月: 2021年11月
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「母ちゃん、ズボンが破けちゃったよ」「ありゃ~、またかい」
冗談で始めるしかないような気分で、また、村上春樹(1949~)の作品について書きます。今回は、村上7作品目の長編小説『国境の南、太陽の西』(1992)です。
分類は長編になりますが、前回の更新を終えた昨日の昼頃に読み始め、今日の昼頃には読み終わりました。読むのが決して早くない私がほぼ一日で読みえ終えることができたのですから、中編に近い長編ではなかろうか(?)と思います。
本作が出版されたのは1992年10月です。前回取り上げた、村上が「旅行記のような」ものと書いた『遠い太鼓』という紀行文章に書かれていることは、村上が陽子夫人と1986年秋から1989年秋まで3年間の南ヨーロッパ滞在記です。
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また、村上春樹(1949~)の作品について書きます。これほど村上との付き合いが長くなるとは考えてもいませんでした。Amazonの電子書籍を利用するようになったことで、出版された年代に関係なく、読みたいものが読みたいときに読めるようになり、これまでは縁の薄かった村上作品に接することが多くなったというわけです。
今回は、村上の物語世界から離れ、3年間のヨーロッパ滞在記録のようなものをまとめた『遠い太鼓』(1990)という作品に接しました。
「はじめに」に、本のタイトルについて簡単に書いています。40歳が近づいていた村上は、ある朝、どこか遠くから太鼓の音が聞こえてきたように感じます。それは、自分で自分を急き立てる音だったのかもしれませんが、太鼓の音を辿ってどこか遠くへ行ってみたくなり、ヨーロッパで暮らしてみることを決め、陽子夫人と二人で南ヨーロッパ暮らしを始めます。
どこかで読みましたが、村上本人は、決して旅は好きではないといいます。行かなくていいなら、旅には行きたくない、というようなことも書いていました。それでも好奇心は旺盛なのでしょう。本書を読む限り、訪れた土地でエンジョイしているように感じます。