昔から音楽を聴くことが好きです。
音楽が好きな人は、昔であれば、FMラジオを聴くことをよくしたでしょう。私もFM放送は聴き、NHK-FMのリクエスト番組は聴くだけでなく、リクエストすることを長年続けました。
そんな私ですが、ある時期は、音楽専門の放送を聴きました。それを実際に聴いていた人や知っていた人はそう多くない(?)かもしれません。私が聴いたのは、衛星デジタル音楽放送の「セント・ギガ」です。
ウィキペディアでこの放送について書かれた記述を確認すると、1990年11月に試験放送を始めたとあります。もしかしたらその最初期からこの放送を聴き始めたかもしれません。
この放送を受信するには、衛星放送用アンテナと専用デコーダーが必要でした。本放送が始まった1991年3月末からは、有料放送ではなかったかと記憶します。
放送形態は独特で、普段耳にすることがないような音楽が流れました。ロックなどの激しい音楽は流れず、ヴォーカルがついた曲であっても、放送全体の雰囲気に沿ったものであったように思います。
放送は、音楽に波の音などの自然音が加わり、途切れなく流れていました。ラジオのように「番組」の編成はなく、CMはもちろん、ニュースもトーク番組も一切ありませんでした。
“I’m here.” “I’m glad you’re there.” “We are St. GIGA”というヴォイスのメッセージが絶妙なタイミングで流れました。
この放送で知った音楽を、リクエストしたこともあったように記憶します。
今は、音楽がネット配信される時代になりましたが、それよりも2、30年ほど前に同じような試みが試されたことになります。
個人的にはヒットチャートの曲には興味がなく、自分の感覚に合った曲を見つけては楽しむことをしています。そういった意味ではセント・ギガは私のお気に入りとなり、日中の時間はずっと放送を部屋に流していました。
その音楽や自然音を聴きながら、絵を描くことなどをしていました。
こんな風に昔から音楽を楽しんできましたが、今は私もご多分にもれず、ネットを介した音楽配信サービスを利用しています。
日本でSpotifyのサービスが始まるとそれを利用することをしました。それ以前は、AppleのApple Musicを利用したりしています。私の好みを汲み取ったようなプレイリストを作ってくれ、Apple Musicを使い続けたい気持ちがありましたが、いかんせん利用料金が高く感じ、Spotifyに変更したりしています。
Spotifyは無料で楽しむことができます。ただ、無料の場合は定期的にCMが流れます。それが我慢できたとしても、これはどうやら日本独自の取り決めになっているようですが、1カ月にたった15時間しかサービスの利用が受けられません。
1カ月に15時間というのはあり得ない設定です。昼の時間に音楽を流し続けたら数日で使い切ってしまいます。すると、翌月までサービスを利用して音楽が一切聴けなくなります。
前に利用していたときは、「冒険プレイリスト」が気に入り、それについて本コーナーで書きました。今もこれを検索しますと、その当時に私の投稿に書いた、勝間和代氏(1968~)の投稿がトップに表示されます。そのときの投稿は、本サイトを独自ドメインへ変更する作業の過程でしくじり、なくしてしまいました。
そんなこんなで、Spotifyの冒険プレイリストは気に入っていたものの、無料で楽しむことができないと考え、そのあとは、有料会員になっているAmazonが提供するprime musicを利用しました。これは有料会員に追加料金なしで提供されている音楽配信サービスです。
無料で利用できるのは良いのですが、ワンパターンの音楽ばかりになり、飽きました。何かをしながら小さな音で音楽を流しましたが、そのためにはヴォーカルのない音楽がいいということで、ジャズの演奏曲を主に聴いていました。
これは「ながら聴き」で、かつて聴いた「セント・ギガ」と同じような音楽の楽しみ方です。それであれば、セント・ギガのほうが選曲の幅が広く、思わぬ発見をもたらしてくれました。
それがAmazonのプレイリストや提供アルバムは同じようなジャズばかりで、食傷気味となりました。
そんなところへ、Spotifyのキャンペーンの情報が入ってきました。このサービスでは1カ月980円の利用料金がかかるところ、キャンペーン期間中に、1カ月分の980円で3カ月間利用できるサービスに申し込めるというものです。期限は今年の12月31日までです。
これを知って、Spotifyを楽しむためのアプリをタブレットPCに久しぶりに入れ直しました。
まだ、キャンペーンを利用する判断はしていません。無料で様子を見て、良さそうであればキャンペーン期間中に登録するつもりです。
久しぶりに使い、嬉しい発見がありました。それは、”Fresh Folk”というプレイリストです。試しに聴いてみると、おそらくは米国の新人か、それに近いアーティストかもしれない個人やグループのヴォーカル曲が並んでいます。
Spotifyを再び使いだしたのは先週の金曜頃でした。はじめは、他の作業をしながらのながら聴きでした。Fresh Folkを初めて聴いたときもそんなリスニング・スタイルでした。それでも、悪くないと感じました。
そこで昨日、このプレイリストをじっくり聴いてみようと思いたち、実践しました。といっても、音楽を聴くことだけをするだけです。そのために、タブレットPCのイアフォン端子に有線のヘッドフォンを接続しました。
私が今使うヘッドフォンは、今年か昨年に手に入れた次の製品です。
これは、城下工業の製品ですが、知る人ぞ知るといったメーカーになりましょうか。長野県上田市に本社のあるメーカーで、音響機器を中心とする電子機器を製造販売しています。
オーソドックスなヘッドフォンが欲しくなり、安くで良いものがないか調べ、この製品の評判が良さそうなので手に入れました。
