駒音高く4一飛

私は昔から、日曜日の午前中に放送される「NHK杯テレビ将棋トーナメント」を見る習慣を持ちます。それでありながら、2012年までは将棋のルールがわからないまま見ていました。

こんな私ですから、今も、番組を見てはいても、将棋の本当の面白さというのはまったくわかっていません。

そんな私ではありますが、今月14日の対局はとても面白く見せてもらいました。その対局を見たのは14日ではなく昨日(22日)です。

今月の本コーナーは、村上春樹1949~)の長編小説『1Q84』を読み進めながら何度も取り上げることをしました。

ヤナーチェク 「シンフォニエッタ」 ジョージ・セル Janáček “Sinfonietta”

NHK杯が放送される時間も、村上の小説を読むことに使ったため、生放送で見ずに、録画したのだと思います。

番組を録画して見る場合も、ただ再生して見るだけですから、見る時間がそのときどきで違う以外は、生放送で見るのと変わるところがありません。

しかし今回は、録画して見ることで、同じ部分を繰り返し再生したりでき、面白みがグンと増しました。

はじめにも書いたように、私は将棋というものをよく知らずに見るため、将棋の本当の面白さがわからずに見ています。そんな私に面白さを教えてくれるのは解説者の解説です。

それを聴きながら、そうか、そうなのかとわかった気になります。

今回の対局は、大石直嗣七段(1989~)と小山怜央四段(1993~)です。おふたりの対局は、練習将棋も含めて初めてということです。

解説は阿部光瑠七段(1994~)です。

阿部七段は青森県弘前の出身で、今年29歳になられます。プロ棋士になられたのは16歳5カ月で、プロ棋士になった年少記録としては、四番目に早い記録です。

阿部七段は2011年4月1日にプロ棋士になられたので、今年で13年になります。

今月14日に放送された一局では、すでに書いたように、大石七段と小山四段が対局しています。対局の前に対局者の簡単なプロフィールが紹介されます。

それを見て、あれ? と思いました。小山四段の年齢が30歳とあったからです。そのため、年齢制限ぎりぎりで四段に昇段し、今も四段のままなのかと思いました。

はじめのほうで、解説の阿部七段と小山四段が、子供の頃から付き合いがあったと話されています。この場合の付き合いというのは、会って遊んだとかいうのではなく、将棋の大会でふたりが勝ち進み、対局する機会があったということでしょう。

小山四段は岩手県釜石の出身で、年齢は小山四段が一歳年上です。東北の出身ということで、大会で顔を合わせることがあったのだと思います。

すでに書いたように、阿部七段は四番目に早い記録でプロ棋士になっています。小山四段が順調にいけば、早くプロ棋士になり、今はもっと昇段していてもおかしくありませんでした。

ネットの事典ウィキペディアで確認すると、小屋四段は、将棋の棋士を養成する奨励会(新進棋士奨励会)への入会試験を受験したものの合格できず、奨励会には入会しなかったことがわかりました。

そのため、事実上、プロ棋士の夢は一度は諦め、アマチュア棋士として将棋を指していたことになります。アマチュアの大会では、好成績を収めています。

その後、どうしてもプロ棋士への思いを断ち切れず、棋士編入試験の資格を得るところまで進み、ついに、その試験に合格し、昨年、プロ棋士とされる四段になったということです。

奨励会を経ずにプロ棋士になったのは小山四段が戦後初めてとなるそうです。また、番組でも紹介されましたが、岩手県出身者としても初めての将棋のプロ棋士だそうです。

小山怜央四段、昇段者免状授与式に出席

解説の阿部七段は、小山四段と歳が近いこともあってか、指された手に対し、割りと自由に発言され、それをとても面白く聴くことができました。

後手番の小山四段が勝ちましたが、早い段階で、先手番の大石七段が指した「8六歩」が、もしかしたら、あとあとまで、大石七段には重荷となったのかもしれないと素人の私は考えたりします。

本当は全然違うかもしれません。

先手番の大石七段は、矢倉囲いを好む居飛車の戦法を好まれる棋士でしょう。

昔は矢倉でしっかり囲んだあとに戦いが始まることがほとんどでしたが、今は攻めが早くなり、昔のようには囲わないまま戦うことがほとんどとなりました。

ともあれ、その大石七段が「8六歩」とついたとき、解説の阿部七段が「珍しい手」というような解説をされています。

その数手あと、後手番の小山四段が、「4一飛」と飛車を引きましたが、そのときの駒音が高く、自信の高さを窺わせました。

解説の阿部七段と聞き手の鈴木鈴木環那女流三段(1987~)が、小山四段の駒音の高さをすかさず指摘しています。

そのあと、小山四段は飛車を8筋に振り、大石七段の「8六歩」を早速咎めるようなことをしています。

NHK杯「大石七段×小山四段」部分

ほかにも阿部七段は、それぞれが指した手について聞き手の鈴木女流三段に良い手かどうか尋ねられ、率直に、「良いかどうかといえば、怪しいです」などと答えられたりしています。

プロの棋士ですから、指される一手一手が持つ意味を十二分にわかっており、それを聴きながら、そうなのかそうなのかと思いながら最後まで見ました。

実は、この日曜日(21日)も、高校野球春の地方大会を球場へ足を運んで観戦したため、二週続けてNHK杯は録画して見ることになります。

また、その次の週も同じように高校野球の観戦に行くことを予定していますので、NHK杯は三週続けて録画によって見ることになり、その次もとなると、四週続けてとなってしまいそうな気配です。

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