コントロールホイールを操る愉悦

私がデジタル一眼レフカメラ(デジ一)を使い始めたのは2009年4月初めです。初めて手に入れたデジ一は、主に初心者向けに発売されていたキヤノンEOS Kiss X2でした。

ボディを手に入れた少しあと、キヤノンの純正レンズが欲しくなり、こちらも最も安い部類の単焦点レンズの50ミリを手に入れました。

ボディもレンズも小さくて軽く、少し大きなコンパクトデジタルカメラ(コンデジ)のようでした。

キヤノンのデジタル一眼カメラ EOS Kiss X2に50ミリ廉価レンズ

デジ一を使い始めるにあたり、説明書を読むと、RAW画像で撮影できることがわかり、以来、撮影する画像はすべてRAWを選びました。

この頃使っていたデジイチは、今のデジタルミラーレス一眼カメラ(ミラーレス)と違い、フィルムの一眼レフカメラと共通の光学ビューファインダーが搭載されています。

ファインダーから見える被写体は、素通しのガラスを見るようで、自分が設定した露出の結果は反映されていません。

レンズの絞りシャッター速度ISO感度の組み合わせから自分が選んだ設定が適正かどうかは、ファインダー内の表示のプラス、マイナスでわかります。

しかし、カメラに内蔵されている露出計は反射式で、被写体にあたる光を「反射率18%グレー」に当てはめて示しているだけです。

具体的な話をしますと、真っ白な紙を画面いっぱいに収めると、白いはずの紙がグレーに変化します。逆に、真っ黒な紙の場合も、グレーに変化します。

このあたりの説明は、写真家の野村誠一氏(1951~)が、ご自身のYouTubeチャンネルで詳しく解説してくれている動画がありますので、それをご覧になって、カメラの反射式露出計の仕組みを理解してください。

【野村誠一写真塾No215】初心者、中級者、写真が上手くなりたい人だけ、オート露出で撮ると、こんな事が起きる。

ここまで書いたことでおわかりになると思いますが、デジ一の光学ファインダーを使って撮影する限りは、ファインダーで見えている画像が、そのまま最終的な画像になるわけではない、ということです。

あとは経験と勘で、露出補正などをし、より適切な露出が得られるようにしなければなりません。

そんな露出の仕組みがあるため、私はすべての画像をRAWで撮影し、RAW画像を「現像」するときに、一枚一枚確認し、明るく写りすぎた画像を、「現像」の段階で自分が望む明度にし、JPEG画像(JPG)に書き出すことをしてきました。

デジ一からミラーレスのカメラに乗り換えてそこそこの年数が過ぎました。ミラーレスの場合は、電子ビューファインダーが使われており、ビデオのモニターを見るように、被写体の様子を、反射率18%ではなく、自分の眼で直に確認することができます。

露出を変えれば、それが反映された画像になります。ですから、ミラーレスを使うのであれば、RAWで撮る必要がないといえばないです。自分で納得した露出であることを確認したのち、シャッターを切ることができるからです。

しかし、ミラーレスを使うようになってからも、私はRAWで撮影していました。この撮影スタイルを変えようと考えています。

間にRAWを挟まず、JPGで撮影してい待ってもいいのでは、と考え始めました。

きっかけについては本コーナーで書いていますが、露出をマニュアルで決定するようになったことです。

ミラーレスを使い、マニュアルで露出を決めている人もいるでしょう。そんな人でも、ISO感度だけはオートにしている人がいるかもしれません。

しかし、ISO感度をオートしている限りは、どうしても露出補正が必要になり、マニュアルで撮影する意味が薄れます。マニュアルで露出を求めるようになり、そのことに気がつきました。

露出設定には、レンズの絞りを優先する絞り優先AEや、シャッター速度を優先するシャッター速度優先AEがフィルムの時代からあります。

撮影にフィルムが使われた時代であれば、ふたつの優先AEは効果的に使えました。フィルムは製造された段階でISO感度は固定されるのであり、それを基準に露出を求めることができたからです。

デジタルの時代になり、露出の決定にISO感度が加わったことが、露出の決定に「揺らぎ」を起こしました。デジタルのISO感度はフィルムの時代には想像もできないような高感度になりました。

