このことには昔から気づいていましたが、σ(^_^)私はサービス精神が旺盛な人間に生まれついているようです。
そのサービス精神は、たとえば年賀状を書く際にも発揮されました。私は今も昔も年賀状を書く習慣を持ちませんが、中学3年の暮れ、同級生の女生徒に出すため1枚書きました。彼女とは中学時代の3年間同じクラスで、私は彼女にずっと片思いしていたのでした(*´д`)
で、いきなり熱烈なラヴレターを送っては相手もさぞかし重苦しく感じるであろうということで、年賀状にかこつけて自分の気持ちを相手に伝えようと、15歳なりの智恵を働かせました。その時に作成した年賀状は今でも憶えていますが、次の年の干支をイラスト風に大きく描き、右下にある細工を施しました。
当時はプラモデル作りにも熱中していましたから、必要不可欠な接着剤の「セメダイン」はいつでも手元にありました。そのセメダインを使った細工です。
まあ、細工といいましても、子供が思いつくことですから大したものではありません。セメダインの透明性を活かし、ポチョン、ポチョンと点を置くようにして、「LOVE」という文字を描きました。乾くと透明になるセメダインで描いた文字は、ちょっと見には気がつきません。
そこで、その脇に小さくこんな注意書きを添えました。
この部分(セメダイン文字の部分)に紙を載せ、鉛筆でこすってみてください。
いわれた通りにすると、「あら、不思議(゚Д゚;)!」というほど驚かないとは思いますが(^3^)、紙の上に「LOVE」という文字が現れる細工です。
結局このときの“作戦”は私の独りよがりに終わり、「LOVE」へ進展することはなく、その後、彼女には一度も会ったことがありません(´・ω・`)
このように、無駄と思えるほどサービス精神が旺盛な私が、今日もまたその精神を発揮させ、動画をひとつ作りました。これは、このところ私の中ではちょっとした“恒例”になっていますリクエスト曲と連携した動画制作です。
私がリクエストする番組といえば? そ! いわずと知れたNHK-FMの「サンセットパーク」です(^m^)
今夕に放送が迫った同番組の木曜日は映画音楽を守備範囲としています。そして、今宵の募集テーマは「私に勇気を与えてくれる映画」です。
そのテーマで私が選んだ1本は、1983年のアメリカ映画『ライトスタッフ』です。リクエスト番組の命は音楽です。ですから、いくら作品が素晴らしくても、かけてもらう曲がしょぼくては話になりません。その点、この作品の音楽を担当したビル・コンティは、あの『ロッキー』シリーズの音楽も作っているくらいですから、聴く者を勇気づける音楽は得意分野といえそうです。
そか! この募集テーマは『ロッキー』でもいけそうですね。でも、ま、今回私は『ライトスタッフ』でいかせてもらいます∠(^_^)
肝心の内容に入る前に、タイトルの『ライトスタッフ』ですが、「正しい資質」ぐらいの意味になるようです。何に求められる「正しい資質」なのかといいますと、1950年代、ソ連と抜きつ抜かれつで競っていた宇宙計画に参加すべき宇宙飛行士として「正しい資質」を持つ人間です。
それ以前、アメリカとソ連は戦闘機の性能で競いました。互いの国が目指したのは、音速の壁を破る戦闘機の開発です。その戦闘機のテストパイロットがアメリカの荒野にあるエドワーズ空軍基地へひとりまたひとりと集まってきます。
我こそは史上最高のパイロットを自認する命知らずの男たちは、世界一速い男を目指してマッハ1の壁に挑みます。が、そのたびにぶ厚い壁に阻まれ、荒野に墜落していきます。今日もまた、荒野の遙か向こうで墜落の黒煙が上がり、命が消えたパイロットの妻の下にそれを告げる使者が訪れます。
誰にも破ることができない音速の壁に挑戦する男が現れました。実在したチャック・イェガーという男です。
イェガーは、出来上がったばかりのオレンジ色の機体に潜り込みます。当時はジェットエンジンで離着陸できる戦闘機はまだなく、大型のプロペラ機の腹に爆弾のようにぶら下がって高い高度まで連れて行ってもらい、そこで大空に切り離されて音速の壁に挑むのです。
マッハ0.90_0.91_0.92_スピードが増すごとに音速の壁の重圧で操縦桿が猛烈な勢いで振動し始めます。イェガーは搭乗前に相棒からもらったガムを奥歯でグッと噛みしめ、その衝撃に堪えます。
マッハ0.99_。速度計のガラスがバキッ! と割れ、重圧にダウンします。イェガーの前に“悪魔”が現れますが、必死に操縦桿を操ります。それが、人類史上初めて音速の壁を突破した瞬間で、イェガーは「世界一速い男」となりました。
そのニュースを漏れ聞いた国中の腕自慢が荒野の中にポツンとある空軍基地にぞくぞくと集結してきます。
1950年代、アメリカとソ連の競争の舞台は宇宙に移ります。今度は、どちらが先に宇宙空間へ人類を送り込むことができるかの競争です。そのため、アメリカはそのレースに正しく対応できる資質を持つ「ライトスタッフ」の選考に着手します。
厳しい選考と訓練の末に7人のライトスタッフが選ばれますが、その内の何人かはエドワーズ空軍基地にいたパイロットでした。ただし、世界一速い男といわれたイェガーはこの計画の輪に加わることは一度もありませんでした。