私は音質に特別なこだわりがありませんので、この製品の音質などについて詳しく書くことはできません。ただ、モニター用途で用いることをコンセプトに開発された製品のようで、元々の音をできるだけ加工せず、忠実な音で再現できるようになっているようです。
ヘッドフォンのつけ心地は、使ってすぐにわかりました。耳を覆うようなタイプは、つけたときに圧迫感があったりしますが、これにはそれがまったくありません。つけているのを忘れるほどと書いたら大げさですが、長くつけていても気になりません。
このヘッドフォンで、Spotifyが提供するプレイリストFlesh Folkの曲を聴くことだけに集中しました。
冒険プレイリストなどは、無料の利用の場合は曲順がランダムになります。それがFresh Folkは、並んだ順に再生されます。無料版は、曲のスキップができません。
昨日の夕方までに14曲再生しました。初めて聴くアーティストばかりです。ヴォーカル入りの曲のみで、全体的に、伴奏の楽器は少なめで、シンプルな作りです。その分、ヴォーカルが全面に出てきます。
オーディオ・マニアは再生機器に凝り、資金に余裕のある人は高価なセットを組みます。しかし、元々の音源が貧弱の場合、それに見合った音質は得られません。
今回、ヘッドフォンを使い、Spotifyのほか、私が所有するCDと、デジタル化したアナログレコードを全て登録してあるiPodのコレクション曲を聴き比べました。
こうすることで、タブレットPCの内蔵スピーカーはもとより、Bluetoothなどの外部スピーカーでながら聴きする限り気が付かないような、レコーディングの良し悪しがわかります。
その違いは、城下工業のヘッドフォンを入手した直後の試し聴きで気が付いていました。モニター・ヘッドホンという性格を持つため、レコーディングの結果がダイレクトに伝わると感じたことからです。
スタジオ録音時、声にエコー処理をする例があります。聴く方としては、できるだけ生の声をそのまま聴きたいと思ったりするものですが、制作側の意図で、エコーをかけるものがあります。
私のコレクションにあるヴォーカル曲を聴き比べた印象では、米国で録音された曲は、生に近い声をダイレクトっぽく録音されたものが多い印象です。
聴き比べていて一番驚いたのは、カナダ出身の女性アーティスト、ダイアナ・クラール(1964~)のセカンド・アルバム“Only Trust Your Heart”(1995)を聴いたときです。彼女のヴォーカルとバックの演奏がしっかり録音されており、音に厚みがあるように感じました。
レコーディング・エンジニアは、アルバート・ハリー・シュミット(1930~)とありますね。
そのあとに、ジャズ・ドラマー、アート・ブレイキー(1919~1990)名義の有名な曲、“Moanin'”(1958)を聴きますと、もちろん録音機器があとになるほど進歩するでしょうから、その差は出てしまいますが、音が少し薄く感じたほどです。
日本人アーティストでも、録音状態には違いがあります。あくまでも私のコレクションの比較で、全て比較したわけではありませんが、井上陽水(1948~)はヴォーカルに加工をあまり(ほとんど?)せず、声量たっぷりに録音している印象です。それだから、聴いていて気持ちが良いです。
その一方で、エコーを強くかけたレコーディングの曲もあります。私が気がついたところでは、中森明菜(1965~)のアルバムにそれを感じました。
私は彼女の代表曲を集めた3枚組のセットを持っています。楽曲自体は悪くないですが、録音はどうだろうか? といった感じがしないでもありません。あくまでも素人の感想ですけれど。
たとえば、彼女の3枚組アルバムの1曲目に入っている『スローモーション』(1982)は、バックの演奏にまるで芯のようなものがありません。霧の中にスーッと霞んでしまったように、形がハッキリ見えない感覚です。
また、彼女のヴォーカルにもエコーを強くかけているため、風呂場で歌うのを聴かされているような感じさえします。
テレビやラジオのスピーカーで聴くだけでは、私が書いたことが実感できないかもしれません。一度、ヘッドホンでしっかり聴いて、そのあたりを確認いただければと思います。
途中でも例に出しましたダイアナ・クラールの、メリハリの効いた録音とは対局にあるように感じます。これは彼女の歌唱力を云々しているわけではなく、あくまでも録音状態の話です。
話をSpotifyで見つけ、気に入ったプレイリストFlesh Folkに戻します。
これまで聴いた14曲の中で、結果的に女性ヴォーカルが入った次の4曲が気に入り、お気に入りに入れました(「曲名|アーティスト名」)。
Paper Mache World | Matilda Mann(彼女のオフィシャル・サイト) |
Tried to Tell You | The Weather Station(カナダの民族音楽バンド。バンド名を直訳すれば「気象ステーション」。ヴォーカルの女性、タマラ・リンデマンはタマラ・ホープの名で知られる女優で、ミュージシャンのようです) |
The World Is Walking over Us | Terrible Sons(男女2人のデュエットのようです) |
Follow You | Pieta Brown, S.Carey |
私はどのアーティストも知らず、情報は何も持っていません。これらの曲を提供するアーティストが、今、どんな立ち位置にいるのかも知りません。私の感覚に合う曲と歌声だったというだけのことです。
Spotifyの無料聴取時間15時間の限度が迫っているでしょう。ちなみに、自分の持ち時間があとどれくらい残っているのかを確認する手立てはないそうです。今日も聴けたら残りのFlesh Folkを聴き、確信が持てたら、今日にも3カ月980円のキャンペーン利用を始めることにします。