権力に媚びる人 媚びない人

権力者に気に入られるためなら何でもするというような人を傍から見ると、惨めな人に見えます。当人はそれをどれだけ自覚しているでしょう。

そもそもの話、日常的にテレビに出演しなければならない人は、権力者に逆らえるはずがありません。

ですから、いまさらテレビ芸人を腐してみても仕方がありません。それでも、終わる気配のない「桜を見る会」問題が起こったことで、その集まりに招待され、喜び勇んで馳せ参じたいわゆる有名人は、証拠の写真が数多く残り、のちのちまで、「ここにも〇〇が写っている。時の権力に媚びたんだね」と蔑まれる運命を変えることはできません。

こんな図式は、何も「桜を見る会」に限った話ではありません。何か国の権力を揺るがすようなことが起きると、決まってテレビ芸人が知った風なことをいい、権力者に媚びます。

2011年3月11日の東日本大震災福島第一原子力発電所が破滅的な状況となりました。すると、テレビ芸人の筆頭格であるビートたけし氏は、原発を擁護するような発言を、おそらくは連載している週刊誌のコラムを通じて世に届けることをしました。

詳細は忘れましたが、東北地方にありながら施設にほとんど被害を出さなかった女川原発を持ち上げ、ここを避難所にしてもいいくらい安全なところだ、といったような擁護ではなかったかと記憶しています。

話は逸れて、ビートたけし氏は、北野武名義で映画監督の肩書もお持ちのはずですが、このところは氏が映画を撮るという話がまるでないのはなぜでしょう。

私が勝手に推測する理由は、氏には映画を撮れるだけの素質がないからだということです。

私は芸能人に関しては関心がないため、詳しい事情は知りませんが、長年、氏が率いた芸能事務所「オフィス北野」をたたみ、今は別の事務所でマネジメントをさせている聞きます。

事務所が替わる際、それまで多くの力を注いでいた森昌行氏と仲違いして離れたと聞きます。このことが北野映画の休止につながっているのだろうと私は見ています。

本コーナーで以前書きましたが、北野映画は実質的には森氏がおぜん立てをしたと考えています。ビートたけし氏はあくまでも監督役で、テレビ番組を作るのと同じように、映画作りのためのアイデアを出すぐらいのことしかしていないだろう、と私は考えています。

氏がまだ映画を撮っていた頃、新聞に制作現場を伝える記事がありました。それを読むと、俳優の演技に1回でOKを出すことが多い、というようなことが書かれていました。

ぶっつけ本番のようにしてさせた演技が、たまたま最高である場合もあるでしょう。

同じような意味合いでは、人気写真家の篠山紀信氏は、撮影が速く、粘って同じようなことをさせて撮影することがないといった話を聞きます。

私は映画作りは知りませんので、趣味の写真撮影で考えてみます。同じ被写体に何回もシャッターを切ることがあります。それをあとで見返し、結局は最初の1枚が一番良いと思うことが少なくありません。

その意味では、無駄に粘るのではなく、直感で撮影し、そこでさっさと撮影を終えることができる篠山氏の制作方法もありといえるでしょう。

ただ、ビートたけし氏の場合は、当人に「何がよい演技」かわからずに、監督の椅子に座っているのでは、という疑念を私は持ちます。

それをわかっていれば、目の前の役者の演技に自信をもってダメ出しすることにも躊躇しないでしょう。それができるだけの目を彼が持たないため、台本にある演技の撮影ができたら終わり、としているだけなのではと考えてしまいます。

氏はしゃべるのが本業ですから、自分に中身がなくても、それをあるかのように振る舞い、相手をけむに巻くことだけには長けています。上で紹介する動画でも、自分の中身のなさを思いつきのたとえ話でごまかすことしかしていません。

個人的には北野映画には興味がなく、これまで1本も見たことがありません。私の義兄は映画好きですが、北野映画には関心がなく、見る気にもならないと常日頃いっています。

映画評論家のおすぎ氏も北野映画には極め付きの辛口であることが知られています。

ビートたけし氏が、ある作品で自分が描いた下手くそな絵を使っていますが、その絵もおすぎ氏は酷評しています。

ビートたけし氏は、新聞、テレビ、そしてひと頃までは映画の世界にも幅を利かせ、氏につむじを曲げられては大変と大いに気を遣い、氏を批判するなど飛んでもないといった向きがあります。

そんな中にあり、ずばりと本音をぶつけるおすぎ氏を、私は大いに応援したい気分になったものです。

映画監督を名乗るのであれば、自分で脚本を書くぐらいの気概がなければ話になりません。私が最も好きな監督のひとりのビリーワイルダーは、非の打ち所がない脚本を書く監督です。

氏の場合はどうでしょうか。しかも、映画製作は森氏におんぶにだっこで撮っていました。その森氏が氏のもとを去ってしまったわけですから、氏の新作映画は難しいのではと私は考えています。

もしも北野映画が再び作られることがあるとすれば、それは、森氏に代わる人間を見つけたときであろう、と推測しておきます。

ビートたけし氏の話が長くなってしまいました。氏に代表されるのがテレビ芸人の情けなさで、テレビの画面の中ではエラそうにしていながら、一生懸命に上の人間にゴマをすらなければ生きていけいない立場にあるのがテレビ芸人です。