低感度から高感度まで非常に広い感度域があり、それをオートで使う場合、暗い場面であれば最高のISO感度が選ばれるようなことが起こり、絞りやシャッター速度を優先する以上に、ISO感度が露出を左右する主要な要因になってしまいます。

これを踏まえた上で考えれば、ISO感度をコントロールすることが、マニュアルで撮影するときの要(かなめ)であることがわかります。

そのあたりのことをソニーはよく考えているのか、非常に手軽にISO感度を操れるコントローラーを背面に配してくれています。

ほかのメーカーのミラーレスカメラにはそれがついていないと思いますが、ソニーのミラーレスには、「コントロールホイール」がついています。

カメラのボディにはボタンやホイールがあり、自分が使いたい機能をそれぞれに登録して使うことができます。私はコントロールホイールにISO感度変更の機能を割り当てました。

これが非常に便利です。

私は今、フィルムの一眼レフカメラ、ヤシカ・コンタックス RTSおよびRTS IIで常用レンズのように使っていたカール・ツァイス、プラナー50ミリF1.4を主に使っています。

マウントアダプタを使うことで、オールドレンズで画像を撮ることができるのです。

ソニーのα7 IIにヤシコン用プラナー50ミリF1.4

昔のレンズですから、カメラと連絡する電子接点はついていません。レンズの絞りは自分の指で変えます。オートフォーカスもできませんから、自分でフォーカスを合わせます。

今のレンズに比べれば不便なところがありますが、レンズを自分で操る愉しみは、オールドレンズにこそあります。

このレンズで、絞りを合わせ、カメラでシャッター速度を決めます。あとは、カメラ背面のコントロールホイールの上に親指の腹をのせ、くりくりと廻して、適切な露出にします。

ファインダーに表示されるプラス、マイナスのメーターよりも、自分の眼を信じ、自分が求める明るさになるようISO感度を変え、シャッターを切ります。

自分の眼で明るさを決めるため、ビューファインダーがどの程度の明るさに見えるが適当か決めなければなりません。そうしないと、基準が狂ってしまうからです。

私はファインダーの明るさをマニュアルにし、-2にしています。必要以上に暗い露出にしてしまわないためです。

このようにして撮影した画像を見ると、明度の手直しが必要となることが、ほぼ、ありません。これに自信を深め、RAWを間に挟まず、JPGで撮影することを考えているのです。

ホワイトバランスだけはオートホワイトバランス(AWB)を使っています。もしもホワイトバランスを自分で設定するとしたら、RAWを使うことを止めようと思わないでしょう。

このように考えるようになった要素がもうひとつあります。それにつていも、本コーナーで書きました。「ピクチャープロファイル(PP)」を煮詰めたことです。

静止画の最終的な色味を変えるものに「クリエイティブスタイル」があり、それを使う人が多いでしょう。私もこれまでは、その中の「スタンダード」を使い、キヤノンのEOS RPを使ったときは「ディテール重視」を使ったりしました。

この「クリエイティブスタイル」は、メーカーが設定した色味です。「クリエイティブスタイル」であっても、多少は自分で変更できます。

しかし、より積極的に自分好みの色味に変更できるPPが、私が使うソニーのα7 IIには搭載されているのです。それをスチル用と動画用に適用し、自分好みの色味にしてみました。

まだ試行段階で、今後変化させるかもしれませんが、今のところは好きな色味になっているように、ま、自己満足でしょうが、そのように感じ、嬉しい気分になっています。

私は、軽やかな色味より、陰がしっかりと暗く沈んで見えるような明度とそれに合うような色合いが好みです。レンブラント16061669)が描いた自画像に通じるような色世界です。

Rembrandt, Self-Portrait

このPPの設定で、マニュアル露出で撮影します。その際、コントロールホイールがとても便利です。これがなければ、ISO感度を自分で決めたくないと思うほどです。

いつも使うレンズの絞りとシャッター速度はそれほど変わらず、あとはコントロールホイールを親指で廻して適切な露出にし、フォーカスを合わせてシャッターを切るだけです。

しかも、JPGの撮影であれば、「現像」の手間もいらなくなります。フィルムの時代に、ポジフィルム(リバーサルフィルム)で撮影する感覚です。

ひとつのきっかけで一年半ぶりにα7 IIに戻りましたが、前に使ったときとは別のカメラのように、操るのが愉しくて仕方がありません。

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