2010/10/22 推定無罪が働かない日本は“ガラパゴス”?

本日も、本コーナーは思いつきの独り語り「気まぐれトーク」の形式にて更新をしています。なお、トークは前日の夜に行っています。

本日分の内容につきましては、音声ファイルでご確認下さい。で、そうされない場合は、下にトークを要約して書き起こしていますので、それをお読みになって、トークのだいたいの流れをご想像下さい。

なお、音声ファイルはmp3方式にて紹介しています。再生箇所は前後に自由に移動させることができる、と思いますので、下の書き起こしで見当をつけ、聴いてみたい部分だけを“つまみ聴き”するようなこともできます。ご自由にお楽しみ下さい(^ー^)ノ

インディの鞭の気まぐれトーク〔2010.10.21〕

トークを要約した書き起こし

今回のトークも夜の時間に行っている。前回同様、今回も無駄話一切なしで本題に入っている。また、本題も昨日の続きで、民主党元代表の小沢一郎さんに「強制起訴」の議決をした“ど素人集団”「検察審査会」に焦点を当ててしゃべっている。

前回に続いて、トークの中で先週金曜日(15日)に放送された番組の一部を音声ファイルで聴いてもらうため、早速本題に入った次第である(´・ω・`)

すべて前回の続きになるが、聴いてもらう番組は、前回聴いてもらったのと同じBSフジで、月曜から金曜の午後8時から2時間生放送されている「プライムニュース」

私はこれまで、この番組をほとんど見たことがなかった。基本的には、その日のニュースを間に挟み、ひとつの問題についてゲストを交えて掘り下げる形式になっているようだ。15日の放送では、「緊急検証!“小沢強制起訴” 検察審査会とは?」と題し、小沢さんの起訴理由や検察審査会について話し合われた。

BSフジは、「フジ」と付くぐらいでフジサンケイグループに属する。

こと、小沢さんに関しては、悪意に満ちた報道をしているグループが制作した番組であったため、この問題をどのように“料理”するのか逆の意味で興味を持って録画した。後日それを見てみると、いい意味で期待を裏切られるほどまともな切り口だった。それで思った。BSフジだってこれぐらいできるんだから、産経新聞も少しは、というか大いに見習って、子供みたいに悪態ばかりつく醜態を晒すことを控えたらどうか、と。

法律に不案内な私がぶっつけ本番で話をしているため、簡単な法律用語も出てこないありさま。たとえば、小沢さんサイドが強制起訴されたことに対し、逆に訴えることをしているが、それを何というのか口ごもっている。あとで調べたら「行政訴訟」というのがふさわしいようだ。その訴訟は直ちに却下されている。

挨拶もそこそこに、先週の金曜日(15日)にBSフジで放送された「プライムニュース」の一部を音声ファイルで聴いていただいている。時間は【4分30秒】ぐらいから。前回のファイルは【10分】弱だったが、今回は【14分】ほどと長い。

今回聴いていただいた部分で論議されているのは、小沢さん個人の問題ではなく、検察審査委員会の役割と、それに照らし合わせて今の審査会はどうなのか? というようなこと。

その日に出演されていた新潟大法科大学院教授で弁護士の鯰越溢弘(なまずごし・いつひろ)さんは欧米の大学で講義をしたことがあり、そこで日本の司法の現実の話として、「日本で起訴されると、【99.9%】が有罪になる」と話すと教室中がどよめくそうだ。

私は生まれてこの方日本で暮らしていながら、日本の裁判の有罪率がそれほど高いとは考えもしなかった。というか、それ以前もそうした数字を見ながら、深く考えなかったということかもしれない。

日本国内だけで有効なサービスや商品を、南太平洋上にあることで生きものが独自の進化をしたガラパゴス諸島になぞらえて「ガラパゴス」と揶揄されたりするが、日本の裁判の現状も「ガラパゴス」といわれて然るべきかもしれない。

鯰越さんのお話によれば、イギリスの司法では「51%ルール」というのがあるそうだ。どういうことかというと、もしかして私が誤って理解しているかもしれないが、有罪の可能性が【50%】、無罪の可能性が【50%】であればちょうど半々になるが、有罪の可能性が【51%】と【1%】でも多く見込めれば起訴する、というような説明であったと記憶している。それだけ、欧米の方が起訴するレベルは低いことになるか?

