いつそれを止めたか記憶が確かではありませんが、かつて、本サイトには、私が関心を持ったテレビ番組をピックアップするコーナーが長いことありました。
私はあることを始めると、それを長期間延々と続けられる特徴を持ちます。
本サイトの更新を始めたのは、1999年10月17日です。その年の5月に最初のPCを購入し、ネットの利用も始めました。当時から個人がサイトを持つことが行われており、興味を持った私は、サイトの構築方法を、参考書籍で独学し、同年の10月半ばに、ようやくサイトの公開に踏み切れたことになります。
以来、今年で22年です。
ほかにも、2009年3月末まで放送されていた、NHK-FMのリクエスト番組「サンセットパーク」は、それ以前に「FM夕べの広場」あるいは、地域によっては「夕べのひととき」と呼ばれていた1983年新年度に放送を聴き始め、番組宛にリクエストすることを始めています。
以来、こちらも、番組が終了するまで26年、リスナーとリクエスターを続けました。番組が続いていたら、今も同じことを飽きもせずに続けていたでしょう。
このように、私はあることに関心を持って始めると、飽きずに続ける傾向を持ちます。
私が始めたサイトの構成は当時とあまり変わりがありません。良くも悪くもマンネリです。
当初から続いているのが本サイトのメインコンテンツである本コーナーの「日々の独り言」です。当初は、「今日の独り言」にしていましたが、これでは毎日更新するのが前提であるように受け取られ勝ちのため、すぐあとに、今のコーナー名にしています。
このほかに、天気とテレビ番組のコーナーがあり、これも長いこと続けました。
それが、昨年でしたか、天気とテレビ番組のコーナーを廃止しました。
テレビ番組のコーナーはなくしましたが、今でも、気になった番組をピックアップし、テキストエディタに保存することは続けています。
気になるテレビ番組を録画して保存することは、これも長年の習慣で、アナログのビデオデッキを使い始めた1980年代からの習慣です。
今は、HDDかBDのいずれかに録画します。HDDに録画したのち、BDへ移動し、保存版とすることがあります。その場合、BDに録画した番組のデータを残す必要があるため、番組のデータをテキストエディタで保存しておく必要があるのです。
私が関心を持つテレビ番組のひとつが、平日の午後1時からNHK BSプレミアムで放送される映画枠の放送があります。私は戦争映画と時代劇は興味を持てません。
もっとも、戦争映画であっても、『パットン大戦車軍団』(1970)などは、実在したジョージ・パットン(1885~1945)その人が非常に興味深い人であるため、好きな映画です。
また、ビリー・ワイルダー監督(1906~ 2002)の戦争映画、『第十七捕虜収容所』(1953)も好きです。
いずれにも共通するのは、戦争時代に起きた人間ドラマということでしょうか。同じような意味では、一概に戦争映画は嫌い、とはいえなさそうです。
ともあれ、平日の午後1時台に始まる映画は必ずチェックしています。同じことを長年続けていますので、主要な作品はほとんど録画済みです。
HDDとBDが内蔵されたレコーダーを別に買い求めて使い始めてからは、BDに録画してある映画作品であっても、HDDに再び録画することもあります。
もう一度手軽に見返して見たくなるからです。
こんな風に、平日午後1時に始まるNHK BSの「シネマ」をチェックしている人であればお気づきでしょうが、このところは、水曜日ごとにアルフレッド・ヒッチコック監督(1899~1980)の作品が放送されます。
今週の水曜日(16日)には、同監督の『見知らぬ乗客』が放送されました。
ヒッチコック作品はほとんど見ているように思いましたが、念のため、HDDに録画し、その日の夕方に見ました。
見始めて、初めて見たように感じました。演じる俳優の顔に見覚えがなかったからです。公開されたのは1951年ですから、ちょうど70年前の作品になります。
日本の年号でいえば昭和26年で、先の大戦が終わって6年目の年です。当時の日本は、まだ戦争の傷跡が色濃く残っていたでしょうか。
作品の舞台は米国ですが、戦争の影がまったく感じられません。作品には、キーポイントである列車と駅が登場しますが、郊外を目指して走る路線の起点駅であるニューヨーク(かな?)は近代的な駅で、エスカレーターがあります。
同じ頃、東京など大都市の駅に、エスカレーターはあったでしょうか。
