私が現在使っているソニーのミラーレス一眼カメラ(ミラーレス)、α7 IIですが、使い出したのは昨年10月末ですので、使い始めて3カ月になります。
これを使い出すまでの1年半はキヤノンのミラーレス、EOS RPを使っていました。しかし、そのカメラでは動画のLog撮影ができないため、EOS RPに換えるまで使っていたα7 IIを再び入手し、使い始めました。
α7 IIを再び使う気になった理由はすでに書いたように、動画のLog撮影のためでした。しかし、使い始めていろいろ自分なりに「検証」した結果、動画の撮影は、ソニーの[S-Log2]ガンマではなく、[Cine1]ガンマに落ち着きました。
[S-Log2]ガンマも[Cine1]ガンマも、記録された動画は通常の撮って出し動画とは異なり、暗部の明度が高く、彩度が低いなど、メリハリがありません。
そのため、動画編集ソフトを使ってそれらを整えるカラーコレクション(カラコレ)をすることが前提です。
私の撮影対象は昔から少しも変わらず、身の周りの日常的なものばかりです。ですから、わざわざ[S-Log2]ガンマや[Cine1]ガンマで撮影し、そのあとにカラコレをするといった面倒な工程を踏む必要はまるでありません。
しかし、その、面倒くさいことをわざわざするのが、趣味人の性(さが)といったものでしょう。
面倒くさいことをわざわざするとはいえ、手抜きをできるところがあれば、しない手はありません。
[S-Log2]ガンマの撮影で一番面倒に感じるのが、ISO感度の設定です。
このガンマを使い、撮影のフレームレートに24fpsを選ぶ場合、シャッター速度は、フレームレートの2倍程度の速さが理想とされています。
動画撮影におけるシャッター速度については、本コーナーで何度か取り上げました。
動画は静止画の集合体でできています。その一枚一枚の静止画が静止した状態で定着すると、前後の静止画のつながりが悪くなり、いわゆるパラパラ漫画のようになってしまいます。
そのため、動画における静止画には、モーションブラーを起こしていることが逆に望ましいのです。それが、経験と理論で、フレームレートの約2倍のシャッター速度に結び付きます。
24fpsでは、1/48秒というシャッター速度はないため、便宜的に1/50秒、あるいは1/60秒といった速度が理想的とされます。
ここで問題になるのがISO感度です。
α7 IIで利用できるS-Log2ガンマの場合は、ISO感度がISO1600始まりになってしまいます。これに加えて、今も書いたように、シャッター速度が1/50と遅いため、その分レンズから多くの光を取り込んでしまうことになり、晴れた日の屋外での撮影などでは、レンズのF値の数字を大きくしても(絞り込んでも)補いきれなくなります。
それを解決するために、レンズから入る光を弱めるNDフィルターを使いますが、装着の手間がひとつ加わります。また、光量を変更できる可変NDフィルターなどを使うと、色調に悪影響が出やすくなる問題があります。
これらの問題が、[S-Log2]ガンマの利用から[Cine1]ガンマに換えると、小さくなります。
ここでも鍵はISO感度にあります。
私が使うα7 IIで使える[Cine1]ガンマは、ISO感度の始まりがISO200になります。ISO1600とは大違いです。露出の段の考え方でいえば、3段分低いところから始められ、F値だけでも、3段分開放して使うことができます。
これに加えて、趣味で撮影する動画ですので、露出をオートで撮影する方法を選ぶことにしました。ISO感度もオートにしてみました。
このように設定することで、露出はすべてカメラ任せになり、被写体にカメラを向け、動画のスイッチを入れるだけです。
ISO感度がISO200始まりのため、晴れた日の日中であっても、シャッター速度は、理想的な1/50秒や1/60秒に近い速度に抑えられます。
その分、F値は大きくなりますが、背景をぼかしたような画を、私は元々、動画では求めていません。むしろ、動画は、背景までしっかりピントが合っていることが好ましいように感じます。
古い映画やドラマを好んで見ますが、それらの映像の中で、背景をぼかしたような映像はほとんどお目にかかったことがないです。演技者や対象物に近づいて撮影することで、結果的にぼけることはあるでしょうけれど。
背景をぼかした映像は、ミラーレスで動画を撮る人が爆発的に増えた昨今の流行のひとつといえましょう。本来の映像表現とは異質な流行といえなくもありません。
すでに書いたように、レンズの絞りを絞って撮影されるのを好む場合、F値の小さなレンズは必要でありません。私はα7 IIに、24-240ミリの10倍ズームレンズをつけて使いますが、被写体を自分の好きな焦点距離で捉えることができ、便利に感じています。
しかも、カメラボディとレンズに光学式手振れ補正機能が搭載されており、ブレが押さえられて便利です。
このようにして撮影した[Cine1]ガンマ動画は、カラコレが楽です。
私は難しいことはせず、明度と彩度、色相のために3つのノードを用意し、それぞれを、自分の望むように調整するだけです。難しいことは何もありません。
明度の調整が一番大事で、これがしっかりできれば、コントラストの調整は省くことができます。
[S-Log2]ガンマのときの明度調整のやり方を変え、ダイナミックレンジの波形は参考程度に見るだけにし、自分の眼を基準にして、調整するようになりました。
私は趣味で動画を撮影するだけですから、カラコレの次のカラーグレーディングは必要ありません。思いつきで試すこともありますが、遊びの範疇でのことです。