また、外国の裁判で無罪になる確率は、それぞれの国や事件によってもちろん異なるだろうが、鯰越さんのお話では、「イギリスでは約30%が無罪になるのではないか」というようなことだった。

裁判で判決を下すのは裁判官。それが欧米では実現されているが、日本では裁判における有罪率が【99.9%】とほぼ【100%】に近いため、起訴された時点で「有罪」の扱いを受け、そのために、日本では「推定無罪」の原則が機能していない、といえそうだ。それはすなわち、基本的な人権が守られていないことになる。

なお、トークの中で、日本で無罪になる確率の数字を誤って「0.01%」などとしゃべってしまっている。正確には「0.1%」。私は数字が絡むと、どうしても間違えてしまう。この種の問題で私が間違えない確率は【0.01%】か(´・ω・`)?

日本で検察審査会が生まれたのは先の大戦が終わって3年後の1948年だそうで、これまで62年の歴史があることになる。その間、国民の【50万人】以上が審査員をしたそうだが、これまで関心が高くなかったせいか、自分の周りで実際に審査員をしたことがあるという人には出会ったことがないように記憶する(←気がつかなかっただけか?)。

この制度がにわかに注目を集めることになったのは、小沢さんの例が示すように、強制的に起訴できる力を持ったため。

番組に出演されていた元東京地検特捜部検事の高井康行さんは、ご自分の経歴から審査会に対して厳しい見方になる。番組の司会者に起訴の基準を訊かれ、検察だけが起訴の唯一の基準を持つべきである、というように答えている。

続けて、検察審査会に検察と同等の起訴基準を与えたなら、検察と並んで、検察審査会が別の権力機関になる、と話されている。

そもそも、検察審査会というものは、検察が起訴しなかった事案のみを扱い、その範囲内で市民目線でそれを再確認し、既に得ている証拠で起訴できるにも拘わらずに起訴しない事案に限って異議申し立てできる、というチェック機関としての役割を持たされるものであるはずだ。

それが、今回の小沢さんに「起訴相当」の議決をした東京第5審査会のように、無理矢理に審査対象として小沢さんの問題を告発し、平均年齢が【34.55歳】という極めて低い年齢の素人審査員が審査らしきことをし、その結果、「強制起訴」の議決をしてしまった。

鯰越さんは、外国の例に倣って、日本の起訴基準をもっと下げるべきというが、やってもいないこと、あるいは軽微な罪で起訴され、それで有罪にでもされたら堪ったものではない、と思ったりする。これは私の杞憂だろうか。

元東京地検特捜部検事の高井さんが指摘されているように、もしも検察審査会に今以上の権限を与えるのであれば、今の審査会は不透明すぎる。ほかの事件ではどうなのかわからないが、小沢さんの場合は、申し立てをした人の名前さえ伏せられている。つまり、どこの誰がどういう理由で告発したのかもわからない。

そして審査が始まっても、どこの誰がどのような審査を何回し、その審査の過程がどのようなものであったのかもまったく知らされない。こんな“暗黒審査”が許されていいものだろうか。同じようなことを自分にされたら、と想像すれば、その恐ろしさをイメージできるだろうと思う。

だのに、「推定無罪」の原則が働かない日本では、マスメディアの多くは早速、「小沢さんは起訴された責任を取って議員を辞職すべし」と「社説」でまで主張するありさま。イギリスでは3割ほど無罪の可能性があり、起訴された段階でそんな主張がまかり通るのは“司法ガラパゴス”の日本のマスメディアぐらいかもしれない。この日本の報道の実情を欧米の大学で学生に話したら、教室中がどよめくだろうと思う。「日本では何の権限があってマスメディアが罪を裁くのか?! そんなことを主張した後に、被告が無罪になったらどう責任を取るのか?」と。

産経新聞は、小沢さんの問題を報じた各紙を比較し、「われわれが一番強く小沢さんに辞職を求めた!」と力んでいたが、それはつまり、産経新聞が一番「推定無罪」を理解していないことを自ら証明してしまったことを意味し、胸を張るのはお門違いになる。小沢さんが裁判で無罪になったら、産経は誰がその責任を取るのだろうか? 国会議員は、選挙民の信託を得て議員になったのに、すぐに辞めろなんて。法律を理解していないとしか思えない。

私もよく知らないが、検察審査会でその問題を取り上げてもらうためには、審査会に申し立てする必要があるらしいが、どのような人が申し立てをできるかが、『週刊朝日』の10月22日号に載っているので紹介させてもらうことにする。

