男と女 髪の匂い

少し前の投稿で、音楽配信サービスのSpotifyを久しぶりに使いだしたことを書きました。

私はまだ無料のフリープランを使っています。日本では、1カ月に15時間までしかサービスを利用できないと聞きます。私が使い出したのは先々週の金曜日だったと思います。かれこれ15時間以上は優に聴いたはずですが、今朝も普通に利用できます。日本にだけ設定されているらしい15時間縛りが撤廃された(?)のなら歓迎ですが。

本日の豆報告
日本独自のフリープラン15時間縛りですが、私の場合は、使い始めて11日目の午前10時過ぎ、それまで再生されていた音楽がいきなり止まりました。その後は、再生を試みても、「これはプレミアムプランの機能です」と表示され、操作を受け付けてくれません。ということで、フリープランを維持する限り、12月20日前後まではSpotifyで音楽を楽しむことができない状態に移行となりました。

前回Spotifyについて書いたときは、提案されたプレイリストの”Fresh Folk”が気に入ったことを書きました。その後、提案されるほかのプレイリストやアルバムを努めて聴くようにしています。

昨日の夕方、聴いたことがなかったアルバムを聴きました。

アルバムジャケットには外国人で高齢の男女が大写しになっています。何も知らなかった私は、高齢の音楽家かミュージシャンのアルバムと勘違いし、聴き始めました。

すると、耳にしたことのあるメロディが流れてきました。曲名はすぐに出ないものの、馴染んだ旋律です。気になってアルバムタイトルを確認し、それが、ある映画のサウンドトラック盤であることに気が付きました。

その映画は、フランスの映画監督、クロード・ルルーシュ1937~)の作品で、フランスでは昨年の5月、日本では今年の1月末に公開された『男と女 人生最良の日々』2019)なのでした。

原題は”Les plus belles années d’une vie”とあり、それが『男と女 人生最良の日々』だとは気が付きませんでした。また、その作品が作られ、日本で公開されたことも全く知らずにいました。

音楽は、フランス人作曲家のフランシス・レイ19322018)で、1966年にクロード・ルルーシュが監督して世界的にヒットした『男と女 / Un homme et une femme』そのままの音楽が、おそらくは多少のアレンジを施し(?)、使われているようです。

私は『男と女』はしっかり見たことがないように思います。それでも、フランシス・レイの音楽は有名ですから、「ダバダバダ」のスキャットが耳馴染みとなっています。

私がSpotifyで見た高齢の男女の写真は、1966年の『男と女』で共演した男優、ジャン=ルイ・トランティニャン1930~)と女優、アヌーク・エーメ(1932~)なのでした。この映画のことを知っていなかったばかりに、頓珍漢な考えを持ったことになります。

かつて世界的ヒットした作品の続編が作られるのは珍しくありません。しかし本作の場合は、50年以上の時を経て、当時の監督と主演男女、そして作曲家が再結集し、『男と女の』の52年後を描くというのですから実に稀です。

作曲のフランシフ・レイは2018年に亡くなっていますから、本作制作の途中で世を去ったことになります。

昔に聴いたラジオで、ゲストの作家・胡桃沢耕史19251994)が話していた話を思い出します。映画のビデオを膨大にコレクションしているということでした。その理由が、時代の記録であったように記憶します。

時代の記録ならドキュメンタリー作品と思いがちですが、胡桃沢の考えでは、劇映画であっても、野外ロケがされていれば当時の街並みや地方の風景が映像に残り、時代の手がかりになるというような理屈でした。

すべてセットで撮影されたような作品の場合も、現代劇であれば、その時代の小物が登場し、野外ロケと同じ意味を持つというような話だったと記憶します。

本作は、『男と女』で共演した俳優が、実際に52年の時を経てスクリーンに帰ってきているわけで、命がけの続編という気がしないでもありません。トランティニャンとエーメは共に90歳に近い高齢になっての演技です。

自分がもし俳優で、その高齢になるまで生きていたとして、自分をスクリーンに晒す勇気が持てるかどうかはわかりません。

本作は、AmazonのPrime Videoを利用すれば、399円でレンタルできることがわかりました。購入は1528円です。時間を見つけて見ることも考えています。

本日の豆レンタル規則
レンタルできる期間は30日。この間に一度でも視聴を開始すると、48時間でレンタルの権利が終了。
本日の豆アイテム
AmazonのPrime VideoはPCモニターやタブレットPC、スマーフォンで見ることができますが、私はFire TV Stickを使い、テレビの画面で楽しみます。

本作が恋愛映画ということで、恋愛そのものについて少し書きます。

私は今、江戸川乱歩18941965)の『随筆・評論』を読んでいます。全部で5集まであり、今は3集の途中です。

乱歩には女嫌いの気配が見えなくもなく(?)、女性への愛を書くこと自体が珍しいような気がします。そんな乱歩が、たしかフランス詩人、シャルル・ボードレール18211867)の詩を紹介しながら書いた随筆があります。

