私が使っているミラーレス一眼カメラ(ミラーレス)のα7 IIはソニー製です。すでに古いモデルですが、私はとても気に入っています。
今はこれに、フィルムの一眼レフカメラのヤシカ・コンタックス RTSおよびRTS IIで使っていた、カール・ツァイスのプラナー50mm F1.4を、マウントアダプタを介して使うことがほとんどです。
プラナー50mmをつけて、マニュアルフォーカスで写真を撮ると、フィルムの時代に戻ったような感覚で、とても楽しいです。

α7 IIが、コンタックスRTSおよびRTS IIと同じような感覚なのも楽しさを増してくれます。
こんな風に、スチルの撮影でソニー製のカメラを使うのは問題ないのですが、ソニーがシネマカメラを謳っているカメラには疑問が消えません。
そのことについては、過去に本コーナーで何度も取り上げています。
それをまた書くきっかけとなったのは、ネットの動画共有サイトYouTubeで次の動画を見たことです。
動画全体で述べられていることではなく、動画の再生が始まるように設定した部分の再生映像を見た瞬間に、それを感じました。
本動画では、シグマのミラーレスの使い心地について、撮影した動画やスチルを見せながら、語っています。
動画の再生が始まってすぐあとぐらいに、「シャッターアングル」の設定項目が液晶モニタに写っています。この設定が、ソニー製シネマカメラにないことに、私は大きな疑問を持ち続けているのです。
シグマにできることが、どうしてソニーにはできないのですか?
海外のシネマカメラには、当たり前のようにそれがついています。
その代わりに、ソニーのシネマカメラは、シャッター速度でシャッターをコントロールする仕組みを採用しています。これは馬鹿げています。
シネマ専用機を謳うカメラが、どうしてシャッター速度でシャッターをコントロールしなければならないのですか? そのあたりのことを、ソニーの技術陣に伺いたい気分です。
シャッター速度というのは、スチルを撮影するときの概念です。スチルの撮影であれば、それが最も適っています。
しかし、シネマカメラはスチルを撮影するためのカメラではありません。スチルの概念はいりません。すぐにでも、シャッター速度をやめ、シャッターアングルを採用すべきです。
シネマカメラの構造を知らないかもしれない人に、素人の私が、私なりの解釈で、シネマカメラの構造を簡単に書いておきます。
フィルムで映像を撮影していたカメラは、回転式のシャッターを採用しています。シャッターは円盤型で、円盤が切れた部分が回転してくるとき、フィルムにレンズからの光が届き、フィルムに1コマ分の映像が感光する構造です。
商業用のシネマカメラは、通常、1秒間に24コマ撮影します。1コマ1コマは、スチルと同じ静止画です。それが連続して撮影されることで、少しずつ動きが違う静止画の集合体ができ、それによって、映像の動きが得られます。
1秒間に24コマ撮影するため、回転シャッターは1秒間に24回転します。そして、円盤が切れた部分が回転してきたとき、1コマ分の撮影をするのです。
この円盤の切れた部分が「シャッターアングル」です。私はそれを「シャッター開角度」と読んでいます。以下は、シャッターアングルの意味でシャッター開角度を使います。
通常のシャッター開角度は【180度】です。円盤型のシャッターの半分が開き、半分が閉じた状態です。
本ページに埋め込んだシグマのミラーレスでも、シャッターアングルの項目に【180°】の数字があったことに気がつかれたでしょう。つまり、デフォルトではシャッター開角度が【180度】になっているということです。
シネマカメラで、シャッター速度でなくシャッター開角度を採用しているのは、一度それに設定してしまえば、あとは、シャッター開角度のことは忘れて、撮影できるからです。
1秒間に撮影するコマ数を変更しても、シャッター開角度は一定です。
同じことをシャッター速度でやろうと思ったら、撮影コマ数を変えるたびに、シャッター速度を変更しなければならなくなります。
今はミラーレスで動画を撮影する人が増えました。
ミラーレスで厳密に動画を撮影しようと思えば、フレームレートの約2倍のシャッター速度にするのが望ましいことを知っているでしょう。
具体的には、24fpsで動画を撮影するときは、1/48秒というのがないので、1/50秒。30fpsであれば、1/60秒というようにです。
私は、本格的に動画の撮影をしないので、シネマカメラを購入する予定はありませんが、もしも必要になった時は、ソニーがシャッターアングルを採用しない限り、ソニー製のシネマカメラは購入候補には入りません。
それにしても、どうしてソニーはここまで、シャッターアングルの採用を見送っているのでしょう。ソニーの頑なさが私には謎でしかありません。
納得できるような理由があるのであれば、ぜひ、聴かせて欲しいです。