M3 MicTrakで雷鳴を初収録

昨日の関東地方は、積乱雲が発達し、急な雨や雷に見舞われたところがあったでしょう。

南部の当地も、朝から雲の多い空模様となりました。そのためもあってか、気温の上がり方は鈍く、猛烈な暑さだったときに比べて過ごしやすく感じました。

そんな当地へも雷雲が近づき、遠くから雷鳴が聞こえ始めました。

実は、私は雷雲の到来を待っていました。被害が出るほど雨や雷が強まるのは歓迎しませんが、適度であれば、試してみたいことがあったからです。

それは、先月13日に導入した、にZOOM“M3 MicTrak”を使って雷鳴を収録することです。

ZOOM M3 MicTrak

このマイクのついたレコーダーについては、本コーナーで何度か取り上げました。

レコーダーには、デュアルADコンバータの回路を使った32bit floatで録音できる機能が搭載されています。それに加え、MidマイクとSideマイクが合体したM/S方式のマイクが搭載されています。

しかも、RAW形式の音声ファイルで保存ができ、録音したあとに、ステレオの幅を調節することまでできてしまいます。

この夢のような録音機器で雷鳴を収録してみたい、と思っていたのです。

自然界の音を録音する場合は、いつ音がするかわからないので、手に持って録音し続けるわけにはいきません。そこで、三脚にM3 MicTrakを固定し、雷鳴が鎮まるまで、急に雨が降り出しても濡れないようなところに、録音状態にして置いておきました。

録音を終えたM/S RAWファイルは、録音時間が45分弱で、サイズは986MBになりました。

M3 MicTrakはファイルの保存方式が独特(?)で、同じ音源に対して、通常のWAVファイルと、M/S RAWファイルのふたつが作成されます。

M/S RAWファイルは、専用の”ZOOM M3 Edit & Play”で読み込み、録音が終わったファイルのステレオ幅とゲインの調節ができるようになっています。

今回の雷鳴の録音では、私はステレオ幅を120度にして録音しました。それをZOOM M3 Edit & Playで読み込み、ステレオ幅を90度に変更しました。この時点では、ゲインは変更していません。

このファイルを次に、私が普段、音声ファイルの編集に使う、iZotopeRX 10 Standardに読み込み、音量の調節をしました。

自分の耳で聴きながらゲインで音量を調節することもできますが、私はRX 10が持つ機能であるLoudness Controlを使い、ソフト任せで全体の音量を的確にする方法を選びます。

Loudness Controlには23のプリセットが用意されています。その中から今回は、”Podcast Delibery”を選びました。

このプリセットを使った場合の設定は次のようになります。

  • True peak[dB]: -1.0
  • Integrated[LKFS]: -16.0
  • Tolerance[LU]: 0.5

これを使うことで、32bit floatで録音した音声データを最大限に活かすことができる、と私は考えています。

32bit floatの最大の利点といえるのが、どんなに大きな音から小さな音まで、余すことなく録音できることです。耳を劈(つんざ)くような音であっても、音割れしないといわれています。

プリセットに任せて録音済みのファイルの調節を任せれば、どんなに大きな音であっても、-1.0dBに抑えてくれます。

本日の豆知識
音声ファイルの場合は、最大の音の大きさが0dBです。これを超えると、音割れがしてしまいます。ということは、適正な音量にはすべてマイナスになりますが、それを表示したり、いったりするときは、マイナスをつけないことが多いです。

音質の修正はしていません。

45分弱の音声ファイルから一部を抜き出したものを下に埋め込んでおきます。

雷鳴(2023.8.1)

これを聴いて面白いと思ったのは、雷鳴のほかにセミの声がよく聴こえることです。録音しているときはセミの声が気になりませんでした。

それだけ、雷鳴に気持ちが集中していたのかもしれません。

結果的に、当地は雷雲の直撃が避けられ、雨が土砂降りになることもありませんでした。ということは、迫力のある雷鳴の収録には成功できなかったことになります。

雷雲に直撃されることがあれば、また収録し、より迫力のある雷鳴を音声ファイルに残したいと考えています。その場合は、強く降る雨の音も一緒に録れるでしょう。

音の世界も奥が広いです。映像とは違う面白さで、飽きることがありません。

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