自分に正直な乱歩と覗き眼鏡

Amazonの電子書籍版で、江戸川乱歩村上春樹の短編を交互に読んでいます。

前回の本コーナーでは、村上の短編集から『シェエラザード』を取り上げました。

そのあとまた乱歩に戻り、全集に収められた『湖畔亭事件』を読みました。乱歩が本作を『サンデー毎日』に連載したのは1926(大正15|昭和元)年の1月から5月です。

時代が違っても、発表された作品は作者の気風と共に、同じ遡上に載せることができます。村上の短編のあとに本作を読みますと、今更ながらに、乱歩が自分の偏った性的傾向も隠さずに書いていたことが確認できます。