ソニーのミラーレス一眼カメラ(ミラーレス)のα7 IIを一年半ぶりに使い始めて以降、本来の使い方であるスチルのほかに、動画を試し撮りすることを続けてきました。
そもそも、α7 IIに戻ろうと考えたきっかけが、このカメラで再び動画のLog撮影と動画編集ソフトで色編集をしてみたいことでした。
しかし、ここまでいろいろ試し、結局のところ、普通に動画モードで撮影しても、そこそこ綺麗な映像が撮れるのであれば、Logにこだわる必要がないかもしれない、と考えが変わりつつあります。
それだったら、α7 IIに戻らなくても良かったような気がしますが、戻っていろいろ試すことでわかったこともあり、これはこれで良かったと考えることにします。
今朝、同じ被写体を、Logと普通の動画モードで取り比べてみました。テストに使用したレンズは、ヤシカ・コンタックス用カール・ツァイス、プラナー50ミリ F1.4で、絞りはf/4.0にして撮影しています。

これから作例を上げる動画は、いずれも手持ちで撮影しています。撮影した時刻は午前6時30分過ぎです。
【テスト1】
撮って出しの動画のテストです。ピクチャープロファイル(PP)は[PP1]で、これは「Movieガンマ」が適用されるプロファイルになります。プリセットのままで、設定は変えていません。
露出モードは「絞り優先AE」で、ISO感度をオートで撮影しています。以上の設定で撮った動画を下に埋め込みます。編集ソフトで編集は一切していません。
撮って出しの動画は、背景が暗いため、手前の紅葉した葉が白飛びした状態で、このままでは使えません。
通常の動画モードでこれだけ露出に失敗してしまうと、修復が不可能です。明度を少しいじっただけで、おかしな映像になってしまいます。
【テスト2】
次は、Logで撮影し、DaVinci Resolve Studioのカラーページでカラーコレクション(カラコレ)をしたものです。
ISO感度は、私が使うα7 IIでLog撮影する場合の最低感度であるISO1600で、シャッター速度は1/50秒(sec)です。
なお、PPをPP1のVideoにすると、シャッター速度をオートにしてあっても、24フレーム(23.976fps)で撮影する場合は、どんなに暗い環境でも、シャッター速度は1/50sec以下にはなりません。
DaVinciでカラコレを済ました動画を下に埋め込みます。
動画の撮影モードを変えてテストしましたが、通常の動画モードで撮影する場合でも、露出の決定が重要になることがわかります。
テスト1では、レンズがオールドレンズのプラナー50ミリであるため、電子接点がなく、カメラとは連動できません。そのため、絞り優先AEで撮影しました。
すでに書いたように、シャッター速度をオートにしてありますが、フレームレートが24fpsの場合は、1/50sec以下には下がりません。
今これを書きながら、自分のテストに疑問がわきました。
シャッター速度が1/50secより下がらなくても、明るい被写体であれば、もっと速い車多―速度が自動で選ばれ、作例のように、明るい部分がオーバー気味には写らなかったはずです。
気になったので、ソニーの純正ソフトである“Catalyst Browse”で撮影データを確認しました。本動画のシャッター速度は1/50secでした。
ここから考えられることは、ISO感度をオートのまま動画を撮影してしまったことで、結果が露出オーバーの動画になってしまったことです。
私はマルチ測光で撮影していますが、それであっても、カメラに搭載されている露出計が、被写体を18%グレーとして露出を決める、反射式露出計であるため、暗い背景に引きずられ、このような結果になってしまったのです。
同じようなケースでは、暗い舞台でスポットライトを浴びる演者を撮影した時にも起こりがちです。舞台の全体が暗く、ライトを浴びた演者だけが明るく見える状態です。
この場合も、撮影したい対象に露出を合わせてやる必要があります。そのため、明るい部分だけを適切な露出で撮影するなら、測光モードをスポット測光にし、その露出で撮影すると良いでしょう。
【テスト2】はLog撮影で、ISO感度はISO1600のままで、白飛びと黒潰れが起きないダイナミックレンジに収まっているため、カラコレで、そのレンジに収まるようにすれば、ほぼ的確な明度と色が得られます。
【テスト3】
テスト1と同じで、PPをPP1のMovieガンマで撮影しています。絞り優先AEであることも同じです。
ひとつだけ変えたのが、ISO感度をマニュアルにし、電子ビューファインダーで確認しながら、主要被写体の手間の葉が最適に見えるISO感度を選びました。
私は、自分が使うα7 IIのISO感度調整を、ボディ背面のコントロールホイールに割り当てています。右手の親指でホイールを廻し、求めるISO感度を簡単に選ぶことができます。
Movieガンマでの撮影であれば、ISO感度はISO200まで下げて撮影できることがわかりました。それであれば、ISO1600が限度のLogよりも3段分低感度のISO感度で撮影できることになり、レンズから入る光量を下げるNDフィルターの使用頻度は下がりそうです。
私はファインダーを見ながら、ISO500で撮影しています。その結果撮れた動画を下に埋め込みます。明度と色の編集は一切しない撮って出しの動画です。
ほかの条件ではわかりませんが、今回の作例のような光の条件であれば、PP1のVideoガンマを選び、なおかつ、ISO感度をマニュアルで撮影するのが、手軽で、良い結果が得られそうです。
スチルの撮影をするときも、私はマニュアルで撮影し、なおかつ、ISO感度だけは必ず自分で設定することにしています。
シャッター速度とF値をマニュアルにしても、ISO感度をオートにしてしまったら、露出を半分オートで撮影すると変わなくなり、意味がないです。露出の最終決定をISO感度にするようにすると、スチルも動画も、自分が望むような露出になります。
今回のテストを基に、手軽に動画を撮影するときは、今後は、PP1のMovieガンマで撮影することにしましょう。そして、手間をかけても、色味を自分でコントールしたいときは迷わずLogを選ぶことにします。
Movieガンマでは撮って終わりですが、Logであれば、撮ったあとにも楽しみがあり、撮ったあとのほうが愉しかったりしますから。
おもしろい形をした雲が浮かんでいたので動画に収めました。時間を争ったため、PP1のMovieガンマで撮影した撮って出し動画です。
何も考えず、ビデオカメラで撮るように撮り、あとでデータを確認すると、F値は5.0、シャッター速度に至っては1/5400secでした。もっとレンズを絞れば良かったです。