最近はテレビをつけることが少なくなりましたが、昨日の午後5時台、海外ドラマを見ました。
毎週土曜日の午後6時までの1時間、あるいはそれ以上の時間を使い、英国で制作された推理作家、アガサ・クリスティ(1890~ 1976)原作のドラマが連続で放送されています。
『名探偵ポワロ』のシリーズが、2月13日に放送された45話の『もの言えぬ証人』(原作:1937)で一旦、休みに入った(?)形です。
ポワロシリーズは第13シリーズの第70話『カーテン ポアロの最後の事件』(原作執筆:1943 生前の約束で、刊行はクリスティの死後1975)まで制作されています。ということで、残り25話の放送をまた始める予定となっているのかもしれません。
ポワロシリーズが一段落中の昨日放送になったのは、『無実はさいなむ』(原作:1957)全3回の1回目です。見始めてすぐ、以前に見たことがあることに気がつきました。誰が犯人であるかも思い出しました。
ストーリーを事細かに記憶しているわけではありませんので、終わりまで見ました。
実のところ、私の関心は、ストーリーそのものよりも、映像で表現されている色彩に向かいました。
このところ、本コーナーでは動画について書くことが多くなっていますが、編集時に色彩を調整できることを知りました。
私は先月の後半から、Blackmagic Designの動画編集ソフトDaVince Resolve Studioを使い始めました。
この編集ソフトには色彩の適正化やカラーグレーディングができる機能が搭載されています。本ソフトを使うまで、自分で編集する動画で色彩を変更したことはありません。それが、素人でもできることを知り、驚きました。
そうはいっても、動画の色彩変更を知識を持たない個人がそれをすると、おかしな結果を生みかねません。
私も物は試しでやってみてはいるものの、自分のやり方が正しいのか確信が持てずにいます。
素人でもプロと同レベルでカラーグレーディングをできる人もいるかも知れませんが、自己満足で終わることが少なくないように思わないでもありません。
プロのカラーグレーディングを勉強するつもりでクリスティ原作のドラマに目を凝らしました。
今は劇場用映画も、伝統的なフィルムのシネマカメラばかりでなく、デジタルで撮影することが増えているようです。実際のところはわかりませんが。
昨日見たクリスティのドラマも、どんなカメラで撮影されたのか、私には判断がつきませんでした。仮にデジタルのカメラで撮影されたのだとすれば、デジタル臭さはまったくありません。フィルムの映像と区別がつきません。
日本のドラマや映画を見る機会は多くありませんが、日本の作品は、色彩にこだわって制作されることが少ないような気がします。不勉強な私が知らないだけで、素晴らしい色彩表現を持つ作品がゴロゴロしているのかもしれないですけれど。
クリスティ原作のドラマの話に戻ります。
容疑者の無実(その時点で、容疑者は既に亡くなっています)を証明するのだとして現れた学者を名乗る若い男と、被害者の養女の夫が、レストランで会話するシーンがあります。
日中の外光だけが入る設定のため、二人の顔や、椅子に座った上半身などは、明暗差が大きくなっています。それを活かしたカラーマネージメントをしているように感じました。
撮影された素材の動画は、最終的にカラーグレーディングされたものに比べ、もっとフラットだったかもしれません。
陰になった部分は暗く沈み、明るい部分には色がしっかりのっています。
わざとらしさは少しも感じさせず、コントラストの強さと、しっとりとした色彩を実現しています。カラーマネージメントの専門家の手が入っているのでしょう。
別の場面では、窓の外が昼光で明るくなっています。手前の室内は陰の部分が多く、そこに複数人の人間がいます。
窓の外の光は強く、白く飛んでいます。その場面では、外光と室内の暗さを対比させながら、不自然に感じさせることもありません。
色彩調整のカラーコレクションや、色彩表現のカラーグレーディングが的確に行われれば、撮影されたもの以上の表現ができるということでしょう。
私も見様見真似で、カラコレやカラーグレーディングらしきことをしてみたりしていますが、いかんせん、素材がそれに適さない動画ですから、思うようにはいきません。
当面は、プロのカラーグレーディングの仕事をテレビやネットの動画共有サイトYouTubeで見て、見た目の印象のようなものをインプットすることをしましょうか。
次の動画などは、室内や着ている服の配色も影響していますが、カラーグレーディングが好ましくいっているように私には思えます。