英国の作家、アーサー・コナン・ドイル(1859~1930)の短編作品集に『シャーロック・ホームズ』シリーズがあります。小説は英国でドラマ化されています。
日本でもそのドラマは何度も放送されてきましたが、私はなぜか、シャーロック・ホームズを食わず嫌いしてきたことは一カ月ほど前の本コーナーで書きました。
NHK BSプレミアムで2月18日から何度目かのシリーズの放送が始まりました。私は食わず嫌いを反省し(?)見始めたところ、ようやくにしてその面白さが気がつくことができました。というわけで、今は、毎週土曜日夕方の放送が楽しみです。
この土曜日(11日)は『青い紅玉』(1892)が放送されました。青いのに紅い玉というのですから、タイトルからして謎めいています。
その謎めいた玉が、どうしたわけか、食用の鵞鳥(がちょう)の胃袋から発見されるのです。
ドラマの中ではその宝石を「ブルー・カーバンクル」といっています。ネットの事典ウィキペディアで見たあとに調べると、「カーバンクル」というのは「赤い宝石」の総称だそうですね。初めて知りました。
それが青い色をしているため、「ブルー・カーバンクル」になるというわけです。
その宝石の持ち主は、金持ちの伯爵夫人です。意地の悪そうな感じで、召使たちは婦人に恭しく対応していますが、夫人の見ていないところでは羽目を外し、歳の差がある男と若い女の召使が抱き合ったり、キスをしたりしています。
夫人は召使たちを連れて豪華なホテルに滞在中、夫人の宝物であったブルー・カーバンクルが行方不明になる出来事が起きます。
それとはまったく関係なさそうなことが起きます。
ホームズがまだベッドで眠っていたところを起こされます。ホームズを訪ねてきた男は、路に落ちていたといって、食用の鵞鳥を一羽と、チャップリン(1889~1977)が自分の喜劇映画でかぶってトレードマークになった帽子と同じような帽子を持ち、これらの持ち主を見つけて、その人に返して欲しいと依頼されます。
ホームズがわざわざ取り扱わなくてもいいような依頼に感じます。ところがホームズは、一見ささいなことの裏に実は大きなことが潜んでいるものだ、と興味を持ちます。
帽子の内側に「H・B」のイニシアルが入った布がついており、やがて持ち主が判明しますが、その前に、食用の鵞鳥を調理しようと腹を裂くと、胃の中から、伯爵夫人の持ち物であったブルー・カーバンクルが出てくるのです。
それにしても、その宝石がなぜ鵞鳥の胃袋に収まっていたのか、という謎がふくらみます。
警察は、結果的には無実だった男を掴まえ、牢獄に入れてしまいます。男には妻と可愛い娘ふたりがいます。暮らしは楽ではありませんが、男は、愛する妻と娘たちがいる自分はどんな金持ちより幸せ者だ、と考えています。
妻も夫を愛しています。そのふたりが一緒に暮らせなくなり、ふたりは嘆き悲しみます。
ブルー・カーバンクルがなぜ鵞鳥の胃袋から見つかったのかを、ホームズが推理して解き明かします。その過程を知りたい人は、ホームズシリーズを本で読んでみてください。
私はテレビのホームズのシリーズを面白く見たので、原作も読み始めました。
Amazonには電子書籍部門があります。そのサービスに、1カ月980円で、対象の書籍であれば、追加料金なしで読むことができるKindle Unlimitedがあります。
そのサービスを3カ月199円で利用できる権利を得ることができ、それがあと二週間弱残っています。
対象の書籍にホームズ・シリーズの短編集があったため、今、それを読んでいます。私が読む本には、初期の短編12編が収録されています。
この短編集では、同じ内容の原作が『青い柘榴石』の題名で収められています。この土曜日に見たばかりのドラマが、原作ではどのように描かれているか、愉しみに読むことにします。
もしも、今月末までに読めなかったら、その短編集を購入することになるかもしれません。
ドラマ版の『青い紅玉』は、刑務所から出られた男が、雪が積もった真っ白な街の片隅で、妻と娘に再会し、喜び合うところで終わりとなりました。