私は趣味で写真と動画の撮影を楽しんでいます。
フィルムの時代は、写真を撮るカメラと映像を撮るカメラは別でした。それが今は、ミラーレス一眼カメラ(ミラーレス)でどちらも撮影できます。
今でも動画撮影用のカメラとしてビデオカメラがありますが、映像を本格的に撮りたい人は、ミラーレスの動画撮影機能を使う人が多いでしょう。
ミラーレスで写真も動画も撮れますが、スチルと動画は、露出やホワイトバランス(WB)に関しては、考え方が違うように私には思えます。
私はどちらもマニュアル露出で撮ることが多いです。
ネットの動画共有サイトのYouTubeで、写真家でカメラマンの渡部さとる氏(1961~)に、「感度分の〇〇」という考え方を教わりました。これが今や、私にとっては、スチルを撮る上での不変の考え方になっています。
たとえば、深みのある青空を取りたかったら、「感度分の16」にするというものです。この設定をすれば、世界中のどこで撮影しても、深みのある青空が撮影できる、という考え方です。
この撮り方については本コーナーで何度か書きました。これは簡単で、ISO感度の数字とシャッター速度の数字を同じにし、F値をf/16にするだけです。
たとえば、ISO感度をISO400にしたら、シャッター速度を1/400秒にし、F値をf/16にすればいいのです。
ミラーレスで撮影する動画は、面倒くさいことが多くなります。
露出ですが、これはソニーのミラーレスでLog撮影するときでいわれていることですが、適正露出より露出オーバーで撮ることが推奨されています。
実際に私も試してみましたが、たしかに、ノイズがのらない動画が撮影できました。
それは別にして、この露出の考え方からしてスチルと動画に大きな違いを感じます。
スチルでも撮る人で考え方が違うでしょう。露出がオーバー気味のハイキーの写真が好きな人がいるかもしれません。私の場合は逆で、露出を絞ったローキーの写真が好きです。
写真家の野村誠一氏(1951~)もローキーの写真を好むと話されています。以前見た動画では、露出をできるだけ低く抑える、というような話をされていました。
たとえば車の写真撮影を依頼されたときは、太陽が昇った直後ぐらいに撮影し、全体に暗い車体に、登り始めた太陽を受けた部分だけが光って見えるように撮影した、というような話でした。
ミラーレスで撮る動画であっても、露出の考え方は様々だろうと思います。しかし、日本では、淡い色調の動画が好まれる傾向がある(?)ように思われます。
スチルでいうハイキーの傾向を持つ動画になりますか。
私の場合は趣味で動画を撮るわけですから、自分で好きなように撮るだけです。ですから、他の人がハイキーに動画を撮っていても、自分だけローキーで撮っても構わないわけです。
一度は、露出を1と2/3段程度オーバー気味に撮影し、その有効性を確認しました。しかし今は元に戻り、適正か、逆にアンダー気味の動画表現に興味を持っています。
次に私が着目するのはホワイトバランス(WB)です。
私は、昨年10月末に、今のα7 IIに一年半ぶりに戻りました。αシリーズのほかのカメラは、初代のα7以外知りませんが、私はこのカメラのWBを気に入っている、とこのカメラを再び使い始めたときに本コーナーで書きました。
その考えは今も変わっていません。ですから、WBはオートのAWBにほぼ固定したまま使っています。
ミラーレスを使って動画を撮ることを仕事にしている人は、ソニーのAWBは気に入らないようで、色温度を測定し、正確な色で記録しているようです。
その話を知り、自分でも試してみましたが、これもまた、元のAWBに戻りつつあります。もっとも、私の場合は趣味で撮影しているから許されることといえましょう。
ここまで書いてきたことを、実例を比べて見てもらいます。
これが、動画表現で最適だと思われる露出で撮影したものです。

次に、こちらが昨日、同じ場所を「感度分の13」で撮影したスチルです。
この画像のデータを載せておきます。
- レンズ焦点距離:32ミリ
- 露出プログラム:マニュアル露出
- ホワイトバランス:オートホワイトバランス
- ISO感度:ISO200
- シャッター速度:1/200秒
- F値:f/13.0
ISO感度の数字とシャッター速度を同じ200にし、F値をこの場合はf/13にしたので「感度分の13」になります。
動画とスチルを比べると、空の青や木の緑の色が違います。動画を撮影した時は快晴だったのが、スチルを撮った昨日は薄い雲があるという違いがありますが、それにしても色の出方が違います。
私はスチルの色の方が動画の色よりも好きなのです。動画の青空は、書き割りの青空のように見えなくもありません。
このような違いが、動画とスチルにはあるように私は感じているというわけです。
それで、できることなら、動画もスチルのような味わいにできないものか、と素人の私は考えているところです。