正体がわかっても怖い『くろん坊』

誰しも、正体がわからないものには恐怖を覚えます。今は、新型コロナウイルスCOVID-19)に、程度の差はあるでしょうが、人々はおしなべて恐怖しています。

そんな今の状況に似合いそうな話を読みました。岡本綺堂の『くろん坊』です。初出は1925年7月の『文藝倶楽部』です。

昨年、私は綺堂のおもしろさに目覚め、Amazonの電子書籍で続けて読み、6月に、綺堂の作品242作品が収められた『岡本綺堂全集』を手に入れました。本作はその中に収められた一作です。

本作に付けられた『くろん坊』ですが、現代では表題として扱いにくい状況に置かれています。かつては当たり前に読まれていた『ちびくろサンボ』も、ずいぶん昔に黒人差別を助長すると指摘され、表舞台から姿を消しました。

綺堂が書いた頃は、良い悪いは別にして、今よりはギスギスしてはいなかった証拠となりましょう。

綺堂がこの話を書くきっかけとなった話があります。それは、江戸後期に書かれた『享和雑記』という随筆で、その巻二に『濃州徳山黒ん坊』があり、それに触発された綺堂が、自分の叔父から若い頃に聞いた話をまとめた怪談話にしたというわけです。

NHKの改悪ドラマ『証言』

この土曜日、松本清張の短編作品をドラマ化した番組が放送されました。私は録画し、昨日の午後に見ました。

あとで知りましたが、この作品は、撮影が決まった頃から報じられていたようで、内容に過激が部分があるため、放送前から一部では話題になっていたでしょうか。

私は、普段は日本のドラマは見ませんが、清張の原作だったため、今回も付き合って見ました。

NHKBSプレミアムで午後9時から『黒い画集~証言~』です。

2009年版ドラマ『顔』は××?

新型コロナウイルスCOVID-19)騒動により、自粛要請が出ています。先月8日、政府は緊急事態宣言を出し、大型連休中の今月6日まで、全国で自粛要請が強まりました。

欧米に比べると感染する人や重傷者の数は桁違いに少ないですが、ここで気を抜くことで感染する人の数が急増するかもしれないとして、今月末まで緊急事態宣言の効力を伸ばすことを決め、今夕に安倍晋三首相が記者会見で説明するとしています。

ま、説明といっても、今回も首相秘書官をする佐伯耕三氏にでも原稿を書かせ、それをプロンプターに映し、首を左右に振りながら音読するだけで終わりそうですが。

せっかくの連休が台無しとなり、家で過ごす人が多くなりました。時間を持て余す人は、めいめいで時間の過ごし方を工夫し、読書や映像作品の鑑賞に時間を費やす人もいるでしょう。

そんな人に向けてか、ここへ来て、松本清張のドラマを放送することが増えてきました。清張作品はとっつきやすく、映像化された作品も多いため、ニーズに応えるのには打ってつけといえます。

逃げられない恐怖 清張の『神と野獣の日』

昔、子供向けの雑誌に載っていた話を思い出します。詳細は憶えていませんが、地球上の空気が一斉に数分間なくなるという話です。

普通の人は、呼吸を止めている時間はせいぜい1分間程度でしょう。個人差はありますが、高齢者や幼児はもっと短いかもしれません。

そんな人類にお構いなしに、2分間か3分間、あるいはそれ以上、呼吸ができない事態が目前に迫っていることを知り、人々がパニックに陥る話であったように記憶します。

これを思い出したのは、松本清張にしては珍しいSF的作品を読んだことによってです。

『神と野獣の日』という作品です。1973年に発表された作品のようです。

断魚荘に十六島 清張の『数の風景』

松本清張の自宅の書庫は、夥しい蔵書で埋まっていたそうです。しかも、それらは常に新陳代謝を起こし、書き終えた作品のために使用した資料の本は処分される一方、次に書く作品のための資料が加わったと聞きます。

多方面に関心が向き、ひとたびある方面に関心が向かうと集中してその分野の本を資料として集め、確かめることをしていたのでしょう。

清張はサービス精神が旺盛だったのか、自分が得た知識を自分だけで楽しむことをせず、自作で読者に提供するのを好んだように感じます。

時にはそれが過剰となり、あらすじの展開に必要でないと思われるほど、さまざまな事柄を活字にします。

私は今回も、Amazonの電子書籍サービスのKindle Unlimitedを利用し、追加料金なしで清張の作品に接しました。

私が選んだのは、『数の風景』という長編です。

しっくりこない清張の『山峡の章』

このところは松本清張の作品を読むことが多く、気になる作品に出会うたび、本コーナーで取り上げています。

いずれも、Amazonの電子書籍で読んでいますが、おととい、昨日でまた一冊読み終えました。これも、Kindle Unlimitedの対象の一冊で、追加料金なしで読みました。

