日々、何かおもしろいことはないか、と好奇心のアンテナを張っている私ですが、今回はまず、何でもない音を埋め込みますので、時間が無駄にある人(?)がいて、興味を持たれましたら、下の音声ファイルをお聴きください。
PCやスマートフォン(スマホ)、タブレットPCのスピーカーで試された人は、「なんだこれ? 何も聞こえないじゃないか」と思われたことでしょう。
この音声ファイルは音の入力レベルが低く、最も低いところでは-60dBぐらいで、高いところでも-40dBぐらいですので、聴き取りにくくて不思議ではありません。
私は、YouTubeで動画を配信されている音の専門家の桜風涼(はるかぜ・すずし)氏(1965~)と出会ったことで、このところは音に強い興味を持っています。
桜風氏によって、短期間に、音に関する基本的な知識を得ました。桜風氏によりますと、テレビ番組で出演者が話す声の音量は、-12dB程度を基準とするそうです。YouTubeは、それよりも大きな、-6dBぐらいが良いと動画で話されています。
通常は、数字が大きくなるほど大きくなるものがほとんどですが、音は例外です。0dBが一番大きな音、といいますか、まったく衰退していない大きさで、録音するマイクから遠ざかるなどして、音が衰退するほど、マイナスがつく数字が大きくなります。
世の中の音についていえば、限りなく大きな音を発するものもあり、その場合は、プラスのdBの数字が大きくなるほど、音は大きくなります。
今回、本ページに埋め込んだ音は-40~-60dBですから、それだけ、聴き取りにくくなるというわけです。
録音したのは昨日の早朝です。私の家の中と庭で録音しました。ポイントは、録音に使った機器です。
録音した音を文字で説明しておきます。
はじめに聴こえるのはガス台で火をつける音です。私は毎朝、昨年末に亡くなった我が家の愛猫・にゃんこおチビちゃんファミリーの”お兄ちゃん”こと白足袋(しろたび)ちゃん(=^ω^=)を埋葬したところへ行き、線香を立てます。その線香に火をつけるためにガス台の火をつけるのです。
そのあとは庭に出て、お兄ちゃんの埋葬場所までサンダルで歩いています。周辺で鳴く鳥の声が小さく聴こえます。
ほかに、水の滴る音などが聴こえます。
家の中に戻ったあとは、毎朝の習慣で、コーヒーメーカーで作ったコーヒーをカップに注ぐ音がします。コーヒーにクリープを入れる音がし、そのあと、スプーンを水道の蛇口で流す音がして音声ファイルは終わりです。
音にすっかり興味を持ってしまった私は、超小型のレコーダーを購入してしまいました。ZOOMという会社の、”ZOOM F2″(F2)というレコーダーです。これは外に持ち出してレコーディングできるレコーダーで、フィールド・レコーダーに分類されます。
私はこのレコーダーに興味を持つまで、ZOOMという会社のこともよく知りませんでした。それ以前にも、価格コムで同社の製品は知っていましたが、特別関心を持って見なかったため、会社そのものは関心を持ちませんでした。
ZOOMと聞くと、新コロ騒動が起きたことで、自宅にいる個人をネットを介してつなぐ映像会議システムのサービスを提供する米国の“zoom meetings”と混同される人もいるかもしれません。その会社と、私が今回購入した機器を製造販売する会社はまったく別です。
ZOOM株式会社は、日本で生まれた日本の会社です。
この会社の製品に興味を持つきっかけは、同社が発売する画期的なレコーダーの“ZOOM F3”を知ったことでした。専門的なことは理解できませんが、32bitフロート録音ができ、録音した音がどんなに大きな音でも、小さな音でも、あとでどうにでもなる、ということです。
下に埋め込んだ動画では、有名なYouTuberが、F2を使い、本当にどんな大きな音を入力しても、絶対に音割れを起こさないのか? のテストをしています。
動画の主は、付属のマイクに口を近づけて大声を出し、第一声で音割れを起こす残念な結果となってしまった、と動画で話しています。
残念ながらこの人は、レコーダーの性能と、マイクの誤った使い方をした結果を混同しています。どんなレコーダーであっても、マイク性能を上回るような使い方をすれば、そりゃあ、音割れは起きるでしょうよ。
桜風氏に教わりましたが、マイクは種類ごとに、ピントの合う範囲が設定されているそうです。ここでいうピントというのは、もっとも良い音が録れるポイントのことです。
歌手がステージで使うボーカルマイクは、マイクを口から5センチぐらいまで近づけるのがベストだそうです。それだけ、マイクの感度を低くしているのは、周りで演奏する楽器の音を拾わないためです。
一方、テレビや映画の現場で使われるショットガンマイクは、対象者から50センチ離れたあたりがベストポイントだそうです。これより離れれば、声が遠く聴こえ、近すぎても音質が下がります。
F2およびF2-BTに付属するマイクは、声を録るのに適したラべリアマイク(ピンマイク)です。このマイクは、桜風氏の説明によりますと、顎から掌分ほど下に取り付けるのがベストだそうです。
