暑い盛りは何をするのも億劫で、頭を使って何かを考えることさえも面倒に感じたりします(←そんなのは私だけでしょうか(;´Д`)?)。それが、涼しい風が吹き出したりしますと、途端に身も心も軽くなったように感じ、それまで停滞していたものやことが、急に動き始めたりします。
9月になりまして、関東も暑さが遠のき、ずいぶん涼しくなりました。このまま一気に秋が深まることもないでしょうが、気温が下がったことで私の中でにわかに蠢き始めたのは物欲です。というわけでもありませんが、カメラを1台手に入れました。
このたび私が購入しましたのはビデオカメラです。そして、またしても私の得意技で、中古のカメラです。
私はスチル写真を撮るのが好きですが、動く映像を撮るのも好きです。そんな私は、長いこと欲求不満の状態にありました。
私は、たしか2000年に手に入れたビデオカメラを長いこと愛用し、どこへ出かけるときもバッグに入れていき、気になった被写体に出会うと取り出して撮影したりしました。そのカメラは今も手元にあり、問題なく使えます。が、撮影に使うつもりはありません。撮影後、PCに取り込んで編集するのが面倒だからです。
このカメラは、MiniDVテープに録画する方式です。そのため、録画したものをPCで編集しようとしますと、カメラで再生し、その映像をPCにあらかじめ入れておいた専用ソフトで録画しなければなりません。PCに取り込む時間は、再生にかかる時間だけ必要になります。10分の映像であれば10分。30分であれば30分といった具合にです。
PCの性能が今に比べてずっと低かった時代は、録画済みのビデオ映像をPCに取り込むことだけでもひと苦労でした。
私が、ファイル形式で録画できる次のビデオカメラに乗り換えたのは一昨年の2月のことです。今のビデオカメラはどれもPCに取り込むことを前提に作られているため、カメラからPCへの移動が実に簡単です。
そんなこともあり、PCとの親和性のよいビデオカメラを便利に使っていましたが、不満がまったくなかったわけではありません。私の最大の不満は、そのビデオ・カメラにファインダーがついていなかったことです。
昔は、どんなに安いビデオカメラでも当たり前のようにたファインダーがついていました。それがいつの頃からか、ファインダーのないカメラが一般的になり、今は高級=高価なカメラにだけファインダーがついています。
ですから、ファインダーがどうしても必要であれば、ファインダーがついたカメラを見つけて選ぶしかありません。私は値段の安さにつられてといいますか、ファインダーのないビデオカメラを選び、今まで我慢して使ってきました。ただ、どうしてもファインダーを覗きながら撮影したいという欲求は消えず、その思いは強まるばかりでした。
そんなとき、たまたま見つけたのが安値で手に入るファインダーのついたビデオカメラです。中古品のため、手に入るのはそれ1台きりです。他の人の手に渡ったら、いつまたその機会に巡り会えるかわからないため、私は急いで買い求めてしまいました。
というわけで、私が使い出したビデオカメラは、キヤノンのiVIS HF M41です。価格は1万8000円弱でした。
中古品ですから、ボディには汚れがありますが、器械としてはまったく問題がなく、新品と変わらずにきちんと作動します。新品を手に入れても、使っていけば知らないうちに汚れはつくでしょうから、私はそうしたことは気になりません。と自分にいい聞かせつつ、愛着を持って使っていくことにします。
使ってみての感想は、「やっぱりファインダーを見ながら撮影するのはいい 」です。
撮影しているときの感覚が、液晶モニタで確認しながら撮影するのとはまるで違います。被写体に集中できるといいますか、1回1回の撮影が丁寧になります。
私は別に専門家でも何でもありませんが、ビデオ撮影において一番大切なのは何かと訊かれたら、カメラワークと答えましょう。ビデオは、1カットを長回しすることができ、それを活かした撮影が有効であるように考えています。
カメラワークには、ズームの操作も含まれます。自分の眼の延長のようにビデオカメラを振り、全体を広く見たいときはレンズの焦点距離を広角側にし、何かに注目したいときは、同じ画角のまま対象物に自分で歩いて近づくか、そうでなければズーミングで望遠側にし、自分がよく見たいものを画面の中により大きく捉えます。
こうした一連の操作を、頭で考えるのではなく、自分の気持ちに忠実にといいますか、自然に行えたら、それがそのときに望まれる最良のカメラワークに近づくだろう、というようなことを私は考えたりします。この考えがカメラワークを考える上で正解かどうかはわかりません。
こうした撮影を、液晶モニタで確認しながら即興で行うのは大変難しいです。その点、ファインダーを覗くことでカメラの構えを安定させ、しかも被写体に神経を集中させながら行えば、上手くいくときは上手くいきます。そして、上手くできたと自分で感じられたとき、ファインダーに感謝したくなるでしょう。
というわけで、今の方式のビデオカメラになって初めてファインダーのついたビデオカメラが私の相棒になりました。今後はこれをどこへでも連れ出し、私の網膜の延長で記録を担ってもらうことにします。