前回の本コーナーでは、アップルのデジタルオーディオプレーヤー(DAP)のiPod classicから出力される音楽を、私のオーディオスピーカーで聴く話を取り上げました。
その更新をしながら、久しぶりに動画を作ってみようと思い立ちました。
私が過去に作った動画と同じで、自分の持ち物をカメラで撮り、それに自分の語りを入れた作りです。
今回動画を作る気になったのは、自分の声を吹き込む作業を確認する意味がありました。
今回の動画でも、画面に映っている物を私がしゃべって説明するスタイルです。撮影時に説明すれば、同時録音すればいいのですが、私は動画だけを先に撮り、その動画にあとで自分の声を吹き込む作り方を昔から好んでいます。
私は昔から映像というものが好きで、民生用のビデオもなかった時代は、その時代、普通の個人が唯一扱えた映像機器の8ミリ映画で映像を楽しみました。
8ミリの最後の方で、フィルムに音をつけられるようになりましたが、それ以前は、サイレントが基本でした。
フィルムに磁性帯がつき、音を入れられるようになり、自分で撮った映像に音を吹き込むことを私はしました。
その作り方が、デジタル時代の今も、私に残っているといえましょう。
その吹き込み作業に、はじめは、昨年4月に購入したZOOMの”F2”という、超小型のフィールドレコーダーを使いました。
レコーダーには専用のラベリアマイク(ピンマイク)がついています。それを胸元につけて自分の声を録りました。
それはそれで悪くはないのですが、音圧が強いといいますか、今回の動画の声としては、主張が強すぎるように感じました。
もしも外国のドラマに日本人が吹き替えをするときに同じようにして声を収録したら、見ている人が違和感を持つかもしれません。
書物を朗読するのであれば、F2とラベリアマイクの組み合わせがいいでしょう。しかし、臨場感のある声が必要なときの録音には向かないように私は感じました。
そこで、次に、今年の7月に導入した同じZOOMの”M3 MicTrak”で録音することを思いつきました。

M3は、m/s方式のマイクがついたレコーダーです。F2と同じように、デュアルADコンバータ回路を持つ32bit floatで収録できます。
少し前の本コーナーで、3種類のマイクで自分の声を収録し、自分が受けた印象を書きました。3種類の中にM3があり、私が試した3種類の中では最も「ライトな音」に聴こえた、と書きました。
この「ライトな音」は、いい換えると、「客観的な音」になるように思います。このいい方でいえば、F2とラベリアマイクで録った音は、「主観的な音」になりましょうか。
主観的というのは「主張が強い」意味にもなり、使いにくい場面が考えられます。たとえば、テレビドラマや映画で、役者の台詞に主観的な音を使うと、見ている人に変な感じを持たれてしまうかもしれません。
動画を再生しながら、M3で自分の語りを収録しました。マイクと口の距離は、だいたい15センチ程度です。
録音した自分の声を聴くと、F2で録った声よりも、狙い通りといいますか、客観的な声に聴こえるように私は感じます。
M3も32bit floatで録音してあるため、声の大きさは、私が使うaudio editorであるiZotopeのRX 10 Standardで調整しています。
同ソフトにはLoudnes controlの機能があり、プリセットの中からAudiobook Deliberyを選びました。
そのほかに、聴きやすい声に修正する機能を適用します。最後に、これはどの程度効果があるかわかりませんが、私がそのソフトに入れてある”Shadow Hills Mastering Comp”というプラグインで、最終的な調整をしています。
動画の撮影に使ったカメラは、民生用ビデオカメラであるキヤノンのiVIS HF M41です。フレームレートは60i(インターレース)にしてあります。
動画の編集はBlackmagic DesignのDaVinci Resolve Studioでしています。この動画で初めて、DaVinciに搭載されている「自動カラー」を適用してみました。
そのようにして作った動画を下に埋め込んでおきます。
現在、私の関心は音声の録音にあります。それを確認するために、本動画を作ったともいえます。
もっとも、その「素材」に使ったiPod classicと専用Dockを使い、オーディオのスピーカーで、iPodに登録してある自分がCDやアナログレコードで所有する音楽を大音量で聴く愉しみは、私の関心とは別に、何物にも代えがたい実に愉しい時間を提供してくれるわけですが。