俺はパイロットだ。パイロットは自分の手で操縦桿を操作し、機体を操ってこそだ。ロケットのカプセルに押し込められて空に放り投げられ、海に着水したことろを助けてもらうだけならサルにでも任せておけ。
これ↑は私が勝手に脚色した台詞ですがf(^_^)、まあ、こんな拒否反応がイェガーの胸の内にはあり、宇宙ロケットの発射を中継するテレビ番組も冷やかし半分に眺めていたのでした。
私は、今回のリクエストにあたり、この作品のレーザーディスク(LD)を久しぶりに見て、あるシーンが強く印象に残り、それをリクエストカードに書き、無駄にサービス精神を発揮させて動画までこしらえてしまったのでした(´・ω・`)
ということで、その場面を6分弱の動画にしてみましたので、よかったら下のリンクからご覧ください。なお、リンクをクリックすると動画を紹介する本サイト内「私の動画アーカイブス」へご案内します。
動画に出てくる場面の補足説明をしておきます。この場面の主要人物はライトスタッフのリーダー格ジョン・グレン(エド・ハリス)と彼の妻・アニーです。
イェガーの台詞に「マスコミ? ああ、顔の前でやたらにフラッシュをたきまくる野郎どものことか」というのがありますが、当時からマスメディアは格好の標的を見つけてはフラッシュをたきまくり、マイクを突きつけていたようです。
そんなマスコミに人一倍神経質になっていたのがアニーでした。彼女には吃音症があったからです。それもあって、ライトスタッフの夫人たちの間でははじめ、彼女がお高くとまっているように勘違いされる場面があります。
アニーは吃音のため、スムーズに言葉が出てきません。それだから、彼女は夫人たちがいる場でも、ひとり黙っていることが多くあります。そんな彼女の一番の理解者は夫のジョンでした。
夫のジョンが初めての任務に就くとき、例によってマスコミがどっと押し寄せてきます。しかも今回は、のちの大統領になるジョンソン副大統領までがやって来て、全米向けのテレビ中継に応じろと迫ります。
その申し出にアニーはたじろぎ、拒絶します。これに怒ったのはジョンソンです。外で待つ車の中で握り拳を作り、車内からドアをドンドン叩いては「早く説得しろ!」と部下を叱り飛ばします。当時、アメリカの宇宙計画の中心にいたジョンソンにしてみれば、「俺に従うのが当たり前」の気持ちだったのでしょう。
その説得の役が、ミッションが一時中止状態になり、ロケットから降りてきたばかりの夫ジョンに回ってきます。電話口の向こうで待つアニーを説得しろというのです。
個性派揃いのライトスタッフをまとめるため、敢えて優等生役を引き受けていたグレン飛行士が、ここで上からの命令に逆らいます。彼の後ろでは、この計画の責任者が見守っています。やおら受話器を受け取ったグレン飛行士は妻のアニーに語りかけます。
アニー、どうしたんだ? 副大統領がテレビ対談を求めてやって来た? (ひと呼吸おいて)誰の要求であろうと、テレビ局がやって来ていようと、それに従うことはない! 君が望むように行動をしなさい。大丈夫だ! 私がついている! もしも君に触れるヤツがいたら、そいつにいってやれ。私の夫はジョン・グレン飛行士だと。
ここでもまた、私が多少脚色してしまっていますが、だいたいこんな内容だったと理解してください(^m^)
この場面を見たなら、自分が吃音者でなくても、勇気づけられるのではないでしょうか。また、自分が独り者であっても、心の中がじーんと温かくなると思います。私も久しぶりに見返すまでこのシーンは忘れていましたがf(^_^)、改めて見て、この場面の良さを知りました。
もしかしたら、昔に見た頃に比べて見る側の自分も人間的に成長し、今よりも若かった頃には気がつかなかった場面に感じ入ったということかもしれません。
ソ連と競うように宇宙進出にしのぎを削るアメリカ国内では、人々の関心が宇宙に注がれていました。それでもなお、戦闘機のパイロットにこだわるイェガーは、14万数千キロ(だったかな? 違っていたらあとで訂正します)の最高度到達点を目指します。その昔読んだ寺山修司が書いた文章に「空の高いところには鳥の墓場がある」といったようなものがあったことを思い出しましたが、イェガーが目指す先にその墓場があったかもしれません。
空軍基地へ馬でやって来たイェガーの前に、最新型の戦闘機があります。いつものように相棒からガムを1枚もらったイェガーが操縦席に乗り込みます。あっという間に飛び立ったイェガーは、操縦桿をグイと引き、あとは磨き抜かれた機首をひたすら垂直に向け上昇していきます。
その姿は、かつてのパイロット仲間が宇宙飛行士として世の注目を一身に集めることへ抵抗し、たった独りで宇宙を目指す孤独な宇宙飛行士のようにも見えます。もしかしたら、イェガーこそが真の“ライトスタッフ(=正しい資質)”を持つ人間だったのかもしれません。
以上、本日は、今夕に放送が迫った番組宛てに出したリクエスト曲にちなみ、映画『ライトスタッフ』について書き、また、自分で作った動画を紹介してみたりしました。気がかりは、今回のリクエストが果たして採用されるかですが、私がひとりで気を揉んでみても結果は変わりません。あとは神の御心と選曲&パーソナリティの山本さんにお任せしましょう(´・ω・`)