雷は好きですか? と訊かれ、「大好きです」と答える人は多くないのではないかと思います。私も「好きです」とはいいにくいです。
ただ、自分に危害が及ばないことが保証されているのであれば、雷が起こす音と光を観察するのは「好き」かもしれません。
雷好きを公言した人として私が思い出すのは、NHKの紀行番組「新日本紀行」(1963~1982)のテーマ曲などを作曲したことで知られる冨田勲(1932~2016)です。
冨田は、登場したばかりの「モーグ・シンセサイザー」に強い興味を持ち、一式を購入しています。
ネットの事典ウィキペディアの記述によりますと、一式の価格が1,000万円もしたようです。
それが輸入貨物で羽田空港に到着し、受け取りに行ってはみたものの、通関の職員が、それが楽器であることを理解できず、受け取れるまで大変だった、というような話をかつて何かで読んだことがあります。
冨田がシンセサイザーを我が物にして作った曲を集めたアルバムは、当時ですから、レコード盤ですべて購入しました。そのアルバムのどれかの説明書きに、雷好きの話を書いており、それを読んで私が冨田の雷好きを知ったのだと思います。
今回、唐突のように雷の話題を取り上げたのは、昨日の夕方、関東南部の当地で雷鳴が轟いたからです。雷だけでなく、雨が猛烈な勢いで降る時間もあり、久しぶりの荒れ模様となりました。
激しく雨が降ったり、雷が鳴ったのは30分から小一時間程度だったでしょうか。
少し前であれば、天候が荒れ、雷鳴が聞こえ出したりしたら、雷が好きでない私ではあっても、カメラを持ち出して、写真や動画を撮ったりしたでしょう。
それが昨日は、別の物を持ち出しました。身の周りから聴こえる音を、32bit floatで録音できるZOOMのフィールドレコーダー、F2です。それを使って、雷の音を録ってみようという興味が沸いたからです。
自然界の音を収録するための高性能なマイクがあるといいのですが、私が持っているマイクは、audio-technicaの“AT9912”で、それをつけて録音してみました。
録音した時間は、雷鳴の轟が峠を超えつつあった頃です。そうでなければ、雨が酷い降り方をしており、軒下へ行くことができなかったからです。
収録した音声ファイルを、スタインバーグの“WaveLab Cast”で最適と思える音量に調整してみました。
いろいろ試し、プリセットされている”Broadcast Recommendations (EBU R-128)”を適用した時の音量が、最も、耳で聴いた音の大きさに近いように感じ、それで書き出しました。
本ページに、MP3に変換した音声ファイルを埋め込んでおきますので、よかったら聴いてみてください。
いきなり雷の音で始まり、そのあとしばらくは雨の音が聴こえます。また、雨の音に混じり、鳥の鳴き声も聴こえます。実際、録音している時、鳥の声が聴こえました。
終盤に再び雷鳴が轟きます。こちらが、本オーディオファイルのクライマックスです。
音の大きさをメーターで確認すると、最も大きな音でも、-1.11dBに収まっているのがわかります。
これから夏に向かう時期、各地で花火大会が行われるところでは行われるでしょう。新コロ茶番騒動で、ここ2年ほどは大会の開催が見送られましたが、今年は再開するところもあるようです。
打ち上げ花火の音を、32bit floatで録音するのも面白そうです。ま、私は花火大会へ出かけることはないですので、その音を本コーナーで紹介することはなさそうですが。