私は映像に興味を持つため、一度はそれから離れても、再び戻ることを繰り返します。
ミラーレス一眼カメラを使い、Logで動画を撮ることの「研究」を今またしています。
私が使うカメラは、ソニーのα7 IIです。レンズは純正の24~240ミリの10倍ズームレンズです。

α7 IIで撮れるLogはS-Log2です。このガンマ値を使って動画を撮ろうとすると、露出で苦労させられます。露出を決めるうえで基となるISO感度は、どんなに光量がたっぷりある条件であっても、否応なしにISO1600です。
先週の水曜日(27日)、関東南部は良く晴れました。その日の午後、庭に咲いている梅の花をLogで撮影しようと思いました。その時間、梅の花は、強い陽射しを受けていました。
その光の状態でも、ISO感度はISO1600を使わざるを得なくなります。これだけでも難儀するところ、シャッター速度が追い打ちをかけてきます。
動画のシャッター速度については、本コーナーで何度も書きました。
フィルムのシネマカメラは、円盤の半分が切れたシャッターが回転する仕組みです。切れた部分がシャッターアングル(シャッター開角度)で、切れた部分が回転してきたとき、フィルムが露光します。
商業映画は、毎秒24コマで撮影します。フィルムが露光する時間は、半分の時間になり、1/48秒です。このような条件で撮影することで、撮影された映像の動きがスムーズに見えるようになります。
これがデジタルのシネマカメラやミラーレスで動画を撮る時にも応用されます。
梅の花の撮影に、私は24fps(正確には23.976fps)を選びました。この場合、望ましいシャッター速度は1/48秒になりますが、その速度がカメラにないので、1/50秒にします。
このISO感度とシャッター速度で、強い陽が射す梅の花を撮影するのは至難の業(わざ)です。それを実現するには、濃度の濃いNDフィルターが必要です。
私はスチルをスナップする感覚で動画を撮りたいため、この撮影のためだけにNDフィルターをつけたりするのは面倒です。
そこで私は、ISO感度やシャッター速度に縛られず、自由に撮ってみようと考え、実行しました。
私がしたのは次のことです。
まずは、ISO感度をオートにしました。もっとも、S-Log2はISO感度がISO1600始まりですから、オートにしてもISO1600以下には下がりようがなく、自動的にISO1600になります。
次に撮影モードをプログラム(P)モードにしました。スチルの撮影モードにもPモードがあります。どちらも、カメラに露出を任せ、被写体の反射光をカメラの露出計が測定し、18%グレーに近づけるシャッター速度とF値の組み合わせを導き出します。
Pモードを選んだ時点で、動画撮影におけるシャッター速度の「縛り」から離れています。どんなに速いシャッター速度であっても目をつぶる覚悟です。
カメラがどんな露出設定の組み合わせを選ぶのかと思っていたら、優秀な組み合わせを選んだので、感心しました。
ISO感度はオートであってもISO1600だったでしょう。シャッター速度は1/1600を選んでいました。そして、F値がf/13程度であったと思います。
これは、私が一昨年(2022年)の12月末に得た「感度分の16」に沿った露出の決め方を踏襲するのと同じです。
「感度分の16」は、カメラマンであり写真家でもある渡部さとる氏(1961~)のYouTubeチャンネルで得た、実に応用できる露出設定です。
よく晴れた日の日中、空を真っ青に撮ろうと思ったら、「感度分の16」にするだけで、世界中のどんな空も真っ青に撮れる設定です。
ISO感度とシャッター速度、F値の組み合わせは、どのようにしてもかまいません。たとえば、ISO感度をISO400にしたら、シャッター速度を1/400秒にします。その上で、F値をf/16にするだけで、真っ青な空に撮れるといった具合です。
これを応用して、S-Log2のISO始まりであるISO1600の場合はどのような組み合わせが「感度分の16」になりますか? 次のようになりますね。
- ISO感度:ISO1600
- シャッター速度:1/1600秒
- F値:f/16
この組み合わせでのLog撮影は、以前に試したことがあります。
今回の被写体は白い梅の花で、背景に青空が少し見える状態です。そこで、F値がf/16より1/2段低いf/13というのが、なかなかに絶妙です。
そんなこんなで、カメラの露出計とその判断に感心してしまったわけです。
ともあれ、こんな風にして、NDフィルターを使わずに、陽射しがたっぷりある梅の花をS-Log2で動画に収めました。
Log動画は、ビデオカメラで撮った動画と違い、撮ったあとに、正しい発色や明度にするのが前提です。この作業も、手っ取り早く実現できる方法を会得しました。
これについては次回以降の本コーナーで書くか、それとも、文章で書くよりもわかりやすくなるよう、工程を撮影した動画にするかもしれません。
本更新が終えたあと、動画編集ソフトのDaVinci Resolve Studioを使って、Logをカラーコレクション(カラコレ)する工程を動画にしてみました。
私なりのやり方でカラコレしています。私は今のところは、自分なりの色味にするカラーグレーディング(カラグレ)はしていません。被写体が、撮影した時の色味になればそれで満足しています。