高校野球は地方大会も全国大会も、一発勝負です。どんなに競った試合をしても、負けたら次の試合はありません。それもあって、戦っている選手の必死さがテレビ受像機の画面から伝わってきます。
今年のセンバツ大会(選抜高等学校野球大会)も、あとは準決勝と決勝の3試合を残すのみとなりました。
昨日(28日)行われた準々決勝第3試合の最終盤、選手の必死さが伝わる場面がありました。私はそれを録画してあったため、試合後に再生させて見ました。
それを見ると、生放送のときには気がつかなかった細部が発見できます。その場面を繰り返して見ているうち、ベンチから仲間に懸命に声援を送る様子などもあり、胸が熱くなりました。
第3試合は、千葉の中央学院と青森の青森山田の対戦でした。
安打数では青森山田が上回ったものの、チャンスを再三作りながら、あと一本が出ず、9回裏1アウトで、中央学院が青森山田に5対2とリードしています。
9回最後となるであろう攻撃は、3点差を追う青森山田です。二塁には2点目を挙げた吉川選手がいます。
ここで、青森山田は代打に背番号13の藤田選手を送ります。実況のアナウンサーの説明で、今大会初めてバッターボックスに入ったことがわかります。
中央学院は、8回途中から、遊撃手の颯佐(さっさ)選手が急遽マウンドに上がっています。
1球目は、左バッターの外角高めのボールを打者が見送ります。
2球目は、ストライクゾーンに入ってきた球を打ち、バックネット方向へのファールとなります。
3球目は打者の空振りを誘います。力いっぱいのスイングでした。これでカウントは1ボール2ストライクです。打者が3球で追い込まれる形となりました。
4球目は、投げた颯佐投手の帽子が飛びます。それだけ渾身の力を込めたことが窺われます。判定はボールで、2ボール2ストライクの並行カウントです
5球目はファールで、打球はバックネット方向へ飛んでいきます。
6球目を颯佐投手は、空振りを誘うように、打者のインコース高めに投げます。打者はそれを見極め、見送ります。球審の判定はボールで、カウントは3ボール2ストライクのフルカウントです。
7球目、投手の颯佐は、ストライクゾーンに決め球のストレートを投げ込みます。打者は辛うじてバットに当て、ファールです。カウントはフルカウントのままです。
8球目を打者はジャストミートし、バットの金属音が響きます。打球はセンター方向へ飛んでいきます。センターを守る青木選手がその球を必死に、グラブに収めます。
打ち取られた藤田選手がベンチに戻る様子をテレビカメラが捉えます。
意外にも、藤田選手は笑顔を浮かべています。ベンチの仲間は、よくやった、早く戻って来いと笑顔で迎えます。
私の文章では、私が受けた感動が伝わらないでしょう。その場面を、録画した番組から動画にしてみました。良かったら見てみてください。
対戦したチームには勝ち負けで大きく分かれます。しかし、対戦した選手とそれをベンチから見守った選手は、後々までも、そのときの情景と感情が記憶に残るのではないでしょうか。