岸信介を取り巻く人々と因縁の深い町

安倍晋三元首相(19542022)が銃撃されて亡くなって以降、関係が深かった統一教会絡みで名前を聞くことが多くなったひとりに岸信介18961987)がいます。

昭和32年防衛庁記録

岸は安倍の母方の祖父にあたります。生前、安倍は、父方の祖父について語ることは多くなかったように思います。

それに比べ、岸については、機会があるごとに語り、岸への思い入れの強さを窺わせます。

岸には実弟の佐藤栄作19011975)がおり、岸信介と佐藤栄作、そして安倍晋三が三代に渡って日本の首相になっています。

佐藤栄作首相退任記者会見

事情をよく知る人には、岸と佐藤が実の兄弟なのに姓が違う理由がわかっているでしょうが、わからない人には、何となく変に感じたりするかもしれません。

私もそんなひとりでしたが、それなりの理由があるのだろう、と深く考えたことはありません。

それが今回、あることを自分なりに調べている過程で、その事情を知りました。

岸信介は、明治29年に誕生しています。父は佐藤秀助、母は茂世(もよ)といいましたから、生まれたときの名は佐藤信介です。

信介が生まれたのは今の山口市で、その頃、父は山口県庁の官吏をしていたため、山口に住んでいたのです。

信介が生まれたとき、信介の名付け親となる佐藤信寛18161900)が山口に来ており、曾孫の誕生に喜び、自分の名前から一字をとって信介とつけたそうです。

信介の父は婿養子として佐藤家に入りましたが、佐藤家は造り酒屋を営んでいたようです。

今に比べ、昔は子供の数が多かったからか、親戚の家などへ養子縁組することが珍しくなかったのでしょう。

本日の豆家系
関連して私事の話を書いておきます。私の亡き母は、私が生まれ育った地区の長をする家に養子縁組で入り、父が婿養子として入っています。

信介は夫妻の5番目の子供(次男)で、信介が中学3年のとき、養子に出されます。その家が、父の実家である岸家なのでした。岸家の養子になった信介が、このときから岸信介になったというわけです。

ちなみに、安倍氏の実弟に岸信夫1959~)がいますが、信夫の場合は生まれてすぐ、安倍の実母・洋子1928~)の実兄である岸信和19212017)と仲子に子供がいなかったため、夫妻の養子となり、生まれたときから岸信夫として育てられました。

安倍氏と信夫は、そのあたりの事情を知らされずに育てられたようで、ふたりは長いこと、自分に弟がいることや、兄がいることを知らずに生きていたようです。

いうまでもなく、岸信和と安倍洋子は岸信介の息子と娘で、安倍と岸信介が岸信介の直系であることがわかります。信夫の場合は、岸家の子として育ったため、その意味合いはさらに濃かった(?)といえましょうか。

信介の実弟の佐藤栄作は、明治34年の生まれです。その3年前、父の秀助は山口県庁の官吏の仕事を辞め、郷里に戻り、幼子を育てながら、家業の酒造業をしていたそうです。

ちなみに、栄作は三男で、長男は佐藤市郎18891958)といいます。市郎は海軍軍人となり、最終階級は海軍中将だそうです。

本更新に登場する人物たちに結び付きが強い町があり、それを調べる過程で、本更新に書いたことを知りました。

岸信介の名付け親となった佐藤信寛は、長州藩士の子として生れていますが、生まれたのは山口県の田布施というところです。

田布施町PR映像『Welcome to たぶせ~自然豊かな町~』

信寛の曾孫にあたる岸信介の両親のうち母は、造り酒屋をする佐藤家に生まれていますが、その家があったのは、田布施のすぐ隣の岸田というところです。

官吏を辞めて酒造業を始めた佐藤夫妻に生まれたのが佐藤栄作で、栄作の出生地も田布施とされています。

何度も登場する田布施ですが、この地方に住んでいる人は良くしる土地でしょうが、そうでない人は、ある方面に興味を持つ人でなければ、その町がどこにあるかもわからないかもしれません。

もう十年以上前になりましょうか。大正天皇18791926)について書かれた文章の中にこの町の名があり、この町の名が心に刻まれました。

今回の統一教会と自民党清和会が強く結びつく話の中で、別の国会議員もこの町の出身であることを知りました。

自民党清和会会員の北村経夫氏(1955~)です。北村氏も実は生まれが田布施なのです。偶然も、これだけ重なりますと、偶然とは思えなくなります。

その土地柄の関係からか、2019年にあった参院選においては、安倍氏の指示により、統一教会の支援先が北村氏になり、教会の全面応援によって当選しています。

北村経夫 《故郷・田布施町》~日本から故郷を想う~ 【この国を守る。未来を育てる。】

北村氏は統一教会抜きには当選できなかったでしょう。今、教会と政治との関係を問うことがされているのですから、北村氏は、教会との関係を明らかにする責任があります。

それとは別なのかどうか、北村氏の場合は、生家には別の要因が重なります。

北村氏の祖母にあたるのが北村サヨ19001967)ですが、サヨは、結婚後の北村家で、「踊る宗教」こと「天照皇大神宮教」の教祖となっています。

きっかけは、戦時中の昭和17年に北村家の離れで発生した不審火です。

その原因を究明するため、サヨが祈祷師を訪問したり、丑の刻参りなどをしたことで、何かが彼女に乗り移った(?)のか、祈祷師からも生き神になるよういわれたとかで、新宗教の教祖になったようです。

【TBSスパークル】1950年8月30日 神さま売り出す(昭和25年)

昨年の時点で、同宗教の信者数が約49万人だそうですから、生長の家金光教とほぼ同程度で、侮れない数字です。

この教祖の孫が北村経夫氏であることになり、生まれたのが山口県の田布施というわけです。

田布施という地名は、鹿児島と佐賀にもあると聞きます。

山口と鹿児島、そして佐賀は、明治維新のときに倒幕に動いた藩の「薩長土肥」の三つを占めます。

これは偶然でしょうか。それとも、歴史の必然でしょうか。

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