ソニー色が嫌いではない私

ソニーのミラーレス一眼カメラ α7 IIを一年半ぶりに使い始めてまだ数日ですが、あることを意識するようになりました。このカメラが持つ色味です。

α7 IIは以前使っており、ここ一年半ほどは、α7 IIからいったん離れ、キヤノンのEOS RPを使いました。

α7 IIに戻った理由は本コーナーで取り上げています。

α7 IIに戻るまでの間に、私はEOS RPを扱うことで、あることに「開眼」していました。というのは大げさですが、それでも、「開眼」したと自分で思っていることで、スチルの撮影方法がガラリと変わり、撮った静止画の出来が向上したように感じるようになりました。

今のカメラはカメラ任せのオートで撮影しても、それほどの失敗写真にはならないでしょう。私もそれに近い、プログラムモード(Pモード)で、手軽に撮影することが多かったです。

それが、ネットの動画共有サイトのYouTubeで写真家の野村誠一氏(1951~)の動画を見たことで、マニュアルで撮影することの大切さに気付かされました。

フィルムの一眼レフカメラを使う時代であれば、マニュアルで撮影するのが望ましいことはわかっても、それで常に撮影するのは、写真撮影を仕事にしないアマチュアには荷が重いです。

フィルムの一眼レフカメラのファインダーは光学式で、レンズから入った被写体の様子を確認できるだけです。自分が設定した結果は、自分の経験を加味して判断するしかありません。

その点、ミラーレス一眼カメラが使われることが多い今は、昔は難しかったマニュアル撮影を、身近なものにしてくれます。

電子ビューファインダーは、自分がした設定を反映してくれます。ですから、それを見ることで、光の強さや色味がわかり、より適切な調節をマニュアルで比較的簡単に行うことができます。

フィルムの時代は、露出を決めるのための項目は次のふたつでした。

フィルムのISO感度(昔は「ASA感度」といいました)はあらかじめ決まっており、「増感」「減感」で撮影することもできますが、通常は、決まったISO感度で使用します。

それがデジタル時代の今は、ISO感度を自由に選べるようになり、露出決定の要素に加わりました。

ISO感度の高感度化は留まることがありません。フィルムの時代、私はポジフィルム(リバーサルフィルム)のコダクローム64がお気に入りでした。

コダックのポジフィルム「コダクローム64」

製品名が示す64がISO感度です。信じられないほどの低感度でしょう。デジタル時代の今は、ISO数万で撮影できるようになっています。

このように、今はISO感度も露出決定の要素となり、マニュアルで適正露出を得るためには、次の3要素を自分で設定します。

  • レンズの絞り
  • シャッター速度
  • ISO感度

EOS RPを使っているときにマニュアル露出に「開眼」した私は、カメラがα7 IIに替わっても、マニュアル露出で撮影しています。

ISO感度をオートにしたうえで、絞り優先やシャッター速度優先で撮影する人が多いでしょう。私もそのやり方で露出を決めたことがありますが、その場合、どうしても、被写体の明るさが、自分が望むよりも明るくなってしまうことが多く、そのたびに、露出補正でマイナスにしました。

暗部になるべきところが明るくなってしまうと、締まりがないように見えてしまうからです。

露出をマニュアルで設定すれば、ISO感度も自分で操り、暗いところは暗く、明るいところは明るく、露出を自分でコントロールできます。

また、露出の決定が難しい、明るいところと暗いところが同じ画面にあるようなときは、自分が撮りたい部分を適正露出にできるようになりました。

マニュアルで露出を操るようになったことで、以前は必ずといっていいほど使っていた露出補正を使うことがなくなりました。

以上のことは、明度に関する話です。

今もモノクロで撮影する人もいるかもしれません。しかし、多くの人はカラーで撮影するでしょう。カラーで撮影する場合も、オートではなく、マニュアルで設定することができます。

色の表現を変えるには、次の3要素の設定変更が必要となります。

明度につきましては、露出の設定によって、自分が思う明るさ、暗さにすることができます。

残りは、色相と彩度です。

EOS RPでそれを自分で変更するには、ホワイトバランスを変更することになり、具体的には色温度を変更します。すでに書いたように、ビューファインダーで色温度を自分の眼で確認できる今は、昔であれば難しかった、マニュアルでの色温度変更も案外簡単に行うことができます。

