2004/03/12 小三冶さん芸術選奨に

先日、地方紙の一面コラム(朝日新聞の「天声人語」に相当するコラム)には、コラムを執筆されている担当者の知り合いの喫茶店店主の嘆きが紹介されていました。

昨今、純粋な喫茶店は次々に廃業に追い込まれているといい、その知り合いの店主も長年続けている店をいつ閉めることになるかわからないといいます。で、その店主が「もうこの商売もおしまいだね。人々がこうも時間を楽しむ余裕をなくしちゃあ」とこぼしたというのです。

いわれてみれば、喫茶店という空間はコーヒーそのものを飲むだけの場所ではなかったはずです。たとえていえば、「流れゆく時間を味わう場所」といういい方もできそうです。しかし近年はその時間をじっくりと味わっているだけの余裕が、人々から年々失われていってしまっているようなところがあります。

2004/03/04 妖しい魅力の「球体関節人形展」

昨日、ちょっと刺激的で魅力的な展覧会を見てきました。

現在、東京・江東区東京都現代美術館で開催中の「球体関節人形展」(2004年2月7日~3月21日)です。

「球体関節人形」というのはあまり馴染みのない言葉ですが、意味はそのままで、「関節の部分に球体を入れることで自由なポーズを取れる人形」を総称するようです。

同展のチラシ(表)

2004/02/16 画家・熊谷守一の生き方に学ぶ

昨日放送された「新日曜美術館」(日曜美術館)(NHK教育/日曜09:00~10:00 再放送20:00~21:00)は、いろいろな意味で興味深い内容でした。

今回、その番組が取り上げたのは熊谷守一という画家です。

私に強い印象を残したのは、彼が70歳近くなるまで、画家という肩書を持ちながら、絵を全く描けずに過ごしたことです。

守一は、明治33(1900)年東京美術学校(に入学し、主席で卒業します。同窓生には、夭折の天才 青木繁がいました。

青木は、自分が早死にすることを悟っていたように、話題作、問題作を次々発表し、自らの作品世界の確立を確認したのち、死んでいきました。彼と同窓で学んだ守一は、青木の生き方や創作活動、名声をどう受け止めたでしょうか。

2003/07/21 光と陰の画家レンブラント

今回は絵画の話を書きます。それも、私が最も敬愛するレンブラントについてです。

で、レンブラントといえばつい最近、あるニュースが話題となりました。それは彼が描いた『自画像』が新たに発見されたというものです。

今私の手元には、それを伝える新聞の切り抜き記事がありますが、ロンドンの競売大手のサザビーズで競売にかけられ、レンブラントの『自画像』としては史上最高額の約6百95万ポンド(約13億3千万円)で落札されたそうです。ついでまでに落札に成功したのは、アメリカでカジノを経営するスティーブ・ウィン(ウィン・ラスベガス)という人物だそうです。

一般庶民にとっては全く縁のない金額で、私のもっぱらの関心も、どういう経緯でその作品が世に出てきたのか、という一点にのみあります。

2003/07/10 映画『talk to her』に見る恋愛の形

のっけから事件の話になってしまいますが、あれは今年に入ってからでしたか、おぞましい事件の報道があったことが記憶に残っています。

東京の上野にある(あった?)整形外科医院で起きた事件です。当医院の医院長が診察に訪れた女性に睡眠薬を投与し、完全に意識を失わせた上で、女性患者の下腹部をいたずらをして逮捕されるという実に破廉恥な事件を起こしました。

この男が悪質なのは、その一部始終をビデオ・カメラに収めていたことです。それが一人や二人ではなかったそうで、相当数の女性が常習的に被害に遭っていたようです。

同じようなケースは過去にもあり、そうした記録ビデオが市場に出回り、問題化したことがあったことも私の記憶に残っています。それにしても、その被害に遭った女性が受ける心的傷はいかばかりでしょうか。

2003/04/20 田原騎手が選んだ人生のリセット

今日は競馬のG1レース(The Great ONE Horse Race)の一つ「皐月賞」が千葉県船橋市中山競馬場で行なわれます。

私は馬券の買い方もわからず、普段は競馬に関心がないにも拘わらず、G1レースとなるとなぜかテレビのチャンネルを合わせたりしています。ですので多分、今日のレースもテレビ見戦するのではないかと思います。

