自画像に加筆して心楽しい秋

10月になり、関東も秋本来の陽気となりました。秋になれば「〇〇の秋」が何でもござれです。

私には「芸術の秋」「美術の秋」が訪れました。芸術や美術というほど大層な物ではありませんが、ここへ来て、絵画制作が順調すぎるほど順調に感じます。

今日の朝も、自分の顔を描く自画像に加筆しました。描き始めて4回目の筆入れで、加筆としては3回目になります。前回の加筆で、何か“開眼”したように感じ、ハイな気分のまま本コーナーの更新をしています。

通常であれば、その時は快調でも、そのあとにその気分は崩れ、「やっぱりダメだ!」と自分にダメ出しをするのがパターンです。今回も、前回の加筆が終わったところでは、なにやら近代絵画の父のポール・セザンヌ風に近づき、これまでの自分の画風を離れ、新境地に達したように感じました。

しかし、気を落ち着けて描きかけの絵を見ると、未完成の感じは悪くはないものの、やはり、本来の自分の絵に近づけたくなりました。

そんな風に途中で気が変わり、加筆したことで台無しにしてしまうことが、私には定番です。

それが今回は、良い方向にぐんと進み、非常に良い気分になり、その気分のまま、この投稿をしています。

結局は、私が最も敬愛する17世紀のオランダの画家、レンブラントの画風に近いような自画像に変わりました。

使った絵具は前回とほとんど同じで、違ったのは、ウルトラマリンブルーを1色加えたことです。

使った筆は今回も豚毛の平筆で、ほとんどの部分を6号の筆で描きました。ほかに、バックを塗るのに10号の筆を使っています。

光の状態が良くない室内で描いていますので、鏡に映る自分の顔は、多くが陰に沈み、光が当たるのは、額と眉毛の上、右の瞼、右の頬の一部、鼻の頂点の一部、口の右上の部分、右の耳などだけです。

光と陰の部分があるのは、レンブラントの作風と同じです。

陰の部分にも色味はあり、見える通りに描こうと考え、パレットの上で色を作るのは楽しいです。また、光が当たった部分にも、青みを効かせたりします。

あと1回ぐらい手を入れて完成にしたい、と考えています。

自己採点ですが、なかなかいいです。

レンブラントが死の6年前に描いた『パレットを持った自画像』の顔の部分だけを比べると、私が今日加筆した自画像のほうが魅力的ではないか、とこれは100%己惚れですが、考えてしまったりします。

この調子で、自分以外の人をモデルに描きたい気分です。が、モデルになってくれる人がいないのが、私には悩みです。

「出会いの秋」が待ち遠しい私です。

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