過度の配慮がもたらす弊害

長年食わず嫌いだったシャーロック・ホームズシリーズを、今年の2月に「解消」したことは本コーナーで書いたとおりです。

きっかけは、その時期に、NHK BSプレミアムでその時間帯に放送されていた米国の刑事ドラマ『刑事コロンボ』の放送が終了し、代わりに『シャーロック・ホームズの冒険』(全41話)が始まったことです。

本シリーズのドラマはこれまでに何度も放送されていますが、食わず嫌いをしていた私は見たことがありませんでした。

『刑事コロンボ』のシリーズが終わり、その時間帯が暇になることもあり、ものは試しと『シャーロック・ホームズの冒険』を見てみました。すると、予想外に楽しめ、以来、毎週録画して見るようになりました。

蜜柑の缶詰の蜜柑の謎

NHK総合の番組に「チコちゃんに叱られる!」という番組があるのを知っています。あいにく、私は見たことがありません。

新聞のテレビ欄で確認する限りでは、素朴な疑問を解決するのが番組のコンセプトであるように思われます。

番組とは関係なく、ある本を読んでいて、それに通じる素朴な疑問と答えを得ました。

今私が読んでいるのは、作家でエッセイストの山口瞳19261995)が、亡くなる間際まで足掛け32年間、一度も穴を開けることなく『週刊新潮』に連載した見開き2ページのコラム『男性自身』のすべてを、8巻に分けて収録したうちの第1巻目です。

その1巻目は、連載を開始した1963年12月2日号分から、1967年12月30日号分まで、掲載順に、212話を掲載しています。

井伏鱒二と開高健

若い世代を中心にテレビ離れがいわれています。

私は若い世代は昔に終わったからか、未だにテレビを見ることをしています。しかし、私が見るテレビ番組は、昔に作られた番組ばかりです。

本コーナーで取り上げる映画にしても、今上映されているような作品ではなく、昔に作られた作品ばかりです。

テレビ局が制作した番組にしても、作られたばかりのような番組はほとんど見ることがありません。こちらも昔に作られた番組を好んで見ます。

そんな昔に作られた番組を見ましたので、それについて書くことをしてみます。

それは「NHK特集」というドキュメンタリー番組で、その回のタイトルは「井伏鱒二の世界 『荻窪風土記』から」です。これが放送されたのは今週月曜日(8日)で、録画したのを昨日見ました。

名付け親である母の影を追った瞳

本名で活動した作家でエッセイストに山口瞳19261995)がいます。ご存知でしょうか。

私はこれまで、山口の小説は読んだことがなく、エッセイも、週刊誌に昔書いたものを部分的に読んだことがあるだけです。

山口で思い出すのは、小林桂樹19232010)が演じた映画『江分利満氏の優雅な生活』1963)を見たことです。

いま改めて、この映画について書かれたネットの事典ウィキペディアで確認すると、山口の原作は、オムニバスで書かれているそうですので、一本の映画にするには、あまり向いていなさそうに思われます。

それぞれの話を、テレビで一話完結の話にして、それを連続で見せるやり方であれば、それはそれで面白そうですが。

それはそうと、山口瞳という本名でありペンネームでもあった名前だけを見ると、女性と勘違いする人も出てきそうです。

ホームズとワトスンの挿絵にはモデルがいた

Amazonに電子書籍サービスのKindleがあります。私はAmazonの有料会員になっていることもあり、新たに読む本はほぼすべてこのサービスを利用しています。

通常は、読みたい本があれば購入しなければなりません。そしてそれとは別に、1カ月980円払うことで、対象の書籍であれば期間中に何冊でも好きなだけ読むことができるKindle Unlimitedというサービスがあります。

私はこのサービスを3カ月間、199円で利用できる権利を得、そのときに、それまで読んだことがなかったアーサー・コナン・ドイル18591930)の『シャーロック・ホームズ』シリーズの短編集を読み始めたことは本コーナーで書きました。

文字と映像の表現の違いと自由度における落差

アルフレッド・ヒッチコック監督(18991980)は、原作となる小説をもとに作品を作っています。私はもとになった原作を読んだことがありませんが、原作に劣らないような作品に仕上げているでしょう。

『北北西に進路を取れ』1959)には原作となる小説はないですね。脚本を書いたアーネスト・レーマン1915~ 2005)のオリジナルストーリーになりましょうか。洒落た台詞が印象的です。

Alfred Hitchcock Introduces “North By Northwest”

多くの場合、映像化しなければならない制約を持つ映画やドラマは、文字だけで書かれた小説を超える作品にするのは難しいように思われます。

芥川龍之介18921927)の小説に『河童』(1927)があります。本作は芥川が自殺した年に書かれています。

実に奇妙な世界を描いています。登場する人間は主人公ただひとりで、あとは河童の世界で、人間とほとんど変わらないか、人間よりも進んだ暮らしをするさまざまな河童たちです。

主人公は、休日に(だったかな?)ひとりで上高地を訪れ、そこで、ひょんなことから河童の世界へ迷い込んでしまうのです。

ビルジニーに逢いたくて

英国の推理作家、アガサ・クリスティ18901976)原作のテレビドラマ『名探偵ポワロ』シリーズの何度目かの放送が、今、毎週水曜日の午後9時から、NHK BSプレミアム放送中です。

私は毎週録画し、基本的には翌日に見ることをしています。

先週の水曜日(8日)に放送されたのは、第39話の『チョコレートの箱』です。これが英国で初めて放送されたのは1993年2月21日、日本では同年7月10日に放送されています。

このシリーズの放送があるたび、私は録画して見ることをしています。私の記憶力が弱いのか、見るたびに犯人か誰かわからずに見ることが多いです。

『ABC殺人事件』1992)や『雲をつかむ死』(1992)は犯人を憶えています。この二作品は第3シリーズに放送された三作品のうちの二作品です。

宝石が鵞鳥の胃袋から見つかる謎

英国の作家、アーサー・コナン・ドイル18591930)の短編作品集に『シャーロック・ホームズ』シリーズがあります。小説は英国でドラマ化されています。

日本でもそのドラマは何度も放送されてきましたが、私はなぜか、シャーロック・ホームズを食わず嫌いしてきたことは一カ月ほど前の本コーナーで書きました。

NHK BSプレミアムで2月18日から何度目かのシリーズの放送が始まりました。私は食わず嫌いを反省し(?)見始めたところ、ようやくにしてその面白さが気がつくことができました。というわけで、今は、毎週土曜日夕方の放送が楽しみです。

「とんかち作業」が嫌いでない私と村上の”復活作”?

最近、村上春樹1949~)の『職業としての小説家』2015)をAmazonの電子書籍版で読み、それについて本コーナーで三度取り上げました。

その二回目では、村上が「とんかち作業」を気の済むまですることを書きました。

結局のところ、私も同じような「とんかち作業」をして、それが嫌いではないことを再確認しました。

これまで、それを自分で「とんかち作業」とは認識していませんでしたが、村上の本でそれを「とんかち作業」と村上で呼んでいることを教えられ、私がやっているのもそれと同じようなものだ、と認識することができました。

絵画と小説を共通点から探る

前回の本コーナーでは、村上春樹1949~)のエッセイ集『職業としての小説家』2015)に書かれている、村上の小説執筆工程について書きました。

それを書きながら、絵画の制作過程でも同じような話が書けそうなことに気がつきました。

ここでは古典的な欧州絵画を想定した話になります。

それを大ざっぱに分類すれば、細部まで克明に描かれた絵画と、細部が大ざっぱに描かれた絵画に分けることができます。そして、それぞれの制作過程は、大きくふたつに分かれざるを得ません。