私は映像と共に録音機器にも昔から強い関心を持っています。
そのため昔から、必要もないのに、4トラックで録音できるオープンリールのオーディオレコーダーを購入したりしました。
オーディオ機器もデジタル機器が主流となった今は、ZOOMの機器で、32bit floatで録音できるフィールドレコーダーのF2と、マイクトラックレコーダーのM3 MicTrakを大変気に入って使っています。
ZOOMから今年になって、同じ技術が搭載されたハンディレコーダーが次の3種類発売になりました。
この3種類の中で、発売前に私が関心を持ったのはH4essentialです。私が持っていて、今は使うことがなくなったコンデンサーマイクをそれに接続することで、そのマイクを使った録音ができると考えたからです。
ただ、そのようにして使うとしても、自分の声を収録するだけになってしまいます。それだけのために購入するのは無駄のように考え、購入には至っていません。
自分の声の録音に今はZOOMのF2を使っています。このフィールドレコーダーにはラベリアマイクが付属で付いています。それを胸元につけて録音すれば、ほぼ満足できる声で録音できます。

3種類の中ではH1essentialが最も機能が絞られ、1万円強で購入できます。ただ、それを購入しても、私が有効に活用できる用途が見つかりません。
私は庭で鳥の鳴き声や雷鳴、雨音、風の音などを録るのも好きで、今の季節は毎日のようにウグイスの鳴き声などを録っています。それに使うのはZOOMのマイクトラックレコーダーのM3 MicTrakです。
これを私は、M/S方式のマイクがついたフィールドレコーダーとして使っています。その用途ではこのM3 MicTrakで満足しています。

ということで、ハンディレコーダーのH1essentialを購入しても使い道が今のところはありません。
そんな風に考えていたところ、昨日、ネットの動画共有サイトYouTubeで次の動画を見て、あることに気がついていなかったことを知らされました。
本動画では、iPhone用のアプリとして提供されているBlackMagicCameraに搭載されているという32bit floatの性能を検証し、その構造のようなものも推測しています。
32bit floatによる録音の凄さについては本コーナーで何度も取り上げています。それでありながら、その技術を正確に理解しているかといえば、そういうわけではありません。
32bit floatで録音した録音データは、基本的には、録ったあとに、それを扱う人の意図によって、適宜に加工することが前提となります。
スチルのRAW画像や、Log動画を扱うのと同じ考え方です。
録音時には、録音レベルを自分で調整する必要がありません。そのため、そのための調整ができないようになっています。
録った音声データを、各人が、自分の望むgainに調整します。
32bit floatで記録するのであっても、マイクから入る音声はアナログです。それを、レコーダーに搭載されているADコンバータ―でデジタルの信号に変換します。
本ページに埋め込んだ動画の配信者が、動画の途中で何気なく話すことを聴き、そうだったのか、と私は少々驚きました。
今年に発売されたハンディレコーダー3種類のひとつ、H1essentialに搭載されているADコンバータ―は、ほかの2種類とは違い、ADコンバータ―がひとつだけのシングルADコンバータ―だと述べたからです。
私がすでに使っているZOOMのF2とM3 MicTrakに搭載されているADコンバータ―はハイとローのふたつで構成されるデュアルADコンバータ―です。
それが、H1essentialはシングルADコンバータ―なのだそうです。このことに私はまったく気がついていませんでした。実際にこのハンディレコーダーを使っている人も、そのことを知らずに使っている人もあるいはいるかもしれません。
私は、32bit floatで録音するからには、ディアルADコンバータ―が必須のように考えていました。大きな音にはローゲイン側のコンバーターが働き、小さな音はハイゲイン側のコンバーターが働くことで、蟻の足音のように小さな音から、ジェット旅客機のエンジンのように大きな音まで、録れるというのが32bit floatの技術です。
それを、シングルADコンバータ―でどのように実現しているのでしょう。
本ページで紹介している動画では、配信者が考える技術で説明してくれています。
シングルADコンバータ―が搭載されたH1essentialの32bit floatで録った音素材が、デュアルADコンバータ―が搭載されたレコーダーで録った音素材と遜色ないのか、それとも何か違う点があるのかは、自分で使ってみないと何ともいえません。
私はデュアルADコンバータ―が搭載された機器を使って満足していますので、その違いを確かめたい気持ちはありません。
32bit floatによる録音は、それを実際に使ってみなければ、その凄さには気がつけません。また、それを使っている人でも、録音素材を適宜に運用できなければ、宝の持ち腐れとなってしまいます。
今のところ、これ以上の録音技術は他にないだろうと私は納得して使っています。