村上作品を私なりに解釈すれば

Amazonの高ポイントキャンペーンにつられてまとめ買いした村上春樹1949~)の作品も、残り少なくなりました。昨日は、15冊中の13冊目になる『アフターダーク』2004)を読み終えましたので、それについて書いておきます。

本作は、村上の長編小説に分類されますが、分量は多くなく感じました。描かれ方は独特です。舞台は晩秋の東京で、おそらくは渋谷の街を中心に、都内の数カ所で同時進行する出来事を、カメラを切り替えるように描写します。流れる時間はリアルタイムで、各章のはじめには、丸い時計の文字盤を表記する入念さです。

「写真AC」のイメージ素材

物語の始まり午後11時56分。終わりは翌日の午前6時52分です。

私が前回読んだ『スプートニクの恋人』は、それまでの村上のスタイルだった一人称を主軸に、ほかの登場人物の一人称や、三人称の表現を試みています。

今回ははじめから終わりまで三人称です。