宗教性が漂い、17世紀ヨーロッパのさまざまな画家たちに多大な影響を及ぼした。しかし彼自身は数多くの不祥事を起こした末に殺人を犯して逃亡生活に入り、悲惨な末路を辿る。享年38歳」
まさに映画にでもなりそうな彼の生涯ですが、事実映画になりました。そのタイトルも『CARAVAGGIO/カラヴァッジオ』。
もうずいぶん前になりますが、私はその映画の上映を偶然情報誌で知り、東京・五反田にある映画館まで足を運びました。
監督したのはデレク・ジャーマンです。その時には、『カラヴァッジオ』の他にもう一本、彼の作品が一緒に上映されました。作品名は忘れましたが、ストーリーが複雑に絡み合うような作品だったと記憶しています。とにかく、私はストーリーを追うのが苦手、といいますか、面倒臭い性質たちで、何とか食いついて見ていた記憶があります。
話を『カラヴァッジオ』に戻しますと、その映画のキャッチコピーには「男と男と女。人生はスキャンダラスに、嘘はゴージャスに」とあります。
このことは彼について書いた本などにも書かれているのですが、彼は女性だけを愛した男性ではなかったようです。ちょっと回りくどい書き方をしていますが、要するに女性と同様に男性をも愛することができたようです。その辺が「男と男と女」というキャッチコピーにつながっているのだと思います。
確かに、映画の中で、熱病に冒されるカラヴァッジォを献身的に看病しているのは男性です。また、これは注文主の好みも反映されているのかもしれませんが、裸婦像ではなく、裸の少年を描いた作品が多く残されています。
上で書いた映画はレーザーディスク(LD)化されて発売になっています。実は、私もソレをもっていたりするのですよね(←ちょっぴり自慢げ?)。で、そのLDのジャケット写真がコレ↓です。
今回日本で開催されるという『カラヴァッジオ展』(朝日新聞社など主催 2001年9月29日~12月16日まで東京都庭園美術館にて開催予定。ちなみに、東京のあとは愛知・岡崎市美術館へ巡回予定)で展示される作品の中に、まさに上で紹介している映画のポスターの元となったカラヴァッジォの初期の作品『果物かごを持つ少年』も日本初公開される予定だそうです。
よく彼の人生は波瀾万丈だったといわれますが、いい方を換えれば、自分自身に正直に生きた結果、といえなくもないように思います。
絵を愛し、女を愛し、男も愛し、酒を愛し、そして喧嘩さえも愛し、、、挙げ句の果ては、相棒にだけに看取られてこの世を去っていきました。享年もたったの38歳。まさに私がイメージする天才に最も相応しい人物、それがカラヴァッジォという画家です。