コンパクトデジタルカメラ(コンデジ)の中で、そのスタイルからネオ一眼に細分類されますSONYの「サイバーショット DSC-HX200V」を中古で購入して20日ほど経ちました。
購入した翌日に本コーナーで取り上げた中でも書いていますが、中古品の形で取り寄せてもらい、それが届いたとの連絡を受けたとき、私は受け取るかキャンセルするか迷いました。同様のネオ一眼はメーカー各社が用意しており、それらに比べて私の選んだ機種が優れているか自信が持てなくなったからでした。
結局は迷いを振り切って受け取りに行きましたが、自分の判断が間違っていなかったことを実感しています。私は HX200Vを非常に気に入り、頼りになる相棒ができたと心底喜んでいます。
どんなものでも同じだと思いますが、自分で使ってみなければその良さを実感できないことがあります。
私が初めてSONY製のコンデジを手に入れたのは昨年の4月です。その頃、私は10数年ぶりにコンデジを買い換えることを思い立ちました。できればもっと高性能のコンデジにしたかったのですが、自分の財布と相談して、1万円以下で手に入れられることを知ったSONYの DSC-WX50」に決めました。
実際に使い出してみて驚いたのが、現在、SONYで発売している「サイバーショットシリーズ」に共通して搭載されていると思われるある機能です。
WX50を手に入れて間もない頃、ほとんどがカメラ任せの「プレミアムおまかせオート」で試し撮りし、初めてその機能が作動したとき、私は驚きました。
光が充分でない自分の部屋でシャッターを切ったのだと思います。連写モードにしていなかったのに、電子の小さなシャッター音が続けて聞こえたからです。
あとで、カメラが自動で「マルチショット機能」を作動させていたことを理解しました。
説明書で確認すると、「プレミアムおまかせオート」のモードで撮影すると、カメラは撮影(=光の)条件からベストの撮影を選んでくれるのだそうです。
カメラが一般的に苦手とする撮影条件は、暗いところです。光量が少ないため、もしもフルオートで撮影しますと、ストロボ(エレクトロニックフラッシュ)が内蔵されたカメラであれば、それが自動で発光するでしょう。しかし、コンパクトカメラに内蔵されているストロボは遠くまで光が届かないため、自分が望むような写真は得られにくいだろうと思います。
デジタルのカメラになったことで、それまでのフィルムカメラと大きく異なるのは、ISO感度を比較にならないほどの超高感度にして撮影できることです。しかし、電気的に感度を上げるため、感度を高くするのに比例してノイズの発生が増えます。この傾向は、撮像素子のサイズが小さいほど強まる性質があります。
暗いところの撮影を容易にする手段のひとつに、F値の小さなレンズを用いることがあります。この値は、【5.6】や【4.0】といったような数字で表されますが、数字が小さくなるほど、いわゆる“明るいレンズ”といわれます。
こうした“明るいレンズ”を持つカメラで、しかも絞りを開放にして撮影すれば、その分速いシャッター速度で撮影でき、暗いところで発生しやすい手ブレや被写体ブレを抑えやすいという考えからです。
しかし、どんなに、いわゆる「明るいレンズ」を持つカメラでも限界があります。また、写真というのは表現手段のひとつですから、レンズの絞りを開放の状態でしか撮影できないのも窮屈でしょう。
これら悪条件の困難を解決してくれるのが、SONYのサイバーショットシリーズに搭載されている「マルチショット」を使った機能です。
具体的には、1回のシャッターで最高6枚の写真をカメラが自動で連写します。そして、撮影のあと、カメラに搭載されている画像処理エンジン(画像エンジン)が連写して得られた画像を1枚に合成してくれます。
具体的にはどのような処理が行われているのか私は知りませんが、そうして撮影された処理済みの写真を初めて見たとき、私は大げさでなくビックリ仰天しました。通常のカメラでは決して手持ち撮影できないような情景が、ノイズやブレもなく、きっちりと写し撮られていたからです。
この「マルチショット」の機能は、窓際の明るい室外と暗い室内など、明度差が激しい被写体の撮影時にも発揮されます。この場合は、ハイライトと標準、そしてアンダーの部分を測光して撮影したような写真を3枚連写し、それを1枚の画像に仕上げてくれます。
私は、SONYのサイバーショットシリーズに搭載された「マルチショット機能」にすっかり惚れ込み、それを期待して、昨年の5月には同社のミラーレス一眼カメラの α NEX-5を手に入れています。
ただ、こちらはコンデジとは構造が異なり、マルチショット機能を使いたければ、自分でその都度選ぶ必要があります。また、このカメラは物理的なシャッター音が小さくなく、マルチショット機能で撮影しますと、まるで機関銃をブッ放しているかのようで、使うことが躊躇われます。
ソニーのネオ一眼 DSC-HX200Vに搭載されているレンズは、35ミリ判に換算しますと【27ミリ】の広角から【810ミリ】の超望遠までの焦点距離をカバーしています。ファインダーがついていますので、それを覗きながら望遠にして撮影できます。
私はカメラ任せの「プレミアムおまかせオート」でばかり撮影していますが、望遠にしますと、カメラが「手ブレを防がなければ」と判断しているかのように、マルチショット機能で撮影してくれます。しかも、SONYはブレ防止機能も強力ですので、望遠で撮影しても写真がブレてしまうようなことは少なくなります。
長く使えば使うほど、不満な点がいくつも増えてしまうでしょうが、今のところはこれ以上便利に使えるカメラはないとさえ思っています。ブレ防止の機能は、私もよく使う動画の撮影でも非常に有効です。
自宅の庭で歩きながら撮影してみたりしましたが、ビデオカメラも含め、これまで使ったカメラの中で最もブレずに撮影できるように感じます。
今年はこのカメラを持って高校野球の地方大会の観戦へ行くことにします。35ミリ判換算で800ミリの焦点距離で撮影できるのなら、スタンドから遠く離れた選手たちの動きを撮影できるだろうと思います。
ただ、動く選手をマルチショット機能で撮影したらどんな結果が得られるでしょうか。不満に感じることがあれば、その都度本コーナーで取り上げることにします。