私は今もまだ、音についての関心を持ち続けています。そのため、自分の声を録音しては、それをより良い声に聴こえるよう、「研究」しています。
このことについて書くときにいつも書いているように、自分の声を収録するためのテキストは、芥川龍之介(1892~1927)の中編『河童』(1927)を利用させてもらっています。
また、録音に使用する機器は、ZOOMのフィールドレコーダー、F2と付属のラベリアマイク(ピンマイク)です。
私は以前から、自分の声を録音することをしており、それに利用したマイクを何種類か持っています。
今は、F2に付属するラベリアマイクを鳩尾(みぞおち)の真上につけて録れば、問題なく録音できることがわかりましたので、悩むことはなくなりました。
第一、マイクもレコーダーも小さいため、好きなときに手軽に始められるのがなによりです。
私の「研究」は録ったあとにする音声ファイルの「修正」です。
私が音の編集に使っているのは、iZotopeのRX 10 Standardというaudio editorです。
このaudio editorですが、ここ最近、困った状態にありました。
私は同シリーズをRX 8 Elementsから使い始めましたが、これまで、それを使っていて起きたことがない困った現象が、ここ最近は頻発していることです。
それは、ソフトを立ち上げ、ほとんどまだ何も始めていない状態で、ソフトがいきなりシャットダウンしてしまうことです。
そうしたことが続いたため、私は自分が使うPCがこのソフトを動かすのには能力不足なのか、と考えたりしました。
作業の途中でソフトが落ちてしまうことが続いたため、RX10に移行したあとにアンインストールしたRX 9をもう一度インストールし、RX 10の様子を見ながら、並行して使うことを始めました。
RX 9は、途中で急に落ちるようなことはまったくありません。
その一方で、RX 10をプログラミングして販売するiZotopeに、同じような症例が報告されていないか、昨日になって確認しました。
すると、同様の障害が同社には届いているようで、その問題に対応方法を記したページがありました。
iZotope製品のダウンロードと更新は、他のソフトの場合と異なり、iZotope Product Portalという専用ソフトを介して行うようになっています。
このソフトを介し、私もRX 10の更新を済ませていました。結果的には、そのときに更新したバージョン以降、問題が起きていたといえそうです。
それを知り、対応を記したページにある、更新前のバージョンを入れ直しました。しかし、私の環境だけなのか、それを実行しても、ソフトが落ちる現象が続いています。
それ以前に比べて頻度は落ちましたが、それでも、ある瞬間に落ちることは皆無ではないです。
というわけで、新たに提供されるバージョンによって、動作が安定してくれることを期待しましょう。
自分の声の録音と編集の話に戻ります。
F2の録音技術で特筆すべきことは32bit floatで録音することです。
この技術の録音では、事前に録音レベルを調節する必要がありません。それだから、レコーダーには、それが調節できない構造になっています。
録りたい音があれば、録音スイッチを入れるだけです。音量は、録ったあとに、自分の好きなように、いくらでも変えられます。
ネットの動画共有サイトのYouTubeでVloggerをするような人は、セットしたマイクに向かって、それなりに大きな声でしゃべったりするのでしょう。
私はといえば、鳩尾につけたマイクに、やっと届く程度の小声でしゃべることがほとんどです。声を張るようなことはありません。
そんな小音量の声であっても、32bit float機能を持つF2であれば、いくらでもあとで声量を上げることが簡単にできます。しかも、ノイズを増やさず。
私は、iZotopeのRX 10を使って声の大きさを変える時、Roudness Controlを使ってきました。この作業は、ある程度PCへの負荷がかかるのかどうかわかりませんが、この機能を使おうとするとソフトが落ちてしまうケースが多いように思います。
そこで、今回は、音量を上げるのにGainを上げる方法に換えてみました。Gainの操作画面を立ち上げても、ソフトが落ちることはありませんでした。
それに続いて、Repair Assistantの操作画面を立ち上げ、より聴きやすい声に修正することをしました。
この段階の音声ファイルを下に埋め込みます。
これが、録って出しの声に近いものです。これだけ聴けば、文句はなさそうに感じます。
これをブラッシュアップするため、次は、この音声ファイルにイコライザー(EQ)をかけることをしています。
RX 10についているEQを使い、まだ完全には理解していないものの、自分なりに少しはわかってきたやり方で、それをかけたものを下に埋め込みます。
EQのかけ方についてはまだよくわからないため、YouTubeで関連動画を見つけては見るようにしています。昨日は次の動画を見ました。
本動画でわかることは、特定の音域を上げ下げすることで、その音域だけでなく、他の音域にも影響が出ることです。
このあたりことは、初心者の私は、意識しないと蔑ろにしがちです。
ここまで、音訳した音声ファイルの音量を全体的に上げること、聴き取りやすくすること、音域を調整することをしました。
私はこのあとに、”Shadow Hills Mastering Compressor”という音にコンプレッサーをかけるプラグインを適用しています。
EQとコンプのどちらを先に適用するかは、ケースバイケースで変わり、どちらが正解ということはないらしいです。
コンプをかけたことで音量が下がったため、Gainを1dB上げました。そのようにして、最終的に出来上がった音声ファイルを下に埋め込みます。
私は一連の作業をするとき、PCから出力される音をオーディオインターフェイスを介し、ヘッドホンで確認しています。
私は、城下工業の“SoundWarrior SW-HP10s”というモニターヘッドホンを使っています。聴こえる音に色付けがされず、より生に近い音を確認するためです。
このヘッドホンから聴こえてくる音を自分の耳で聴き、EQとコンプをしています。それぞれ、少し変化させただけで、聴こえてくる音はさまざまに変わります。
どこまで行っても、素人の横好きでやっていることで、専門家には笑われてしまいそうですね。
それでも、自分なりに音の世界に分け入るような感じで、なかなか楽しめます。