村上が綴る性に狂った男と女の顛末

「母ちゃん、ズボンが破けちゃったよ」「ありゃ~、またかい」

冗談で始めるしかないような気分で、また、村上春樹1949~)の作品について書きます。今回は、村上7作品目の長編小説『国境の南、太陽の西』1992)です。

分類は長編になりますが、前回の更新を終えた昨日の昼頃に読み始め、今日の昼頃には読み終わりました。読むのが決して早くない私がほぼ一日で読みえ終えることができたのですから、中編に近い長編ではなかろうか(?)と思います。

本作が出版されたのは1992年10月です。前回取り上げた、村上が「旅行記のような」ものと書いた『遠い太鼓』という紀行文章に書かれていることは、村上が陽子夫人と1986年秋から1989年秋まで3年間の南ヨーロッパ滞在記です。