その部分を紹介しようと思いましたが、すぐには見つからないため、記憶だけで書きます。

乱歩がそう感じたというのではなく、詩人はこう書いているとして、愛する女性の髪の匂いを嗅ぐ、というような表現がありました。それを読み、それも確かに愛の行為に違いない、と私は感じました。

映画やドラマでそんな行為が描かれたことがあるか知りませんが、気が付きにくい視点に感じます。

私自身が今、ちょっとした恋心を持っています。そして、もしも、愛する女性がそばにいたら、彼女の髪の匂いを嗅いでみるかもしれません。香水やスタイリング剤がついていない生の髪をです。

生身の人間は、男も女も、好むと好まざるとに拘らず、固有の体臭を持ちます。愛する人の体臭は愛する人だけが持つ体臭なのですから、それさえも自分のものにしたくなるでしょう。髪にはそれほど匂いがないかもしれませんが、微かな匂いにさえ、愛しさが増しそうな気がしませんか?

潮風を受けたあとの髪であれば、潮の匂いがするでしょう。海は生命が誕生する場です。だから、潮の匂い自体に生命の匂いが充満しています。鼻腔でそれを味わうのですから、愛欲は深まるしかありません。

車の運転ができない人も、異性がそれをできるなら、二人で海辺へ行き、潮風に当たるといいでしょう。髪の匂いだけでなく、潮騒のメロディが、耳からも二人のトライを後押ししてくれそうです。

異性が「海を見に行こう」と誘うときは、当人は意識していなくても、互いの愛を深めたい気持ちが強いといえましょうか。

「写真AC」のイメージ画像

ルルーシュ監督の最新作『男と女 人生最良の日々』をきっかけに、恋愛の話までしてみました。いくつになっても恋する気持ちを持ちたい、と本作は伝えてくれているでしょうか。

見ることがあったら、本コーナーで取り上げることにします。

Calogero, Nicole Croisille – Les plus belles années d’une vie
本日の豆報告
投稿したあと、レンタルで『男と女 人生最良の日々』を見ました。レンタル時間はあと45時間以上残っているはずです。その間にもう一度見るか、見なかったら、明日にでもこの作品について書いて投稿しましょう。

気になる投稿はありますか?

  • チャップリンからの贈りものチャップリンからの贈りもの このところは、レコーダーに録画したままになっていた、米国の古い映画を見ていますが、チャールズ・チャップリン(1889~1977)の作品が続いています。 https://indy-muti.com/35084/ 今回紹介する作品で、私のレコーダーに残っているチャップリンの作品はなくなります。1952年10月16日に、米国より7日早く、チャップリンの祖国、英国で […]
  • 英雄になれなかった殺人鬼の話英雄になれなかった殺人鬼の話 レコーダーに録画したままになっていた米国の古い映画を順に見ています。 本コーナーでは、喜劇王、チャールズ・チャップリン(1889~1977)の長編4作品を取り上げました。 https://indy-muti.com/34958/ 今回もチャップリンの長編作品ですが、いわゆるチャップリン的な作品とは趣を異にする作品です。 作品名は『殺人狂時代』で、 […]
  • 性暴力被害は映画業界だけじゃない性暴力被害は映画業界だけじゃない 人間は、考えている以上に残酷な生き物です。人が集まるところでは、いじめは起きる、と考えておけば間違いないです。 昨日の朝日新聞に「『NO暴力』映画界を変える出発点」の見出しがついた記事が載りました。 これまで口をつぐんできた出演者たちが、自分たちが受けた性的被害を声に出して訴えることが増えています。これらの告発から4カ月以上経って、ようやく、日本映画監督協会が、 […]
  • チャップリンの長編4作品チャップリンの長編4作品 依然としてレコーダーに録りためた米国映画を見ることをしています。それも、古い映画ばかりです。個人的には古い映画が好きで、最近の映画はほとんど見ていません。 今回も古い作品ですが、このところ本コーナーで取り上げた作品でも最も古い作品になります。 今回は、「チャールズ・チャップリン特集」の形となります。全部で4本の作品をまとめて紹介しますが、4本を続けて見たわけでは […]
  • ヒッチのラブ・サスペンス映画ヒッチのラブ・サスペンス映画 また、録りためたままになっていた映画を見ました。 今回見たのは、『白い_』『_恋人たち』ではなく、『白い恐怖』(1945)です。 監督がアルフレッド・ヒッチコック(1899~1980)ですから、ラブロマンスではありません。といっても、主演がイングリッド・バーグマン(1915~1982)とグレゴリー・ペック(1916~2003)という美男美女ですから、ラブロマンス […]