このところ、私は自分の声を録っては、その聴こえ方に関心を向けてきました。
素材に使っているのは自分の声ですから、自分が一番理解しているといえましょう。もっとも、録音した自分の声を自分で聴くと、自分の声のように聴こえないという話を聞きます。
私もその昔、家でオープンリール式のテープレコーダーを購入した時、自分の声を録音して聴くことをしましたが、自分の声には聴こえなかった思い出があります。
その後、PCを使うようになり、自分の声を録音して聴く機会が増え、録音した自分の声を繰り返し聴くことをしたため、今は違和感なく聴くことができます。
ただ、どこまでいっても、自分の声は一度録音したものを聴くのには変わりなく、他人が聴く自分の声とは違った聴こえ方をしている、のかもしれません。
それは別にして、録音した自分の声を聴くと、どうしても低音が強く出過ぎているように感じます。そのため、音声ファイルを編集する段階で、イコライザー(EQ)でそれを改善しようとしたりしました。
その低音の問題が、思わぬことで改善できました。
どんなものでも、入り口と出口が大事、というようなことをいいます。
音の入り口は、自分の声であれば、自分の声を録音する段階といえましょう。そして出口は、録音した声を再生する装置になります。
編集のとき、私は城下工業のSoundWarrior SW-HP10sというヘッドホンを使います。これはモニターヘッドホンといわれるタイプで、原音に近い音を聴けるとされています。
考えてみると、ヘッドホンで聴く限り、それほど低音は気にならなかったように感じます。低音を感じるのは、PCのスピーカーで聴いたときです。
これまで、低音の問題がPCスピーカーにあると考えたことはありませんでした。
それを今朝確認し、スピーカーの背面にある音質の調節つまみが最も低音になっていたことに気がつきました。
私は、Edifier(エディファイア)というメーカーのR1000TCNというスピーカーを10年前から使っています。価格が安いのに、良い音が出るという評判を聞いたからです。
このスピーカーの背面には、音質を調節するつまみと並んで、スピーカーの出力を調節するつまみがついています。
ヘッドホンで音を確認するとき、出力をゼロにします。そして、ヘッドホンを使わないときは、出力を最大に戻します。
もしかしたら、出力を調節するつもりで、それと気がつかず、音質のつまみで低音を最大にしたことがあったのかもしれません。それでも、自分の声を聴くとき以外は、低音が出過ぎることに気がついていなかったことになりましょう。
そんなわけで、遅ればせながら音質の調節を変えると、それまで、自分の声に感じた低音の出過ぎがなくなったように感じます。
ついでに、自分の声を収録するときと、録ったあとの編集についてももう一度見直しました。
ZOOMのフィードレコーダー、F2と付属のラベリアマイク(ピンマイク)で自分の声を録る時は、マイクを、やはり鳩尾(みぞおち)のあたりにつけるのが良さそうに感じます。
そして、録ったあとの編集ですが、その編集に私はiZotopeのRX10 Standardを使います。このソフトは、録音時に入ったノイズを除去する機能がいくつも搭載されています。
屋外の音がする環境で自分の声を録り、自分の声だけを明瞭に聴こえるようにするときはノイズ除去が役立つでしょう。ただ、自分の部屋で声を録るような場合は、ノイズ除去の作業をせずに、元の音をそのまま使うのが良いように感じます。
ZOOMのレコーダー、F2は32bit floatで録音できます。録る時に入力レベルの調節はせず、録ったあとで、適性な音量に調節します。
その際、私はこれまで、Loudness Controlを使ってきました。それを、Normalizeに換えてみました。できるだけ、元の音源に変化を加えないようにするためです。
同じ声の大きさでしゃべっているつもりでも、時には声が大きくなることがあります。その最大の音量をNormalizeで設定しようというわけです。
Loudness Controlとどのように違うのかわかりませんが、しばらくはNormalizeで、小さく録れた自分の声の大きさを揃えることをしてみます。
それにしても、自分の声が必要以上に低音が出過ぎるように感じたのがPCスピーカーに由来するとは考えもしませんでした。これぞ、灯台下暗し、ですね。