個人的に嫌いなものを今更「嫌い」と書いてみたところでそれ以上の話の進展はなさそうなので、今年は完全無視を決め込もうと思っていました。
が、本日の朝日新聞に元NHKの看板ディレクター和田勉氏(1930~2011)とフジテレビのこちらも看板プロデューサーだった横澤彪氏(1937~2011)おふたりによる対談が載っており、それに刺激されて少しばかり書いてみたい気になりました。
その話題とは_この年末になると毎年決まって人々の口に上る「NHK紅白歌合戦」です。
私はとにかくこの番組が嫌いで、一年でも早く消え去ってくれることを願っていますが、今年もしぶとく生き残り、代わり映えのしない内容で大晦日の夜を汚して、いや、ありがたく彩ってくれるようです。
私は元々この番組が嫌いですが、何が嫌いといって、NHKには一番似合いそうにもないバラエティー仕立てにしているところです。
あれは何年前でしたか、小林旭(1938~)が紅白に出場された際にその点を批判し、「出来の悪い学芸会のようなパートに引っ張り出されるのは御免」というような発言をしていましたが、いい得て妙だと感じたことを思い出しました。
音楽だけを聴かされるのならまだしも、その合間のどうにもつかないあのおかしくもないやり取りを見せられるのは勘弁して欲しいと思います。しかも、今年は昨年に続いてあのNHKきっての「出しゃばり美人女子アナ」(?)有働由美子嬢(1969~)が紅組の司会を担当されるんでしょう?
ああ、真っ平御免です。 得意そうな顔を想像しただけで気分が悪くなります、、、(-_-;)
あ、朝日新聞の対談の話がどこかに行ってしまって、いきなり自分の紅白話を書いてしまいましたf(^_^;)
この対談では意外なことにといいますか、いかにもといいますか、元NHKマンの和田氏がアンチ紅白派で、いってみればアンチ紅白で番組作りをされていたハズの元フジテレビの横澤氏が紅白擁護派を引き受けています。ま、これも所詮は紙面づくりの役回しでしょうけれど。
それはともかく、和田氏はNHKにいた頃から一貫して局内きってのアンチ紅白派だったそうです。
その頃といえば、今でこそ視聴率が50%まで落ち込んでいますが(落ちたとはいえこの視聴率50%というのは大変な数字で、FIFAワールドカップの中継でこの数字を超えたといってものスゴい騒ぎ様だったことを思えば納得がいくと思います)、和田氏がまだ現役バリバリの頃はそれこそ当たり前のように80%以上のお化け視聴率を稼いでいました。そうした環境下での紅白批判で、誰も彼の批判には賛同してくれなかったようです。
その和田氏がNHK時代に決してしなかった仕事が三つあるそうです。それが「朝ドラ(連続テレビ小説)」であり「大河ドラマ」であり、そしてこの「紅白歌合戦」だというわけです。
和田「(前略)多様化、国際化を考えれば、人々の目を一点に向けさせることはもう無理だし、時代遅れです。紅白はまだ一点だと思っている。それが許せない」
横澤「『国民の皆様』といいながら、NHKはお上的発想ですからね」
和田「その通り」
横澤「暮れの忙しい時に歌手を長時間拘束して、何回もリハーサルをやって。お上のパワーじゃないとできない」
(中略)
和田「1年をあの4時間ちょっとで集約させようとすることがそもそも古くさい。毎月の月末、1年に12回やりなさい。民放は24時間テレビなんてやっているわけだから、大晦日は24時間紅白をやればいい」
(中略)
和田「あれは文化でも何でもないけど、たった一つだけ認める点がある。この男社会の中で、紅組と白組に分かれて男女同格で争うこと」
横澤「今は女社会だよ」
和田「いや、男社会。こういう対談も女横澤とか出ればいいのに」
横澤「女和田勉は出ないだろうね(笑)」(後略)
もっとも視聴率が80%を超えているといっても、みんながみんな喜んで見ているわけではなく、みんな好き勝手なことをいいながら見ているというのが実情ではないでしょうか。その証拠に、あるメルマガには以下のような率直な「異見」が掲載されていました。
紅白歌合戦にものも~す!テレビにうるさい大阪のおばちゃん緊急アンケート
★何でこの人が出るん?ランキング
- 1位:山本譲二(1950~)「北島三郎(1936~)のオマケちゃうん」(読み間違い注意)
- 2位:中森明菜(1965~)「今更何で?聖子の代役?」
- 3位:鳥羽一郎(1952~)「弟の山川豊(1958~)の方が男前やし歌もうまい!」
- 4位:小林幸子(1953~)「もうあきた」
- 5位:横文字「よめない」
★あ~この人に出てほしかったランキング
- 1位:由起さおり(1946~)姉妹「トイレ休憩だったのに」
- 2位:吉幾三(1952~)「歌はともかくおもしろい。味が出て年々よくなっている」
- 3位:八代亜紀(1950~)「お父ちゃんのキゲンが悪くなってしまう」
- 4位:松田聖子(1962~)「娘のSAYAKA(1986~2021)と一緒に出てくれそうだったのに」
そもそもが出場歌手の選出方法も問題ありで、毎年賛否両論の意見が飛び交います。
ちなみに今年の目玉といわれているのが、NHKの大ヒット番組「プロジェクトX ~挑戦者たち~」の主題歌「地上の星/ヘッドライト・テールライト」を歌う中島みゆき(1952~)の出場です。ただ、それについても先の和田・横澤対談の中で横澤さんは次のような独特の見解を述べています。
今年は中島みゆきが歌う。女性が歌うから誰もそう思わないけど、『地上の星』は軍歌ですよ.
「へぇ~、アレは軍歌でしたかぁ、、、」。中島みゆきの例の曲はそれこそ「プロジェクトX」を見る度に聴かされるわけですが、そういわれてみれば歌い方に妙に力みが入っていて、一本調子のような気がしないでもありません。
個人的には、「モーニング娘。」というのが好きになれない、というほど知っているわけでもありませんが、その彼女たちにいい年をした大人の男たちがお熱を上げているというのがどうにも理解できません。彼女たち自身がどうのこうのというより、それをダシにして金儲けする大人や、彼女たちを応援する大の大人への疑問ですね。
それでは本日の締めくくりにもう一度和田さんと横澤さんにご登場願いましょう。
横澤「NHKは、多分50歳以上の人が好んで見る珍しいテレビ局なんです。昨日今日出たような若い歌手を慌てて入れても何の意味もない。作戦ミス、逆効果ですね」
和田「おっしゃる通り」
横澤「古かろうが、何だのいわれてもそれでいいの。紅白ってそういうものなんだから。堂々と40歳以上にターゲットを合わせればいい。中学生とか高校生には、ヤング紅白作ればいい。今は虻蜂取らず(あぶはちとらず:あれもこれもとねらって一物も得られない。欲を深くして失敗するのにいう=広辞苑)になっている」
和田「その発言だけは随分ましです。(中略)でもこんな企画(対談による紅白批判)をやる朝日新聞が一番時代錯誤なんだよ(笑)」
というわけで最後の最後で、裏で画策する旧態依然とした朝日新聞の批判というオチがついたところで、今回の話題はお開きとしましょう。