ここしばらく、自分の声を録音し、それをどの程度「修正」すべきか、いろいろと試してきました。
前回は、ZOOMのM3 MicTrakで録音した自分の声を、iZotopeの音声編集ソフトRX10 Standardを使い、次の三つの処理と、ひとつのプラグインを適用しました。
M3は32bit floatで録音し、私の声が大きくないため、録ったままではGainが低すぎます。そのため、まずはGainを上げるため、前回はLoudness Controlで音量を復元しています。
使ったプリセットはPodcast Deliveryです。
次は、RX 10 Standardが最も売りとする機能であるRepair Assistantで、各種のノイズを除去しています。
これに含まれる機能を個々に見ていくと、たとえば、日本語の「サ行」を発したときの歯擦音を低減や除去する”De-ess”を単独で立ち上げると、デフォルトでは、2500Hzの帯域で-12dBを上回ったときに圧縮する機能であることがわかります。
これは、イコライザー(EQ)を使い、その帯域を自分でコントロールするのに代わり、De-essがしてくれるのと同じです。
歯擦音は低減や除去できますが、同時に、その帯域が持つ「独特のニュアンス」が削られていることにはならないでしょうか。
これは素人考えですので、私の想像が正しい保証はまるでありません。
前回はRepair Assistantに加えて、唇や舌が発するノイズを低減や除去するMouth De-noiseも使用しています。
以上の三つはRX 10 Standardにある機能です。次は、RX 9 Standardを使っていたときに導入したプラグインのShadow Hills Mastaring Compressorを使い、最低音帯域と最高音帯域を圧縮することをしました。
この過程を経てできた音声ファイルを本ページでも紹介しておきます。私が読み上げているのは、声の録音について更新した本ページの文章の一部です。
自分の声を録音した素材を使い、RX 10 Standardで音声編集する際、音量を復元することと、最小限のノイズ処理だけにしたら、声の聴こえ方がどのように変わるか、自分で確認しました。
音量の復元には、今度は、Normalizeを使いました。Loudness Controlとやっていることは同じように思えなくもありませんが、Loudness Controlのほうが、全体の音量調整を細かくやっている印象です。
一方、Normalizeは、最も大きな音の大きさを決めるTarget Peak Level[dBFS]を指定するだけの分、構造はシンプルに思えます。デフォルトのTarget Peak Levelは-2.14です。
Loudness ControlではTrue Peak[dB]があり、これ以上の音量にならないよう、その数値を上回る音量を圧縮します。前回使ったプリセットはPodcast Deliveryで、そのTrue Peakは-1.0です。
NormalizeのTagete Peakの-2.1に対し、Loudness ControlのTrue Peakは-1.0と-1.1dB大きな音まで許容する仕組みです。そのピークに含まれる音が視察音のような場合は、よりそれが目立って聴こえることになるかもしれません。
そんなことを素人考えし、今回は、Normalizeで音量を復元しました。
そのほかは、Mouth De-clickを適用しただけです。そのようにしてできた音声ファイルを下に埋め込みます。私が読み上げているのは、前回の更新の途中までです。
声を収録するのに使ったのは、ZOOMのM3 MicTrakです。
これは、32bit floatで録音するレコーダーにM/Sマイクがついたものです。マイクをモノラルにし、口から20センチほど離して使っています。
私のモニター環境で聴き比べた限りでは、Normalizeで音量を復元し、Mouth De-clickだけを適用したもののほうが、クリアな声に聴こえるように感じます。
唇や舌が発するノイズを除去することも必要でしょうが、それを適用することで、音のニュアンスまで多少は削られてしまっているのでは、と素人の無駄な考えをしてみました。
同じような考え方は、動画の編集でもいえることかもしれません。
LogやRAWで撮った動画を、カラーグレーディングすることがはやっています。これも、その知識を持つ人がすればより良い色にすることができるかもしれません.。しかし、生半可な知識のまま実行すると、マイナスの効果になってしまいかねません。
音も映像も、実は撮ったまま、録ったままの状態が最も良い、ことがあり得ます。
個人が趣味でやる場合は、その違いを自分で見極め、納得する必要があるといえましょう。