誰でもそうでしょうが、私の興味の対象も日々変化しています。それ以前に興味を持ったものと重なり合いながら、新たな興味への関心が強まったりしています。
ここ最近は、再び、ミラーレス一眼カメラを使ったLog動画と、撮った動画の見た目の印象の加工です。
きっかけは、私が使っている動画編集ソフトであるBlackmagic DesignのDaVinci Resolve Studioが7月21日、メジャーアップデートされたからです。
それ以前から、マイナーアップデートが何度かされ、そのたびに、新しい機能が搭載されたことは知っていました。しかし、慌ててそれを使う必要を感じず、メジャーアップデートを待ってそれを適用しました。
今回のアップデートで、18.5となりました。どの点が向上し、便利になったのかは、ネットに上がっていますので、私が取り上げるまでもないでしょう。
私からひとつだけ上げるとすれば、AIを使って色調を最適化してくれる機能です。
ただ、これをLog動画に適用すると、自分が望むような結果になってくれないことが多いです。私が過去に撮ったビデオの映像は、この新機能がかなり使えそうです。
ともあれ、私にも便利に使えるかもしれない機能が盛り込まれたことを知り、試しているうちに、DaVinci Resolveが最も強みを持つカラー編集に再び興味を持ったというわけです。
カメラと動画編集ソフトが充実したこともあり、ネットの動画共有サイトのYouTubeで熱心に動画を配信する人がいます。
そんな人たちの中で、配信の頻度が多いのは、カメラやレンズなどを取り上げ、商品レビューする人たちです。
彼らの配信スタイルはほぼ同じです。多くは自分の部屋に撮影設定し、配信者がカメラの前に座り、新しく出たカメラやレンズ、また、そのほかの情報などを話すスタイルです。
昔であれば、民生用ビデオカメラを使ったりしたでしょうが、今は、多くの配信者がミラーレス一眼カメラ(ミラーレス)を使うケースが多いです。
映像に凝る人であれば、RAWやLogで撮影し、カラーコレクション(カラコレ)やカレーグレーディング(カレグレ)を施すことをします。
このように自撮り動画を撮ることを習慣にする人は、撮影スタイルは決まっているわけですから、あとは自分が取り上げる話題を捜せばいいことになります。
そのようにして、毎日でも動画を配信できますが、そのスタイルを採る限り、何度それを繰り返しても、表現の幅は広がらないだろうと想像します。
毎度同じことを繰り返すだけだからです。
映画監督の山田洋次(1931~)は、渥美清(1928~1996)と出会って『男はつらいよ』シリーズを、渥美が亡くなるまで撮り続けました。基本的な出演者は決まっており、あとは、出演者を使って新しい話を作るだけです。
この大いなるマンネリが、Vloggerといわれる人たちにも共通する、強みであり悩みであるといえましょう。
私は自撮り動画を撮ることがなく、それだから、撮って、ネットに上げる動画をコンスタントに作ることがありません。
それでも、昔から映像に興味を持ち、自分なりに、あれこれと試しては、映像表現の可能性について考えたりします。
私が今試しているのは、デジタルカメラで撮影した素材を、フィルムのシネマカメラで撮影した映像のように見せる加工です。これをシネマルックとかフィルムルックとかいいます。
今回は数日で、自分の思うような表現に近づけることができました。
フィルムルックといっても、それを目指す人によって、目指す方向は異なるでしょう。たとえば、好きな劇映画があって、その映像が持つ色合いに近づけようとしたり、というようにです。
私の場合は、シンプルに、フィルムで撮影した昔のドキュメンタリー映像のような感じを得たいと考えています。具体的には、五十年ほど前までNHKで放送された『新日本紀行』のような映像です。
色調の誇張はせず、フィルムが持つ柔らかな映像美が私の目指すフィルムルックの形となります。
YouTubeで関連動画を見たりして、それを実現するためのヒントを多く得ました。
フィルムで撮った映像とビデオで撮った映像は、テレビのモニタで見てもすぐに違いがわかります。その違いを把握したうえで、デジタルカメラを使いながら、フィルムで撮ったような映像にするにはどうしたらいいか、ということになります。
デジタルカメラは、レンズから入った光を撮像素子を介して記録します。フィルムのシネマカメラは、フィルムという物質に定着します。
フィルムは工業生産される製品であるため、厳密に品質管理がされていても、個々で微妙に異なり、それが撮影結果に現れます。
また、商業映画は35ミリのフィルムを使い、毎秒24コマで撮影します。これは想像以上に精密な動作が求められることで、そうしたこともあって、どうしても、デジタルの動画に比べ、不安定さが残ります。
いい方を換えれば、デジタルで撮った動画をフィルムの映像に近づけるには、フィルムが宿命的に持つ不安定さをどのように盛り込めるかにかかっているといえそう(?)です。
具体的にいえば、デジタルで撮った動画は、綺麗に写りすぎています。何も加工しなければ、ビデオカメラで撮った動画とミラーレスで撮った動画は同じです。
途中で書いたように、フィルムとビデオの違いがひと目でわかるように、撮像素子が大きなミラーレスで撮っても、加工しなければ、綺麗に写っているビデオ映像以上のものとはなりません。
YouTube動画などで得た知識で、綺麗に写りすぎた映像を、フィルムっぽくするため、わかりにくい程度に、画質を落とすことをしました。
たとえば、きっちり合い過ぎているフォーカスを若干甘めにするため、ブラーをかけるといったようなことです。これを試すだけでも、フィルムっぽさに近づけることができます。
ほかにも、フィルムの粒を感じさせるようなグレイン加工や、明部と暗部に別々にグローをかけるなど、それぞれの人で、その人なりの「秘伝」があったりするでしょう。
本更新のため、今朝、我が家の愛猫・にゃんこおチビちゃんファミリーの”お母ちゃん”こと元祖おチビちゃん(=^ω^=)をソニーのα7 IIで撮影しました。
レンズは、ヤシカ・コンタックス(ヤシコン)用のカール・ツァイス プラナー50ミリ F1.4を使い、レンズに4段分減光できるND16のNDフィルターをつけています。

撮影時の設定は次のようになります。
以上のような設定で撮影した動画を、DaVinci Resolve Studioでフィルムっぽくしたものを下に埋め込んでおきます。
映画っぽく演出するため、上下に黒い帯を入れ、画面アスペクト比をシネマスコープの比率である【2.35:1】にしてみました。
小さい画面で見ると、撮って出しの動画と変わらないように見える(?)かもしれませんね。
動画に関心を持ち始めると、どうしても、動画専用のBlackmagic DesignのBlackmagic Pocket Cinema Camera(BMPCC)を使ってみたくなります。
このシリーズが刷新されるという噂があり、新型が出たら、実際には使わなくても、関心を持ってしまうことになりそうです。