こんな彼らですから、時の権力者からお呼びがかかれば、尻尾を千切れるほど振って傍らに寄り添います。

それにしましても、「桜を見る会」に写るテレビ芸人の浅ましさといったらありませんね。

私はそんな写真に写る人間は軽蔑することにしています。意外なところでは、箱根駅伝で一躍有名になった青山学院大の原晋監督です。原氏も招待を受けたようで、総理のうしろでにこやかにしています。今では、当人も大学駅伝界で天下を取った気になったりしているでしょう。

意外な顔ぶれとして、理知的な印象を人々から持たれているであろう石坂浩二氏の姿を見つけました。石坂氏であっても長いものに易々と巻かれてしまい、安倍晋三首相から直々の招待を受け、光栄に感じて出かけてしまったのでしょうか。

石坂氏は今回のことで、これまでの評価を急激に落としたかもしれません。“安倍よいしょ組”の中では、石坂評が高まったに違いありませんが。

有名人であっても、その手の誘いに決してのらないであろう人もいます。

たとえば、東京五輪に絶対反対の態度を一貫して採られる久米宏氏は、はじめから招待されないこともあるでしょうが、万が一あっても、きっぱりと断られると思います。

また、女優の吉永小百合氏も、決して「桜を見る会」には参加しないと私は考えています。映画監督の山田洋次氏も応じないでしょうね。

要するに、この手の馬鹿騒ぎに担ぎ出される連中は、その程度の人間だということです。

参加したらしたで、心にもないお世辞を思いつく限り並べ立てているのでしょう。恥も外聞もあったものではないですね。ま、そのくらいでなければ、電気紙芝居と蔑まされるテレビ番組になど、馬鹿面下げて出られやしませんて。

昨日、東京五輪の聖火リレーに参加する有名人が発表になりました。これも「桜を見る会」に集まる有名人と同じ構図です。

東京五輪の開催そのものが曰く付きです。その疑惑の大会の盛り上げ役として担ぎ出されるわけですから、話を受けても「東京五輪そのものに私は反対です」と断ってやるというのが筋です。

久米宏氏が“久米宏スマイル”で聖火リレーする図を思い浮かべられますか? 浮べられないでしょう。

久米氏がやるとしたら、途中まで周囲に手を振りながらスマイルで走るものの、突如走るのを止め、地面に聖火のトーチを叩きつけたのち、「馬鹿々々しくてやっていられない」のポーズをし、スタスタとその場を去る、、、こんなことぐらい、でしょうか(´・ω・`)?

それなのに、各界の有名人に手当たり次第に声を掛け、将棋界からはあの藤井聡太氏までが担ぎ出されてしまいました。この決定を私は非常に残念に思いました。

まだ若いため、上からの圧力に屈しざるを得なかったのだろうと私は好意的に受け止めようとはしていますが。

もっとも将棋そのものの歴史を振り返りますと、「御城(おしろ)将棋」に象徴されるように、時の権力と密接に結びつく宿命にあるといえます。

将棋のテレビ番組も、お上に逆らってばかりいたら、消滅してしまうかもしれません。また、棋戦を主催するのはいずれも主要新聞社で、これも権力と結託する図式です。

将棋の関係者といえば、毎週日曜日に放送される「将棋フォーカス」で長年司会を務めたつるの剛士氏が「桜を見る会」から招待を受け、にこやかに写真に写っているのを確認しました。

つるの氏はもともと調子のよい人です。それは番組を見ていればわかります。誰に対しても、おべんちゃらを平気で吐ける人です。

つるの氏は、「桜を見る会」の問題点を問題視することに対し、ワイドショーだかで批判し、権力者に媚びを売ることをしているようです。

ネットの一部では、来年の東京五輪は行われないといった話がまことしやかに語られています。そのまま信じてよいのか私はわかりませんが、日本が浮かれてよい状況にないことは確かです。

近いところでは、一週間後の25日が気がかりです。

米朝の関係が極めて深刻で、北朝鮮が暴発しないとも限りません。そのとばっちりを日本が受け、電磁パルス攻撃で取り返しのつかないことになるかもしれない、といった恐ろし気な話があります。

本日の豆告知
本ページで紹介した動画は削除されました。

ま、電磁パルス攻撃そのものが、巷間いわれているほど恐ろしいものではないという話もなくはありませんが。

第2次安倍政権以降は、内政の失敗をごまかすため、中国と北朝鮮、韓国を仮想敵として、それに騙される愚かな国民の目を極東に逸らすことを繰り返しました。

この間に、これら3国と緊密な関係を築いていれば、何かのときに、日本が危機に晒されずに済んだでしょう。

年末から年始にかけ、米国と北朝鮮のやり取りから目が離せません。何事も起こらず、平穏のうちに年が暮れ、新年を迎えられるよう私は願うだけです。

テレビ芸人は自分さえよければよいのでしょう。何か重大な危機が起こり、その原因が現政権にあっても、その政権にすり寄った過去は綺麗さっぱり流せるのかもしれません。

それも含め、実に浅ましい人間というよりほかありません。

庶民は、見ないようでいて、案外、有名人をしっかり見ていたりするものです。しかも、あとで「そんなつもりじゃなかった」といい訳されても、それを素直に聞く耳を持っていません。

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