本ページに書くことは、ミラーレス一眼カメラで、しかも、Logで動画を撮影する人向けです。
業務用のシネマカメラを使って仕事として動画を撮影されている人は、私がこれから書くことは常識で、いまさら本ページに書くことは参考にならないでしょう。
ということで、趣味で動画を撮る人向けと考えてください。
ネットの動画共有サイトYouTubeにあった次の動画を見て、あることに気がつきました。
本動画は、BlackMagic Designの動画編集ソフトDaVinci Resolveやそれに関連するBlackMagic Designの製品の使い方などを動画で教えてくれるBlackMagic Designの公式動画のひとつです。
今回は、「シネマカメラの使い方 #2|DaVinci Resolveでの撮影素材の処理方法」と題し、BlackMagic Designのシネマカメラを使い、BlackMagic RAW(BRAW)で撮影した動画を、DaVinci Resolveでどのように扱うのかを、実際に作業しながら説明してくれています。
本動画の中の次の部分を見て、私はあることに思い当りました。その部分から再生が始まるように設定しました。ご興味のある方は下の動画を再生してご覧ください。
上の動画は、ISO感度の考え方について解説しています。スチルを撮影するときと、LogやRAWで動画を撮影するときでは、ISO感度の考え方に少し違いがあります。
Log動画を撮ったことがある人は、「ディアルネイティブISO」や「ディアルベースISO」というのがあるのは知っているか、聴いたことがあるでしょう。
YouTubeで、これについて解説した動画を検索すると見つかります。
しかし、私は以前から、YouTuberがこれを解説する動画の多くが、実は正しく理解していないのではと感じていました。
BlackMagic DesignのシネマカメラのデュアルネイティブISOは、どれも共通なのか、下のISO感度がISO400、上がISO3200だそうです。
ソニーのS-Log3は、下がISO640、上がISO12800です。
私が使っているソニーのα7 IIは、S-Log2しか使えませんが、このα7 IIの場合は、ISO1600がひとつだけです。

BlackMagic Designだけが「特殊」なのかわかりませんが、通常は、下のベースISOの数字に20をかけた数字が上のベースISOになるそうです。下に埋め込んだ動画の配信者が、そのことについて説明しています。
この「法則」に従えば、α7 IIにおけるS-Log2に下のISOがあれば、上がISO1600ですから、それを20で割ったISO80ということになります。
α7 IIは、Logで撮影できる一番下のISO感度がISO1600で、ISO80は元々使えないわけですが。
今、私はα7 IIでS-Log2の撮影をするときのネイティブISOがISO1600と書きましたが、これは正しくないでしょう。ただ単に、ISO1600から撮影できるというだけで、S-Log2撮影におけるISO感度の基準値がISO1600であるということではありません。
YouTubeでデュアルネイティブISO、あるいはデュアルベースISOについて解説する動画がありますが、それらの多くは、たとえばソニーのS-Log3であれば、低感度の撮影の場合は、ISO640、高感度の撮影ではISO12800を使うことで、ノイズが少ない動画が撮影できるとしています。
それぞれの人が実際に動画を撮るところを自分で見たことがないのでわかりませんが、この解説を見聞きする限り、S-Log3で動画を撮る時は、このふたつのISO感度以外では撮影しないように採れます。
私はこれに以前から疑問を持っています。それが、本ページではじめに紹介した動画を見て、私の疑問を解いてくれているように感じました。
BlackMagic DesignのシネマカメラにもデュアルネイティブISOが盛り込まれていますが、ISO400かISO3200のどちらかでしか撮影できないとは話されていません。
BlackMagic DesignのシネマカメラにおけるデュアルネイティブISOの場合は、次のようになっているようです。
- 下のベース感度【ISO400】:ISO100~ISO1000
- 上のベース感度【ISO3200】:ISO1250~ISO25600
ISO感度には当然のことながら幅があるのであり、下も上も、それぞれの幅の中であるなら、どのISO感度を選んで撮影してもいいということです。もっとも、より光量が少ない状況では、その選び方がコツがあることは、このあとに書きます。
ともあれ、ISO感度には幅があり、その幅の中から、必要に応じたISO感度を選んで撮影して構わないということです。当たり前といえば当たり前の話です。
もちろん、ISO上げれば上げるほどノイズがのりやすくなるのは、スチルの撮影と同じです。あとは、それをどの程度まで許容できるかです。
少なくとも、ベースのISO感度以外は使わないというのは極端な考えになるように思います。そんな考えでいたら、スチルの撮影においては、とんでもなく窮屈です。それは、Log撮影でも同じでしょう。
このことについて語るYouTuberの動画を見ると、暗い状況では、上の感度のISO12800以外使えないような誤っているかもしれない考え方を植え付けてしまいかねません。
ベースがISO12800というだけで、ソニーの設計では、それを始まりの数値として、うしろには幅があり、より暗い条件であれば、その幅の中からISO感度を選んで撮影してもいいということです。
それ以上に、上のベースISOがISO12800始まりというのが気になります。それよりも明るい条件で撮影することの方が多いはずだからです。
その場合は、下のベースISOの範囲になります。ISO感度をISO12800まで上げるほどではない場合は、ノイズが多くはならないでしょうか?
BlackMagic DesignのシネマカメラのBRAWで撮影する場合で、ISO1000付近のISOを選ぶ場合は、ISO1250にすべきと公式の動画で述べています。
理由は、上のベースISO感度であるISO3200が、ISO1250から始まるからです。一方、下のベースISO感度であるISO400の上限がISO1000です。
低感度用のISO400で上限のISO1000を使うとノイズが多くなるので、高感度用のISO3200のISO1250を使った方がノイズが少ないという理屈からです。
この説明でも、上のベースISO感度のISO3200を使えとはいっていません。
この説明をYouTubeでするYouTuberの多くが、低感度か高感度の2種類しか使えないように説明し、高感度であれば、どんな条件でも、たとえばISO12800で撮れと話しているように聴こえます。
これは誤りか、話が極端ではありませんか? ということです。
ベースがISO12800であるだけで、それのみを使えということではないのです。ある程度の幅を持つISO感度のベースというだけなのですから。
私が使うS-Log2は、ISO1600がベースのISO感度です。この場合も、ISO1600以外は使えないのであれば、より暗いところでLog撮影するのを諦めるよりほかなくなります。
DaVinci Designの公式動画を見て、疑問に思っていたことが解けたように思い、本更新をしました。