2015/06/02 投資の意味を藤野氏の本で知る

あなたは、藤野秀人という人をご存じでしょうか。

「はい。よく存じ上げています」と答えられる人は、さあ、どうでしょう。10人に1人はいないと思いますので、100人に1人。これでも多いですか。となれば1000人に1人。これでもまだまだ? だったら、10000人に1人、100000人、10000000人に1人ならどうだ! 実数に近づいたでしょうか?

私も、昨年11月に投資を再開するまで、存じ上げていませんでした。

藤野氏は、1966年のお生まれですから、今年で49歳です。

これから紹介する藤野氏がお書きになった本の中でも述べていますが、大学を出たあと、別にやりたいことがあっため、ほんの腰掛け程度の気分で金融の世界に入ったそうです。

最初に入ったのは現在の野村アセットマネジメントで、そのあとにJPモルガン・アセット・マネジメントゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントで、投資家から預かった投資資金の運用するファンドマネージャーをされてきたそうです。

そして、2003年に独立してレオス・キャピタルワークス「レオス・キャピタルワークス」)を創業し、2008年から「ひふみ投信」の運用を始めています。

ということで、個人で資産運用をしている人の多くは、藤野氏を「ひふみ投信」の藤野氏と認識されているでしょう。

その藤野氏がお書きになった『投資家が「お金」よりも大切にしていること』星海社)を読みましたので、そこに書かれていることを振り返りながら書いていくことにします。

藤野さんは米国のヒーローものと日本のヒーローものの違いを書いています。日本と米国ではヒーローに違いがあると書いていますが、それがどんな違いか、わかりますか? 私は指摘されるまで考えたことがなかったように思います。

米国は、スーパーマンになるのは新聞記者であり、バットマンゴッサム・シティの大富豪であり慈善事業家というように、基本的に民間人である、と藤野氏は指摘します。

対する日本のヒーローはどうかといいますと、大いに違います。

たとえば、ウルトラマンに変身するハヤタは科学特捜隊の隊員という身分ですし、数ある刑事ものは警察官、時代劇のヒーローも町奉行などというように、ほとんどが公務員である、というわけです。

ただ、時代が下り、マンガから生まれたタイガーマスクなどは民間人ですから、一概にすべてがそうだとはいえませんが、それでも、米国のヒーローと日本のヒーローを比べますと、ヒーロー像の描き方に違いがあることに初めてぐらいに気がつかされます。

この指摘を受けて私が考えるのは、日本人は何かの組織に自分を置き、その中で活動することに安心を覚えるのかな、ということです。米国のヒーローは組織から離れ、個人が個人の責任において活動しているように感じます。

別のいい方をしますと、日本人は組織の中に紛れることで、何か自分がミスを犯しても、その責任を自分が所属する組織に転嫁する姑息さがあるように感じます。

これに関連するのかどうか、欧米と日本では、寄附文化にも大きな差があると藤野氏は指摘しています。

2009年に、JST理科教育支援センターが日本と米国、英国で、個人が1年間にどれぐらいの寄附をしたかを調査した結果が藤野氏の本に載っています。それを見ますと、この3カ国の中で、日本人の寄付額が断トツで低いことがわかります。

日本 寄附総額:7000億円 成人1人あたり:2500円
米国 寄附総額: 3.4兆円  成人1人あたり:13万円
英国 寄附総額: 3兆円    成人1人あたり:4万円

上のようなデータを見せられますと、日本人のひとりとして唖然とさせられます。

藤野氏は長年資産運用の仕事をしてこられたわけですから、当然のように投資という行為によって世の中に個人がお金を回すことの意味も説いています。

私も10年ほど前に株式投資めいたことを始めたときには考えもしませんでしたが、投資で大切なことは、個人が自分のお金を世の中に流通させる行為であるのです。たとえば、自分が注目する企業を見つけ、資金繰りに苦労しているのであれば、その企業に寄附でもするつもりでわずかの資金であっても投資という形で融通し、企業の運営がうまくいくように協力する、といった形になるというわけです。

そういった考え方で投資するのであれば、短期間でその資金を引き上げてしまったら、またその企業は資金繰りに苦労してしまいます。ですから、長期間にわたって投資するのがその企業にとって好ましいことは頭では理解できます。

その企業が社会に貢献するような仕事をしているのであれば、その企業が潤って発展することにより、多くの人は、気づかなくても、利益をもたらされているといえましょう。回り回って、それはわずかながらの投資をした自分にももたらされているはずです。

藤野氏はこれまでに国内にある企業を6000社近くを回り、経営者から直接話を聞くこともしてきたそうです。そんな藤野氏が感じるのは、「日本にはすごく不真面目な会社が多い」ことだそうです。株主総会や新聞などに載る記事を見ても、日本の経営者から真面目なメッセージが聞けなくなったことを感じると書いています。

この本が出版されたのが2年ほど前で、その本の中に3年前とありますので、今から5年ぐらい前の話になりますか。藤野氏はインドのムンバイへ行き、そこで、あるソフトウェアメーカーを創業した会長に話を聞く機会を持ったそうです。

その人は藤野氏に、堂々と「世界の格差をなくしたい」と述べたそうです。

藤野氏は驚かれたでしょうが、それをどうやって実現するのか尋ねると、世界にある教育の格差を解消しなければならない。それを実現させるために、自分の会社を興したのである、というようなことを熱っぽく語ったそうです。

日本国内で格差の話になりますと、それを解消するのは国などの公で、民間人の個人がそれを実現することに動く人はまずいないでしょう。このことは、はじめの方でも書きましたが、日本とアメリカのヒーロー像にも表れているといえそうです。

誰でも、今日より明日が良い世の中になってくれることを望んでいます。しかし、自分は何もせず、誰かがそれを実現してくれるのを待つというのでは他人任せの態度そのものです。

寄附なり投資なりをすることで世の中に自分のわずかばかりのお金を流通させ、その結果として世の中が良くなるのでれば、自分もより幸せを感じて生きていけることができる。

藤野氏の本を読むことで、私も遅ればせながらそんなイメージを持つことができたところです。

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