検察審査会法では、申し立てができるのは告訴や告発をした人、被害者や遺族などに限っている。

誰が告発をしたのか明らかにされていなかったため、ネットでも様々な憶測が飛び交った。私もこのことについて書いた中で、右翼の活動家の名前が上がっていると書いたが、今月6日付けの朝日新聞の夕刊は、「小沢氏告発『真実を求める会』とは」題したスクープ記事として報道したそうだ。私は夕刊は取っていないので、その報道には気がつかなかった。また、そこで報道されたことが“真実”なのかどうかもわからない。その報道について、『週刊朝日』には次のような要約が載っている。

申し立てたメンバーは関東近郊の60代を中心とする男性約10人で、行政書士、元新聞記者、元教師、元公務員など。政治的には「保守層」を自認。政権交代前から民主党に批判的な点で一致していたという。中傷や嫌がらせを心配し、審査会事務局に頼み名前を伏せてもらったという。

それを知って「真実を求める会」なるものが急に気になり、今は便利でネットですぐに調べられるので調べたら、「案の定」というような人の名前がゾロゾロ出てきた。名前を見て、「また、あなたたちか」と呆れた。

安倍晋三元首相を真性保守だといって担ぎ上げるのは「勝手にどうぞ」というしかないが、ほぼ同じメンバーが8月8日に沖縄県の尖閣諸島沖で石垣海上保安部巡視船と中国漁船が衝突した事件を巡っていろいろと動きも起こしているようだ。

詳細はいずれまた取り上げるとして、主要メンバーである産経新聞(←またまた登場!)の元記者・山際澄夫さんは、中国側を訴えるのではなく、船長を釈放したわが国の検察の対応に抗議し、必要であれば検察審査会に申し立てする、と息巻いているようだ。

どうして彼らの反感が相手の中国に向かわずに自国に向かうのか。ちょっと考えればわかる。今の与党が自民党であれば、中国に批判の矛先は向かっただろうと思う。しかし、山際さんも属していた支配体制が、昨年の衆院選で敗北して旧支配体制になってしまったため、そのエネルギーが自国の政府に向かっているのだろうと思う。

「日本国内で反中デモが行われたのにそれを日本のマスメディアが取り上げないのだー!」といわゆる右翼系のみなさんはご不満のようだが、ドイツ在住でノンフィクション作家(??)のクライン孝子さん(70)も彼らのお仲間のようで、盛んに自民党を持ち上げ、民主党を腐している。

彼女がたまたま日本に帰国中に反中デモがあり、帰国する当日にわざわざその集会に参加したと誇らしげに書いていた。この方はちょくちょく日本に戻ってこられるが、旅費はもちろん彼女持ちだと思うが、もしかしたら違う財布から出ている、ということはないだろうか。

それはともかく、旧支配体制を復活させるためであれば、尖閣問題も小沢問題も何でも利用するということだろう。その結果、日本と中国の関係が冷え込み、最悪日中戦争になったとしても「俺たちの知ったことじゃない」ということか。戦争が始まって一番被害を被るのは普通の市民なのに。

おそらくは、これまでに起こった戦争も、そうした一部の人たちが戦端を開くことに協力していた、のかもしれないと思ったりした。

なお、トークの中でネットのとあるページに書かれていることに目を通しながら話しているが、その中で安倍元首相のブレーンである5人組の1人が山際さんとしゃべっているが、あとで確認したら、山際さんは5人組のひとりではなかった。

この山際さんは、昨年3月と今年1月の2回、「朝まで生テレビ!」で小沢さんの問題が取り上げられたときにパネリストのひとりと出演されていたと記憶している。2回とも出演されたかは確認しないとわからないが(確認したところ、今年の1月29日〔厳密には日付が替わった30日午前1時25分から〕に放送された回のみに出演されている)、司会者の田原総一朗さんの制止も聞かずに、山際さんは大きな声を張り上げて小沢さんを批判していた姿を憶えている。山際さんには「推定無罪」の考えがないらしい。自分が裁判官にでもなったつもりなのか。

その時の放送はPCのHDD(ハードディスクドライブ)に残っているので、このあと確認してみて、山際さんの“勇姿”だけを動画ファイルにして紹介することも考えていたりする。

小沢さんに起訴相当の議決をした、東京第5検察審査会をめぐってはいろいろと話してみたいことがまだあるので、次回以降のトークでも取り上げようと思ったりしている。実際に取り上げるかどうかはわからないが。

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