作品の主演は、ファーリー・グレンジャー(1925~ 2011)とロバート・ウォーカー(1918~1951)です。途中で書きましたように、私は二人の男優の顔に見覚えがありません。
パトリシア・ハイスミス(1921~ 1995)が書いた同名小説を原作としていますが、脚本を担当したのは、ハードボイルド小説を書く作家、レイモンド・チャンドラー(1888~1959)です。
チャンドラーといえば、ビリー・ワイルダー監督の『真夜中の告白』(1944年)の脚本も担当していたことを思い出しました。
本作はスピーディな展開で、見る者を飽きさせません。白黒のスタンダードサイズの画面ですが、カメラワークも素晴らしいです。撮影監督のロバート・ワークスが、第24回アカデミー賞で白黒部門の撮影賞にノミネートされていますね。
作品が始まると、見知らぬ乗客として、列車内で出会う男二人の足元だけが映されます。それを演じるのが、グレンジャーとウォーカーです。歳はウォーカーが少し上で、グレンジャーは青年です
ある客室で、二人は向かい合って座りますが、グレンジャーの靴の先が、既に座っていたウォーカーの靴にぶつかります。
それをきっかけにして、二人の上半身が初めて画面に登場します。これもうまい見せ方です。
ウォーカーが演じるブルーノ・アントニーは饒舌な男で、グレンジャーが演じるガイ・ヘインズに気さくに声を掛けます。ガイはテニスプレーヤーで、顔を知っていたからです。
声を掛けられたガイとしても、自分がそれなりに有名であることの証明ですから、悪い気はしません。
ブルーノは、ガイが妻を持ちながら、妻とは別に、付き合っている女性がいることまで知っています。ガイが付き合っているのは、上院議員のアン・モートンという名の娘であることまで知っています。
計画して同じ列車の車両に乗り合わせたのではないでしょうが、出会いたくない人物にガイは出会ってしまったことになります。
ガイは、妻のミリアムと離婚するつもりで、ミリアムが住む町まで行って話をつけるため、列車に乗ったのでした。
そんなガイに向かって、ブルーノが意外な提案を持ち掛けます。それが何と、交換殺人です。
ブルーノは簡単な打ち明け話をし、自分が父親と上手くいっていないことをガイに話します。ブルーノは父がこの世からいなくなることを望んでおり、誰かに殺して欲しいと話します。
途中から予想外の話になったため、ブルーノという男を警戒したガイは、彼の傍から離れようとします。しかし、ブルーノは、列車内の自分の個室にガイを誘い、それぞれにとって不都合な人間を、縁もゆかりのない二人が交換で殺人しよう、と話を持ち掛けるのです。
接点を持たない者が起こす犯行であれば、捜査の手がかりになるものが残らず、容易に発覚しないだろうという理屈です。
その後、一方の側の犯行が実行されます。残された側は、既に実行した側から精神的な圧迫を受け、精神的に追い詰められていくさまが描かれます。
ガイを演じたファーリー・グレンジャーについて書いたウィキペディアを読みますと、演技とは関係ないことですが、異性ばかりか同姓にも性的な興味を持つバイセクシュアルであるとあります。
そして、彼が関係を持った一人として、あの有名な作曲家のレナード・バーンスタイン(1918~1990)の名が挙がっています。
一方のアーノルドを演じたロバート・ウォーカーは、苦悩の多い人生だったようです。その原因の基を作ったのは、最初に結婚した女性です。
その女性は、出会って結婚したあとに売れっ子の女優となったジェニファー・ジョーンズ(1919~2009)で、彼女を見出したプロデューサーと深い関係になったことで、ウォーカーは酒に溺れるようになります。
その後、ジョン・フォード監督(1894~1973)の娘と結婚するものの、彼の奇行が目立つようになり、5カ月で離婚しています。そのあと、精神病院に入院し、三度目の結婚をします。
結婚した翌年に撮られたのが本作です。彼としても、ようやく自分に幸運が巡って来たと感じたかもしれません。本作の演技も絶賛されました。しかし、その同じ年、彼は32歳の若さで世を去ってしまうのです。
飲酒が原因とされる異常な興奮を抑えるために、医師が投与した鎮痛剤が、アレルギー反応を起こしたことが死因のようです。
彼がその後も元気で、作品に出続けていれば、あるいは、ヒッチコック作品に何度も出演し、私にもなじみの俳優となったかもしれません。
作品を離れた主演の二人が、それぞれにエピソードを持つことを知りました。