朝日新聞の土曜版「be on Saturday」には、そんな競馬界でかつて大活躍した一人の人気騎手を取り上げた記事が載っています。

記事に添えられた写真の中で、その人気騎手でもあった一人の男は、都会のきらびやかなネオンを背景に佇み、「これから先どのように生きていこうか」とでも訴えかけるような目でこちらを見つめています。

男は田原成貴さん(44)といいます。

2003/03/27 特異なアーティスト・ヘンリー・ダーガー

秋は「美術の秋」ともいわれ、数多くの展覧会が開かれる季節に当たりますが、春も「美術の春」とでもいいたくなるほど展覧会が開かれます。暖かくなることで人々が外を出歩くようになり、美術館にも足を運ぶようになるせいかもしれません。

日本国内の各主要美術団体も展覧会の時期を迎え、私は昨日から東京都美術館で始まった団体展の一つ「第79回・白日展」(東京展3月26日~4月4日)(「白日会」)に出かけてきました。

この団体の特徴は写実性にあり、写真と見紛うほど精緻に描かれた作品が所狭しと展示されています。それらの作品は近づいて視ても絵筆の跡が感じられないほど丁寧に絵具が塗られています。

それらの作家は、技術的にはほとんど完成の域にまで達しているものと思われます。が、その技術を持って何を表現するべきかという最大の問題に直面しているように感じられました。

今日の朝日新聞文化面には、そんな彼らとは対極に位置する一人のアーティストを紹介する記事が載っています。1973年に81歳で世を去ったヘンリー・ダーガー(Henry Darger/1892~1973)というアーティストです。

2003/03/23 ケン・ジョセフの衝撃リポート

イラクへの攻撃が始まってからというもの、“情”に流された「反戦=反米」のうねりは日増しに大きくなっているようです。

この動きは、著名人へも反戦意識の高まりとなって表れているようで、今日の日経新聞には女性歌手の宇多田ヒカルさんと矢井田瞳さんの例が書かれており、それによれば、それぞれの自サイト内で彼女たちは以下のように反戦を訴えているそうです。

正しい戦争なんて無い。本当にこの戦争が必要で正義の行為だと、思っている人達がいる。それが私には信じられない。(宇多田ヒカル)

誰かに愛されているはずの人が、誰かの愛する人の血を流すのは紛れも無い事実だろう? 戦争反対。

2003/02/22 フセイン帝国の恐怖

またしてもイラク情勢について書こうと思いますが、今や反米感情を有する一部マスメディアが主導する形で全世界に「反戦=反米=イラク擁護」の嵐が吹き荒れていますが、その張本人といいますか“張本国”のイラクについて報じる新聞、テレビはそれほど多くありません。

実際のところイラクとはどんな国で、その国を支配しているサッダーム・フセインとはどんな人物なのか、少なくとも私は、知識を持ち合わせていません。そんなところに実にタイムリーに、今日の地方紙には1ページを費やしてフセインとイラクについて解説した記事が特集されています。ですので、そこから拾い読みしながらイラクの現状の一端を確認していこうと思います。

まずサッダーム・フセインとはどんな人物で、どのようにして権力を手に入れていったのかということですが、フセインが伝記作家に語ったことが確かだとすれば(こうした場合、事実が誇張されるのが常ではありますが)、彼は1937年4月、イラクの首都バグダードの北約160キロにあるティクリート近郊のアルアウジャという村で生まれたそうです。

2003/02/16 「新日曜美術館」有元利夫特集

今日の「新日曜美術館」(日曜美術館)(NHK教育/日曜09:00~10:00 再放送20:00~21:00)は、私が個人的に好きな画家・有元利夫を取り上げており、その放送をしっかりと見ました。

実は今回の番組放送の情報は、2月7日の産経新聞の記事で事前にキャッチしていました。で、その記事には番組で取り上げるまでのちょっとした裏話のようなことが書かれています。

普通はどのような段取りを経て一つの番組が作られるのかは知りませんが、今回の場合は、昨年11月から今年の1月にかけて東京・丸の内にあります東京ステーションギャラリーで開催されていた「有元利夫展 花降る時の彼方に」で彼の人気ぶりを目の当たりにした当番組のディレクターが企画を立案されたそうです。