動画撮影に色再現の探求

昨日から、あることに興味を持って、自分なりにいろいろと探求しています。それは、動画の撮影における色の表現です。

本コーナーで前回書いた中で「色の三原色」についても書きました。

色の三原色は、専門的には「減法混合」というらしいです。ともあれ、これにおける三色は次の色です。

PCのプリンタは、主にこの三色のインクと、黒のインクが使われています。

絵具を使って色を作る時も、この三色に、絵具の場合は白を加えることで、多くの色を作れます。

色の三原色のほかにもうひとつ、「光の三原色」があります。これも専門的には「加法混合」ということがわかります。この場合の三色は次の色になります。

色の三原色の黄が緑に変わっています。この三原色は、テレビ受像機やPCのモニタで色表現をするのに使われます。

色の三原色では、どんな色を混色しても、黄色を作ることは決してできません。それが光の三原色の場合は、意外なことに、赤と緑によって黄ができます。

色の三原色を赤・青・黄と書きましたが、より正確に書けば次のようになります。

マゼンタシアンイエロー

光の三原色における赤と青が、本来の赤と青の原色に近い色です。三色の内の二色が混合することで、色の三原色のマゼンタ・シアン・イエローができるのが面白いところです。

絵具を混色する経験から、緑と赤を混色して黄を作る感覚はまったく持てません。光の混合でしか生み出せない色であり、混合法になりましょう。

そんなあれこれを考えたことで、今また、Logで動画を撮ってみたくなりました。

私が使うカメラは、ソニーのミラーレス一眼カメラのα7 IIです。

ソニーのα7 IIにFE 24-240mm F3.5-6

このカメラでは、S-Log2ガンマで撮影することができます。Log撮影したデータは、編集時に色編集する必要があり、面倒に感じるでしょう。

それを一気に解決する方法を本コーナーで書きました。

それをするには、動画編集ソフトにDaVinci Resolve Sutioを使うことが前提となります。

設定画面の[カラーマネジメント]内にある[カラーサイエンス]に”DaVinci YRGB Color Maneged”を選択し、[カスタム]を選び、それぞれの人が使うカメラに適した[入力カラースペース]を選ぶことで、何の手間もかけず、カラーコレクション(カラコレ)が実現できてしまうという優れ業です。

私は、α7 IIでS-Log2ガンマ撮影するのですから、[入力カラースペース]に[S-Gamut/S-Log2]を適用するだけ、というあんばいです。

私は自分の眼で見た通りの色相彩度明度の動画を目指しています。ですから、カラーグレーディング(カラグレ)は基本的にしません。ということは、カラコレが終われば、色の編集は他にないということです。

これであれば、Log撮影した動画は、他のガンマで撮影した動画と何も変わらず、手間がかかりません。

撮影時の明度にバラツキができますので、それを多少手直しする程度です。

ただひとつ、Log撮影時に手間のかかることがあります。それを起こすのが、スチルの撮影の時にはない、ISO感度の高さと、シャッター速度の縛りです。

私が使うα7 IIでS-Log2撮影するときは、ISO1600という高感度からしか撮影できません。また、24(23.976)fpsのフレームレートで撮影する場合は、約2倍のシャッター速度になる1/50秒にするのが望ましくなります。

このふたつの縛りは、晴れた日の日中に屋外で撮影するときは足かせとなります。F値をどんなに大きくしても(この値が大きいほど光の入る量が少なくなります)、レンズから入る光の量を制限できません。

そこで登場するのがNDフィルターです。これは眼にかけるサングラスのような効果を持ち、レンズに入る光量を下げることができます。

昨日と今朝は、可変NDフィルターを使いました。それを使うことで光量を下げられるのはいいのですが、これを使うことで色被りが生じます。

その色被りを、撮影時に軽減できないか、自分なりに研究し始めました。ここでも、光の三原色が応用できそうです。

PCのディスプレイで表示されるカラートライアングルの図を見ると、色の三原色の中では赤の影響力が一番強そうなことがわかります。

可変NDフィルターを付けたときは、黄色っぽい色被りが生じるように記憶しています。光の三原色におけるイエローは、緑と赤が混合するところに生まれます。

ということは、それを軽減させるような設定をしておけば、可変NDフィルターをつけた撮影であっても、撮影結果の動画に、色被りを生じさせずに済むのでは、と考えました。

私がα7 IIでS-Log2撮影するとき、ピクチャープロファイル(PP)はPP7を選びます。PPは自分で調節できるようになっており、[色の深さ]の項目で、それぞれの色の深さを微調節できます。

すでに書いたように、可変NDフィルターを付けたときに生じる黄色っぽい色被りを抑えるには、選べる色の中のY(イエロー)ではなく、G(グリーン)とR(レッド)をマイナスにしたらどうか、と考えました。

この二色を混合することでイエローの表現をするからです。

どの程度マイナスにしたらいいかまだわからないので、とりあえず、影響力が大きいRを-2、Gを-1としてみました。

これで日中、可変NDフィルターをつけて撮影し、色被りが生じないか確認することにします。

個人的なこだわりですが、自分では面白いと感じています。この結果については、また、本コーナーで取り上げることにします。


撮影時の色補正あるなしの簡単なテストをしてみました。

陽の射す窓辺に、取っ手が赤のハサミを置き、補正ある・なしで動画を撮り、並べて比較しました。上が補正あり、下が補正なしです。

可変NDフィルター色被り補正テスト

差は若干ですが、補正した色が現物に近い色です。補正していない色は、若干黄色味が感じられます。

ピクチャープロファイルの[色の深さ]の項目で、G(グリーン)を-1、R(レッド)を-2の補正をしました。

動画は撮って出しで、一切、色の編集はしていません。

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