今週月曜日(4日)に更新した本コーナーで、油絵の技法に「新境地」を得たことを書きました。
その境地に自信を深めています。
昨日も、油彩画を一枚、アラプリマで仕上げました。今回は、自分の姿を鏡に映し、それを見ながら、描き始めから描き終わりまで持って行くことができました。
しかも、それ以前、何度も乾かしながら加筆して描いた「自画像」より出来が良いように感じます。
短時間で描き切るため、細部まで細かく描くようなことはしません。
古典絵画の細密画は、髪の毛を一本一本丁寧に描いたりします。そんなことは、アラプリマではしません。髪の毛を描くにしても、私は、豚毛に絵具をたっぷりつけて描いてしまいます。
こんな描き方をしたあと、レンブラント(1606~1669)が残した『パレットを持った自画像』を画集で見ました。
伸び放題の髪の毛が帽子からはみ出しています。カールした髪を、レンブラントは勢いよく描いています。細部にはまったくこだわっていません。ましてや、一本一本描くようなこととは無縁です。
それでいて、そのときのレンブラントの髪を、これ以上ないほど的確に表現しています。
パレットを筆を持つ左手は、陰になっているため、そこに手があるらしいことを臭わせる程度に描いています。パレットにしても、黒いコートの上にラフに塗っただけで、コートが透けて見えます。
おそらくはレンブラントも、自分の姿を鏡に映し、それを見ながら、短時間で本作を描いたでしょう。
描法はアラプリマにならざるを得ず、それが彼の姿を生き生きと見せています。
これがもし、下絵をしっかり作り、髪の毛一本一本まで描くような描法で描いたら、より本物に近い作品に仕上がったかもしれませんが、今日私たちが見ることができる作品のように、生きた人間の姿にはならなかったでしょう。
完璧に描こうとすると、絵が死んでしまいます。未完成に感じられる作品が、望ましい姿です。
本更新を終えたら、今日は、熟した柿の実でも描こうと考えています。サイズはハガキ大で、一時間もあれば終わってしまうだろうと思います。もしかしたら、一時間もかからないかな?
そうそう。描くサイズも、少しずつ大きくして、どの程度までならアラプリマで一日で描き切れるか、確かめることも、今後の私の「研究」対象です。
私は印象派の絵画が好きでありませんでした。それが今は、好きになってきました。
本コーナーを一旦終えたあと、柿の実を油絵具で描いてみました。
描いた柿を写真に撮っておきました。

これ(写真ではなく実物)を見ながら描いたのが下の絵です。

予想したとおり、一時間ほどで描き終えました。
はじめから細密に描くつもりはなく、油絵具を厚く塗っています。良い悪いは別にして、油絵具と接する愉しい時間を持てました。