清張はデビューが遅かった作家ですが、その割には多くの作品を残しています。名が知られるようになってからは、同時並行でいくつもの作品を連載したりしたでしょう。

片手間仕事で執筆することはなかったと思いますが、これから紹介する作品は、やや粗い作品の印象を持ちました。

その作品は『山峡の章』という長編です。月刊誌の『主婦の友』に、1960年6月号から1961年12月号まで、一年半にわたって連載されています。当時の題は『氷の燈火』であったようです。

トランクを持ち込んだ当人がトランクの中で死体に?

Amazonの電子書籍は、安売りキャンペーンをたびたびします。年初にもあり、それを利用して3冊購入したことは、本コーナーで書いたとおりです。

この時に獲得したポイントが昨日還元されているのに気がつきました。このタイミングに合わせるように、再び同じキャンペーンが始まりました。先月31日から4日(午後11時59分)までの期間に、該当する電子書籍を2冊で10%、3冊で15%、5冊以上で20%分のポイントが還元されるキャンペーンです。

私は今回もこのキャンペーンを利用し、松本清張の作品を3冊購入しました。

そのうちの1冊は、『松本清張地図帖』という小々凝った1冊です。清張の作品集で、以下のように、長編の代表作が10作品収められています。

フェイクスターに気をつけよう

このところは松本清張の作品ばかり読んでいます。昨日読み終えたのは『人間水域』という長編です。

この作品がいつ頃書かれたのか、データが見つかりませんのでわかりません。過去に一度TBSでドラマ化したことがわかりました。それが放送されたのは1964年6月21日から10月23日とありますから、連続ものだったようです。

ドラマの原作が書かれたのは、その前年以上前であったことだけはわかります。

今回も、Amazonの電子書籍版を、Kindle Unlimitedを介して追加料金なしで読みました。

本作は、はじめから終わりまで、中老年の男たちと、20代の女性ふたりを巡る、愛と欲にまみれたやり取りに終始しています。事件らしい事件は起きません。唯一起きるのが傷害事件ですが、これも表沙汰にされず、実行した人間が刑に処されずに終わります。

主な登場人物は次の5人です。

  • 長村平太郎
  • 久井ふみ子
  • 滝村可寿子
  • 市沢庸亮
  • 島村理一

またまた恋しちゃったおじいちゃん

本コーナーで前回は、72歳の老人が主人公の小説について書きました。

松本清張1964年に発表した『筆写』という短編です。今から56年も昔の作品ですから、当時と今では老人の定義も異なるでしょう。

今は少子化によって若年層が減り、人口のピラミッドがアンバランスになっています。そのことで年金制度を維持するのが難しくなりました。それもあって、政府は70歳を過ぎても働くことを推奨しています。ですから今は、70歳過ぎた人でも老人扱いが許されない環境です。

それは別にして、清張の作品で、また、老人が登場する作品に出合いました。『生けるパスカル』という中編集を、Aamzonの電子書籍、Kindle Unlimitedの利用で読みました。

この中編集には、『生けるパスカル』のほかに『六畳の生涯』が収録されています。1冊を2作品で分け合う体裁で、老人が主人公の小説は『六畳の生涯』です。

恋するおじいちゃん

相変わらず松本清張の世界に浸っています。

私はAmazonの電子書籍で本を読むことが主となりました。年初の3日から6日だったと記憶する期間、Amazonの電子書籍を2冊購入で10%、3冊であれば15%、5冊以上で20%分のポイントが還元されるサービスが提供されていることを知りました。

それを早速利用し、上下2巻の『砂の器』を手に入れました。これだけで10%のポイントですが、ついでだからともう1冊購入しました。それは、短編集の『張込み』です。

結局この3冊で終わりましたので、15%のポイント還元になります。3週間ほどでポイントの獲得ができるようです。

この3冊とは別に、Kindle Unlimitedを利用して1冊追加しました。

このKindle Unlimitedとは、月額980円で対象の本を追加料なしで読むことができるサービスです。過去に何度か利用したことがありますが、対象の本が多くなく、利用を止めていました。

それが昨年12月、月額99円で3カ月(だったかな?)のキャンペーンがあり、申し込みました。ということで、3月はじめまでは、このサービスが利用できます。

『砂の器』を読み終えたときだと思いますが、AmazonのKindleのページへ行くと、Unlimitedを利用して清張のある本が読めると紹介がありました。それは、『内海の輪』という本でした。