月: 2020年2月
Bosch, the Last Judgment
逃げられない恐怖 清張の『神と野獣の日』
Episode One: The Climb | Adventurous Forever | Rivian
HAPPY NEW YEAR
Restoring The Raising of Lazarus | The National Gallery, London
Faux Bronze Plaque: How to sculpt a nameplate from epoxy clay
Caravaggio’s First Public Commission | Beyond Caravaggio | National Gallery
断魚荘に十六島 清張の『数の風景』
松本清張の自宅の書庫は、夥しい蔵書で埋まっていたそうです。しかも、それらは常に新陳代謝を起こし、書き終えた作品のために使用した資料の本は処分される一方、次に書く作品のための資料が加わったと聞きます。
多方面に関心が向き、ひとたびある方面に関心が向かうと集中してその分野の本を資料として集め、確かめることをしていたのでしょう。
清張はサービス精神が旺盛だったのか、自分が得た知識を自分だけで楽しむことをせず、自作で読者に提供するのを好んだように感じます。
時にはそれが過剰となり、あらすじの展開に必要でないと思われるほど、さまざまな事柄を活字にします。
私は今回も、Amazonの電子書籍サービスのKindle Unlimitedを利用し、追加料金なしで清張の作品に接しました。
私が選んだのは、『数の風景』という長編です。
しっくりこない清張の『山峡の章』
このところは松本清張の作品を読むことが多く、気になる作品に出会うたび、本コーナーで取り上げています。
いずれも、Amazonの電子書籍で読んでいますが、おととい、昨日でまた一冊読み終えました。これも、Kindle Unlimitedの対象の一冊で、追加料金なしで読みました。
清張はデビューが遅かった作家ですが、その割には多くの作品を残しています。名が知られるようになってからは、同時並行でいくつもの作品を連載したりしたでしょう。
片手間仕事で執筆することはなかったと思いますが、これから紹介する作品は、やや粗い作品の印象を持ちました。
その作品は『山峡の章』という長編です。月刊誌の『主婦の友』に、1960年6月号から1961年12月号まで、一年半にわたって連載されています。当時の題は『氷の燈火』であったようです。