もっとも、人の声の大きさには個人差がありますから、声の大きさで、位置は多少工夫することは必要ですが。
こうしたマイクが持つ性能を確認したのち、配信主の動画を見ますと、彼がマイクのことをわかっていないのが明白です。
このような性能を持つピンマイクを口に近づけられるだけ近づけ、きりぎり大きな声を出せば、どんなレコーダーであっても限界を超え、修復不可能な音割れを起こるのは当たり前なことです。
話が横道に逸れましたので元に戻します。
私はF3に一遍で魅了され、すぐに使ってみたいと思いました。が、世界的に半導体不足の状況にあることに加え、今では世界の工場となった中国が、新コロ騒動によるロックダウンをしている影響で、F3が手に入らない状態です。
ZOOMのサイトで業務内容を確認すると、同社は音響機器を設計するだけで、自社の工場は持たず、中国国内の工場で製造するシステムのようです。そんな事情もあり、今は絶望的な品薄状態にあるというわけらしいです。
F3のあとに私が注目したのは、同じような技術を用いたレコーダーのF2です。こちらも品薄で、手に入りにくくなっています。しかし、すぐに手に入る店を見つけ、なくならないうちに手に入れました。
F2のほかにF2-BTがあります。BTはブルートゥースの略で、レコーダーを、専用のアプリをインストールしたスマホやタブレットPCとブルートゥースで接続する機能が搭載されています。私はその機能は必要に感じなかったため、BTがつかないF2にしました。こちらの方が、BT版より5千円ほど安くなっています。
F2本体については、近い内に動画にする予定ですが、その前に、それを使って録音した音声ファイルの紹介をしておこうというわけです。
F2は極限まで削られた小さな個体で、掌に載ります。重さは、駆動用の単四電池2本を除けば32gです。
使い方は簡単で、付属するピンマイクをマイクジャックに接続し、あとはスイッチをONにして、録音のボタンを押すだけです。
通常、レコーダーで音を録るときは、録音レベルの設定に気を遣います。
はじめの方で書いたように、0dBより大きな音で録音してしまったら、音割れしてしまいます。また、小さな音過ぎても、あとで綺麗な音のまま大きくすることができない、などの問題があるからです。
その点、F2の場合は、何の調整も必要なく、ただ、録音ボタンを押すだけです。調整しようにも、調整するためのボタンやつまみがまったくついていません。
ついているのは、接続したヘッドホンやイヤホンから聞こえる音の大きさを調整するボリュームボタン(プラスとマイナス)と、録音した音声ファイルの再生と停止ボタンだけです。
ちなみに、使ってみてわかったことですが、録音したファイルが2つ以上あっても、F2で聴ける音声ファイルは、最後に録音したファイルひとつだけです。
F2を使う人は、PCが必ず必要になります。
F2とPCをUSB(タイプC)で接続し、専用のF2 Editorというソフトで、F2の設定をします。F2-BTは、スマホやタブレットPCにF2 コントローラーというアプリを入れ、スマホやタブレットPCから、ブルートゥース接続でF2の設定をするようです。
また、録音済みの音声ファイル(WAV形式)は、UBS接続で、PCに移動なりコピーなりを手動でするようにできています。PCと接続できなければ、録音済みのファイルの削除もできないでしょう。
もっとも、録音に使うマイクロSDカードをF2から取り出し、カードリーダでPCに読み込んだり、カードからファイルを削除したりはできますが、カードの出し入れが少々やりにくいので、USBを使った方が手軽にできます。
録音した音についても書いておきます。
どんな小さな音も、編集で大きくすることができますが、私はあえて、録ったままの音をそのまま紹介しています。
本来の目的である声の録音ですが、胸元にピンマイクをつけてしゃべり、録音すると、良い音で録音できました。
YouTuberがラベリアマイクを便利に使うのは知っていましたが、私は自分が動画に登場することもなく、自分にはそのマイクが必要に感じていませんでした。しかし、自分の手元を撮影しながら、自分の声で何かをしゃべるのであれば、ピンマイクをつないだF2も便利に使えそうに考えています。
私はこれまで、動画に自分の声をのせるときは、アフレコであとから入れました。
F2を使えば、撮影時にしゃべって声を録音し、編集段階で同期させることもできます。自分の動画制作スタイル、というと大げさですが、F2の導入はその転換点となるかもしれません。
欲しかったF2が手に入り、とても満足しています。
ZOOM F2で録った音を、iZotopeのRX 8 Audio Editorを使い、音量の調節をしてみました。
こちらであれば、PCやスマホ、タブレットPCのスピーカーでも音を聴いてもらえると思います。
なるほど。F2で録音した音であれば、微小の音のボリュームを上げても、嫌なノイズが発生しないように感じます。音の編集をしてみて、それが実感できました。