新型コロナウイルス(COVID-19)の影響が、社会の様々なところに出ています。
家でとっている地方紙には、月のはじめに、東京都内でその月に開かれている美術展を紹介するコーナーがあります。それが新聞に載ると切り抜き、PCの液晶モニタを置いたテーブルの上の棚の前に張り付ける習慣があります。
何気なくそれを見ると、今開かれている美術展のほとんどが、COVID-19感染防止として、今月15日や16日まで、美術展を開いている美術館を休館する旨の断りを載せています。
それを見て私が感じたのは、「日本社会は横並びが好きだな」ということです。
休館するのは当たり前としても、どうして今月半ばまでとするのでしょう。政府がその頃までを目安に、公立の小中高を一斉休学にしたからでしょうか。
今日が5日ですから、10日ほど先です。この10日間でCOVID-19のワクチンはできないでしょうし、感染の拡大が収束するとも思えません。なのに、お上がいっているからとして、一斉にそれに倣った休館の措置を採るのですから、横並びにうつります。
もっと各人が、自分の頭で考えなければなりません。
学校を休学にした措置も、果たして良かったのか、考えてみる必要があります。
報道を見る限り、急に休みになった児童や生徒が、学校から指示されたであろう自宅待機をしているかといえば、そんなことはなさそうです。
これについての報道に寄せられた一般からの声を読む限り、休校になった翌日から、街の商業施設には中高生が大勢繰り出しているようです。また、小学生も、親たちに連れられて訪れるケースが多く、長い時間、人の多い空間で過ごしていく家族も少なくないようです。
これでは、休校にした意味がないではありませんか。むしろ、学校を休みにせず、日中は学校内で過ごさせた方が、感染のリスクを抑えることに有効なのではないでしょうか。
中高生は、ひとりでも自宅で過ごせるでしょうが、小学生の低学年を自宅に残すのは不安だとして、学童保育の施設に預かってもらう親も少なくないと聞きます。
そんな児童が多くなれば、場合によっては狭い空間に多くの児童が集まることになり、教室で過ごすよりも、密接度が高まります。
昨日の関東ローカルニュース「首都圏ネットワーク」で伝えられた栃木県内のある市(だったかな?)では、そうした逆効果が見られるとして、授業を再開する判断をしたことを伝えています。
小学校低学年の子を持つ親で、子供をひとりで自宅に残すのは不安だとして、勤め先に子供を連れて行く親もあるそうです。親が仕事をする時間、子供たちは会社内に設けられた専用の部屋で過ごせるようです。
これはこれで、親は安心して仕事ができるでしょう。ただ、その職場に子供と電車を使って移動するのであれば、これも、学校へ通うより、感染のリスクが高めるだけのように感じます。
そもそもの話、COVID-19は、子から親より、親から子に感染することの方が多いだろうと聞きます。子に比べ親の方が行動範囲が広いからです。しかも、親が電車やバスを利用して通勤するケースは、感染のリスクは高まります。
日本では、今夏に予定されている東京五輪を控え、日本政府とそれに関わる関係企業や団体は、中止や延期にならないよう、スクラムを組んで、COVID-19の感染拡大を防ぐ、のではなく、感染者数を増加させないことに力を注いでいる印象です。
日本は他の国に比べて、感染しているか確かめる検査の数が桁違いに少なくなっています。直近に見た報道でも、訴えた患者を診た医師が保健所で検査してくれるよう頼んでも、受け付けてもらえないケースが少なくないようです。
こんなおかしな話があるでしょうか。
若年層は感染しても軽症ですむケースもあるでしょう。しかし、症状が出なくても感染していれば、自分でも気がつかないうちに、ほかの人にうつしてしまいかねません。
日本では多くの人が公共交通機関で毎日移動しており、満員電車を利用しなければ会社へ行けない人がいます。閉じられた空間で大勢の人が時間を過ごし、ひとりから数人に感染すれば、瞬く間に感染者の数が増えることは容易に想像できます。
自覚症状がないままに人にうつしてしまうのですから、どの程度の人に感染が広がっているか確かめることができません。おまけに、国が検査をしないよう圧力をかけているのですから、報道機関から発表される感染者数の数字はあてになりません。
広い地域で、ひとり、ふたりの感染者が発表されるだけですが、実際にはその数十倍、数百倍の感染者がいると想像できます。
今はこんな状況にあるのであり、これが10日ほどで終息すると考えているのだとすれば、あまりにも楽観的です。
こんな状況の中、昨日の夕方、日本高等学校野球連盟(高野連)から選抜大会を無観客で開催する可能性が発表されました。まだ決定ではなく、11日に最終の判断を持ち越すことにしたらしいです。
今日から数えて6日の間に、ウイルスの危険がなくなるとは到底思えません。発表があった昨日の時点より、事態はより深刻になるでしょう。
それなのに、未だに大会を中止できない高野連と大会の主催新聞 毎日新聞社、それに加えて、このコンテンツをビジネスに利用するNHKなどマスメディア、他の報道機関、大手広告会社の電通や恩恵に与る企業の関係者には、選抜大会を最終的には中止するしかないことを判断してもらいたいです。
観客を入れなくても、試合をする選手は、大会があれば、全国から集まってきます。遠い地方の学校は、飛行機や新幹線を利用します。また、甲子園球場の近くに宿泊しても、試合のある日は球場へ移動しなければなりません。
試合が行われれば、取材陣や放送関係者で会場周辺はごった返します。それらの人の中に、ひとりでも感染者がいて、自覚がなければ、知らないうちに感染が広がってしまうこともあります。
大会を終えた選手たちは、それぞれの地元へ帰ります。高校生が自宅に戻り、家族と過ごします。大会へ出場したばかりに生徒がウイルスを持って帰り、それが同じ屋根の下で暮らす、たとえば高齢者の家族に感染した場合、重症化しないとも限りません。
そんなことが起こってからでは、大変です。高校生の孫も、自分のせいだと自分を責め、一生悔やむことにもなりかねません。
それでもまだ、商業化した高校野球の大会の開催にこだわりますか?
甲子園の大会が終わった時期、例年であれば、全国各地で春の大会があります。今年は、この大会を行うべきか、各地の高野連は、中央の判断待ちの状態にあるでしょう。ここでも、自分で判断できない横並びの体質があります。
個人的には高校野球が好きで、地区大会が始まれば、必ず球場で感染することを続けてきました。しかし、今春は、仮に大会が開催されても、COVID-19が収束しない限り、私は観戦しないことを決めました。
関係者の勇気ある決断をお願いします。