逃げられない恐怖 清張の『神と野獣の日』

昔、子供向けの雑誌に載っていた話を思い出します。詳細は憶えていませんが、地球上の空気が一斉に数分間なくなるという話です。

普通の人は、呼吸を止めている時間はせいぜい1分間程度でしょう。個人差はありますが、高齢者や幼児はもっと短いかもしれません。

そんな人類にお構いなしに、2分間か3分間、あるいはそれ以上、呼吸ができない事態が目前に迫っていることを知り、人々がパニックに陥る話であったように記憶します。

これを思い出したのは、松本清張にしては珍しいSF的作品を読んだことによってです。

『神と野獣の日』という作品です。1973年に発表された作品のようです。