色温度の単位はケルビン(K)で、100K刻みで変更できます。

同じことをα7 IIでもしようとしました。が、結果的には、私には難しく感じられました。α7 IIでも色温度の変更ができますが、EOS RPとは違い、100K刻みで色温度を変えてみても、目に見えた変化を感じるのを難しく感じたからです。

α7 IIには、EOS RPにはない色補正のために2種類のカラーフィルターが入っています。「ブルー(B)⇔アンバー(A)」「グリーン(G)⇔マゼンタ(M)」を操作し、自分が望む色相に変えることができるようになっています。

α7 IIの説明書で確認しますと、ソニーとしては、基本的にはオートホワイトバランス(AWB)で使ってもらうのを望んでいるように感じられます。

説明書には、次のような注意書きがあります。

ナトリウム灯/水銀灯の光源下ではカスタムホワイトバランスの使用をおすすめします。

特殊な光源環境を除いては、AWBで撮影することを勧めているようにも受け取れます。

自分でやってみても、α7 IIは、EOS RPのように色温度を操れないように私は感じました。そこで、ホワイトバランスはAWB任せにすることに決めました。

撮った静止画を観察しますと、どの静止画にも、マゼンタの色味が若干のっているように感じます。そこで、撮影したRAWデータを、ソニー純正の現像ソフトで、「グリーン(G)⇔マゼンタ(M)」の項目を変更してみました。

数字で【10】(1ステップ)G側にするだけで、マゼンタの色味が薄れ、被写体が本来持つ色味に近づいたように感じられます。

しかし、ここから先は私個人の完全な主観ですが、正しい色味であることと、それを自分が美しく感じるかは別であるように思います。

マゼンタの色味を弱めてしまうと、その瞬間にソニーが設定した「色味の魔法」が解け、どこにでもある色味になってしまうように感じたのです。

色味の好みは千差万別ですので、私の感覚は、私にだけ通用することです。とりあえず、私にはソニーの「演色性」を好ましく感じました。この色味でスチル撮影したいためだけに、ソニー製のカメラを必要に感じるほどです。

この撮って出しの色味は、ほかのキヤノンやソニー、富士フイルムのカメラでは味わえないものでしょう。

今週の火曜日(25日)、ソニーからα7R Vの発表がありました。日本での発売開始は11月25日です。市場販売価格は56万円程度とされており、私には縁がなさそうなカメラです。

このカメラの発表を受け、登録者が多いYouTuberがこのカメラのレビュー動画を早速上げています。

【究極性能】α7R Vがついに誕生

まだいくつか見ただけですが、それを見る限り、ソニー独特の色味に言及したものがない(?)ように思います。

それこそが、ユーザーを選び、ユーザーを失う要素かもしれないのに、それに触れないのは適切なレビューとはいえない、といえなくもありません。

ソニーから、YouTubeで宣伝してもらうことを前提に、発売前のカメラを借りている手前、メーカーに気兼ねし、マイナス要素になりそうなことに触れるのを避けている(?)のでしょうか。

α7R Vのホワイトバランスについて話している動画がありましたので、下に動画を埋め込んでおきます。新しくなったAWBについては話す場面から再生が始まるように設定していあります。

【Sony α7RVレビュー!】超進化カメラ誕生✨静止画も動画も最高です。

ともあれ、α7 IIを一年半ぶりに手にし、マニュアル設定で使い始めたことで、それ以前にはそれほど意識しなかった「ソニー色」を意識するようになりました。

個人的には「ソニー色」を好ましく感じていますので、今後は、ホワイトバランスだけは、ソニーを信頼し、AWBで撮影を楽しむことにします。

あとは、レンズの絞りとシャッター速度、ISO感度を操るだけですから、手間が少なくなり、より気楽な感覚でシャッターが切れそうです。

Simon & Garfunkel – Kodachrome / Mabellene (from The Concert in Central Park)

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